マテリアルマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。マテリアルグループ広報担当の時田です。
マテリアルマガジンでは、マテリアルへの理解をより深めてもらうための連載企画として、マテリアルの各チームをご紹介し、日々会社を支えてくれている各チームメンバーに着目中です。今回は第3弾として、ストーリーテリングセンター ストーリーテリンググループ(以下「STG」)の星岳人さんと飛田瞭さんにお話を伺いました。日々の業務でのやりがいや大変なこと、普段のチームの雰囲気について語っていただきました。
1.情報設計からコアアイデア提案まで幅広い業務領域
提案領域のステップアップを目指して
ーチームの業務内容を簡単に教えてください。
飛田:STGのメイン業務は、クライアントの与件に見合う企画を考え、提案することです。基本的には、プランニング業務が6割、打ち合わせ業務が3割、雑談が1割ですね。
案件は、対代理店と、対クライアントに分かれていて、割合的には6:4くらいです。具体的に、案件の内容は大きく4つのステップに分けることが出来ます。まずステップ1は、すでにコアアイデアが決まっていて、そこからいかに話題を広めるかの「情報戦略」を提案する案件です。次に、コアアイデアから考えるような「コンテンツ設計」の案件がステップ2。さらに、全体のIMC(統合マーケティングコミュニケーション)設計や、統合コミュニケーションを提案するステップ3と続き、その先にマーケティング領域までを提案し、クライアントの事業にコミットするステップ4があります。僕が新卒で入社した当時のマテリアルでは、ステップ1の「話題を大きくするための情報設計」がほとんどでしたが、段々とステップ2の領域が大きくなり、今ではマーケティング戦略設計の案件も少しずつ増えています。
星:飛田くんが話している業務割合の「6:3:1」が崩れると、かなり切迫することになりますね。例えば、打ち合わせ時間が5割を超えてしまうと、途端にプランニングにかけられる時間が減ってしまうので、時間管理も大切にしています。
クライアントがまだ気づいていない魅力や課題を見つける楽しさ
ーこのチームならでは「おもしろさ」や「やりがい」はありますか?
星:僕が最近面白いと感じるのは、エージェントの立場として、クライアント自身がまだ気づいていない良い部分や、改善点を見つけられることです。外部の目線を持つことで、ブランドをより良くするための手段を一緒に考えられますし、ブランドが進化していく過程に立ち会うことができます。
また、これまでは、自分の好きなブランドや商品を担当する際にやる気が湧いていましたが、最近では、「一見すると完璧そうに見えるけど、実は不完全なブランド」を前にした時に、より一層やる気が湧くようになりました。こうした変化は、面白さ以外の感情を生み出すためにこれまでと全く異なる観点からブランドや企画を掘った際、「このブランドにはこんな顔があったんだ。」と気付いたことがきっかです。マテリアルに入社したての頃は、「面白い企画が一番!」と思っていましたが、単純な面白さだけでは諸刃の剣であることに気づかされました。その分、クライアントや商品とより真っ直ぐに向き合うようになりましたね。
また、STGチームメンバーの影響も大きいと思います。去年、自分の提案が全く通らなかった時に、チームメンバーの提案書を何度も読み込むようにしたんです。他のメンバーは、どんな観点で企画を考えているのかとか、どういう説明をすると綺麗な提案ができるのかなど、細かな部分までよく観察しました。
飛田:最近星さんの提案の根幹が変わってきましたよね。最初は「これかっこいいですよね!」という感じでしたが、今は、サービスやユーザーをより深く見つめているような提案が増えたと感じます。
2.生活者を動かすために逆算された企画を
コミュニケーションを“力学”として操る
ー同じく、このチームならでは「おもしろさ」や「やりがい」はありますか?
飛田:僕が感じる面白さは、「リアクションを起点にアクションを作る」ことですね。入社当初の上司からは、「企画はリアクションが命」と何度も言われ、リアクションから逆算して企画を考えなければならないことを教わりました。しかし、リアクションのツボがなかなか押さえられず、苦しい時期が続いたことを今でも覚えています。その頃は、上司から「まるで宇宙人だよ」と言われるほど、人のこころを読み取るのが苦手だったんです。それから3年以上が経ち、現在はようやく「人のリアクション」を想像しながら企画を作ることができるようになり、リアクション起点で考えることの面白さを日々感じています。生活者を動かすために、逆算して広告枠やSNSを使うことは、すごく高等な技術だと思います。
また、この考え方は、日常生活にも落とし込むことが可能です。例えば、大切な人のプレゼントを選ぶことや、旅行の行き先を決めることなどです。PRが企業コミュニケーションの手法ではなく、“発想術”そのものであるからこそ、自分が思考することの全てに活用できます。
日々の業務の中でのやりがいは、「提案領域が広がっている」ことですね。PR業界自体が、まだまだ未熟な業界だからこそ、領域の広がりを感じることが出来ますし、今はその壁を先輩方がどんどん壊している最中です。その結果として、情報戦略やコアアイデアを超えて、マーケティング領域の企画提案まで進出しつつあります。業務がルーティーン化されることがないため、飽きることなく、日々勉強しながら取り組むことができます。
リアクション起点のアクションというPR発想
ー反対に、「大変なこと」や「苦労したこと」はありますか?
飛田:入社1〜2年目の頃は、とにかくリアクション起点の発想がうまくできませんでした。僕は、もともと地元の友人4名といることがほとんどだったため、限られたコミュニティだけで過ごしてきた結果、世間一般の人たちの感覚からズレてしまっていたんです。そして、その“ズレ”にすら気づいていませんでした。もちろん、ズレていることが悪いことではないし、全ての人が同じ感覚を持つことはありえません。しかし、企画をする上では、例えば「今の自分は一般の感覚と20程度ズレている」などと、客観的に自分の立ち位置を認識する必要があるんです。リアクションを逆算する際に、「一般の感覚」が掴めなければ、受注に繋がる提案はできません。
ー「一般の感覚」は、どのようにして掴めるようになっていきましたか?
飛田:これまでは、PR事例のインプット時に、「ブランドが何をしたのか」ばかりに注目していましたが、そのブランドに対して、「生活者がどんなリアクション」をしていたのかをより観察するようにしました。例えば、ウェブ記事で紹介されているブランドアクションを見た時に、それをSNSで検索して、生活者のリアクションを観察するようにしています。業界全体的に、「アクションを見る」ことに労力を注ぐ傾向がありますが、それと同じくらい「リアクション」をよく観察することも大切だと思っています。
星さん:それは面白いですね。僕も飛田くんと少し似ていて、これまで、流行り物やトレンドコンテンツを一切追っていませんでした。「みんながこれを見ている」とか、「みんながこれを読んでいる」という情報を知りつつも、中身まではチェックしてこなかったんです。生活者が普段からどのようなことに興味関心を持ち、どのような感情を抱いているかを知ることの重要性を理解していなかったと思います。今では、流行り物やトレンドコンテンツも欠かさずにチェックしています。
ー星さんは中途入社されていますが、前職との違いや苦労はありましたか?
星:前職はイベント会社にいたので、今マテリアルで携わっている案件よりも、さらに後段階の与件に対応していました。その分、提案の手段が全く異なるため、慣れるまでに時間がかかりました。先程話したように、「かっこいい企画が一番だよね」という感覚も、前職で培われたものかもしれませんね。
ー日々の情報収集やアイデアのインプット・アウトプットはどのように行っていますか?
星:ウェブメディアとSNSは毎日必ずチェックしています。また、最近では、過去にアワードを獲得した年鑑を見て、受賞事例がどのような視点で作られているのかを分析しています。「こういう視点もあるんだ」とか、「こういう発想もあるんだ」など、勉強になることが非常に多いです。自分が持っている感覚とは180度違う目線も多くて面白いです。
飛田:星さんと同じく、ウェブメディアとSNSは必ずチェックしています。またその際に、ブランドのアクションとそこに紐づく生活者のリアクションをピックアップするようにしています。最近では、散歩中に、外の景色を見ながら思いついたアイデアが企画に繋がることに気付いたので、お散歩することもルーティーン化しています。
ー普段の業務で大切にしていることはありますか?
飛田:「今の自分にできること+α」領域の提案を心掛けています。STGは、マテリアルのポートフォリオを作る役目も担っていると思うので、会社の代表事例を目指すことで、「MAKE NEW PR」に繋げていきたいです。また、提案する企画のコア領域を拡大することで、それらに紐づくPR手法も自然と拡大されていくので、マテリアルの実績にも繋がると思っています。
星:リモートワークが続く中で習慣化していることは、頭をすっきりさせた状態で仕事に向き合うことです。そのため、仕事が始まる前に必ず「麻雀をする」と決めています(笑)この麻雀には、仕事と全く関係ないことに没頭することで、頭をすっきりさせる効果があります。一度目の前の仕事から離れて、何かに没頭する時間を作ることは非常に重要ですし、仕事への助走にもなります。
3.個性的なプレイヤーが集まるSTG
仕事の垣根を越えて付き合えるチーム
ーチーム内はいつもどんな雰囲気ですか?
星:個人プレイヤーが多いと思われがちですが、多くの人と関わって案件を進行することが多いです。また、業務中もきちんとメリハリをつけているため、和気あいあいと雑談ベースで進める時もあれば、個人空間で集中して企画に向き合う時もあります。
飛田:チーム内で定期開催している「おべんきょうかい」でも雑談が多いですが、そこからアイデアが膨らむこともたくさんあります。また、個人的に感じるのは、少し「こじれているひと」が多くて、個性的なチームだなと思います。
星:個性的な人が多いこと以外には、それぞれが趣味に没頭していることです。メンバーそれぞれ好きなものが非常に明確です。
飛田:趣味の話では、漫画の話もよく出ますね。“熱しやすく冷めやすいタイプ”で、オタク気質なメンバーが多いのかもしれません。
ーチームの“イチオシポイント”を教えてください。
星:プライベートでも仲が良いことです。仕事の延長上の付き合いであることを感じないくらい、プライベートでのコミュニケーションも多いです。そうやって付き合える仲間は非常に貴重な存在です。
飛田:チームメンバーそれぞれが素直で、“いい人”が多いです。個性的なので、確かにこだわりが強い部分はありますが、日々の業務にも前向きに取り組んでいます。常に、「できない理由は…」と考えるのではなく「どうしたらできるのか」を真剣に考えているチームだと思います。社内に対しても、良い意味で“我の強さ”が浸透するようになったため、チーム全体がいい方向に動いていると感じます。
実生活から得た気付きが企画に繋がる
ーどんな人がこのチームや仕事に合うと思いますか?
星:例えば、普段からプレゼントを選ぶことが好きな人や、誰かのために何かを企画することが好きな人は向いていると思います。こうした姿勢が、生活者のリアクションを逆算する発想にも繋がるはずです。
飛田:確かに、プレゼントは相手が欲しいものだけではなく、その人の盲点になっているものを想像することができる人は、プランナーに向いていますね。もうひとつは、人間観察が好きな人だと思います。また、当事者になりきることのできる、「憑依力」「擬態力」のようなメタモン力を持っている人も、非常に強みになるはずです。