こんにちは、MAMORIOの泉水です。
大変お待たせ致しました。ついにCESが開幕しましたのでレポートしていきたいと思います。
過去の記事はこちら
HWスタートアップに夢は残っているか?海外初心者COOのCES2019訪問記(その1/開催を前にして)
HWスタートアップに夢は残っているか?海外初心者COOのCES2019訪問記(その2/いざ、ラスベガスへ)
HWスタートアップに夢は残っているか?海外初心者COOのCES2019訪問記(その3/土日の観光)
劣悪な仕事環境
本題に入る前に言い訳をさせてください。笑
主に下記の理由から、こっちにいる間に大量の画像を使った本格的なレポート記事を書けそうにありません。
・繋がらないホテルのWi-Fi
・外出先で1日1GBの容量制限にかかるWi-Fiルーター
・会場内ではWi-Fiは混線の為実質利用不可
・前々年比1.5倍との噂の来場者でLTE回線すら不通
・会場内、混雑で座れない
・日本の仕事が無くなっているわけではない
そんな自分への言い訳が頭を過ぎるというか、無理じゃない?と思っていたところで、諸先輩方から同じスパイラルに陥った経験を基に「普通に楽しんでこい!」と言われたので純粋に情報のシャワーを浴びることを楽しむことに決めました。
[海外記事に挑戦した人たちはみんな同じ経験をされている模様]
とは言え、視察自体はめちゃくちゃ歩き回ってきたので、ふわっと雰囲気や、僕が思ったことが伝わればいいなと思います。
CESの詳細レポートについては、EngadgetとかTachCrunchなどにプロの記事が沢山ありますのでそちらをご覧ください。
通信環境について
現地で得た情報によると、キャリアによってかなり逼迫具合が違うようで、特にAT&Tが壊滅状態だそうです。
まぁ、日本で言うドコモですし、MVNOが沢山いたり、国際ローミング先だったりするのでかなりユーザーが偏ってしまっているのかもしれません。
逆に比較的通信状況がマシなのはVerizonとのこと。
非公式な情報ですがSIMを契約される際、のご参考になればと思います。
開場1時間前に現地入り
昨年のCESの経験から、この時期のラスベガスは大変な混雑に見舞われ、交通機関が麻痺することがわかっていました。
従ってなるべく早く行こうと思っていたのですが、私が事前予約していたパスでは当然早く行ったところで早く入れるわけではない(普通の参加者のパスしか持ち合わせてなかったので)。
また初日はメインホールであるLVCCではなく、Sands Expoの会場を攻めることにしました。 如何せんGoogleなどがしのぎを削るLVCCの初日は混みすぎるので、最後に見に行くことに決めました。Sandsだけでも本気出したら1日で見終わらないくらいのレベルなのでそれでいいんです。
すると、色々なご縁があって出展者パスを手に入れる事ができました!
これでスタートダッシュ完了。
開場と同時に人が誰もいない一番奥の方のブースから「他の来場者と逆の方向から攻める」戦法を取ることが可能となりました。
[J-STARTUPブースにご挨拶]
フレンチテックの猛威とカオス
Sands Expoの1階はEureka Parkというスタートアップ専用のエリアとなっています。
ここの会場は一言で言えば、「カオス」です。
なにしろ、創業から3年程度までのスタートアップしか出展できないエリアになるので、プロダクトの完成度が極端に低い(アイデアは面白い)ものから、地味だけどめちゃくちゃ凄い技術みたいなものまで、スタートアップ感満載のプロダクト達が凝縮されています。
Eurekaの見どころの一つが、「各国の殴り合いです。」
日本からは今回J-STARTUPも出ていますし、JapanTechという全くの別団体も出展していました。
もちろん韓国、スイス、イタリア、香港…とあらゆる国が自国のスタートアップを世界に羽ばたかせようとブースを構えています。
しかし、もう圧倒的なのがフランスです。去年もフランスやばいと言っていたのですが、今回は更に規模が倍に膨れ上がっていました。
会場に入ってまず目にする光景が赤いニワトリの軍団です。見渡すかぎりフランス。マクロン大統領肝いりのプロジェクトですが、植民地政策を再開させたのか…?というブラックジョークが飛び出します。
僕なりに各国の特徴をまとめようと思ったのですが、韓国のペット推し、HW推しが強いとか、イタリアはバイクとか、ワイン向けの製品が多いとか若干の偏りがあったくらいで、全体的にはあまり「お国の違い」を意識することはありませんでした。
完全にグローバルです。
ところで、日本のスタートアップは想定的に勢いがないと言われます。
ただあえて声を大にして言いたいのが、フランスなど海外のスタートアップの一社一社の質が必ずしも日本のそれと比べて高いわけではないということです。
むしろ日本はちゃんとしている方ではないかと。
では、現地で感じるこの温度感の差はなんなのでしょう。これは今回の視察の裏テーマになりそうです。
お気に入りプロダクト
さて、プロダクト面で個人的に一番気に入ったのは、Kazoo社のDRIFTというプロダクトで、簡単に言うと静電容量型タッチスクリーンに彼らのデバイスを「乗せるだけ」で一つ一つのタグを認識、また画面からの信号をフィードバックすることでデバイス側のメモリに書き込みが出来るという技術です。
説明するのが難しいのですが、要するに「NFCなどが搭載されていないスマホやPCなどでも、タッチスクリーンさえ備えていればタグを認識させることが出来る」という技術ですね。
SDKもあり、iOS,Android,Windows,Nintendo Switchなどで動作させることが出来るようです。
CES2019 INNOVATION AWARDSも受賞していました。
https://kazootechnology.com/
IoTの本質の一つはあらゆるモノにIDを振ること、と考えている僕はこういうのにめちゃくちゃ弱いです。
[版権的にアウトっぽいデモ用ゲーム。リザードンであることを画面だけで認識し、アイテムも情報などを画面だけで書き込みしている。このタグを別の端末にかざせばアイテムを持った情報などもそのまま引き継がれる。(iPadにNFCは搭載されていないのがポイント。本当に画面だけしか使っていない)]
同業他社との再会と人類の欲求の変化
Sands Expoの一階は上記のEureka Parkですが、2回はもっと大企業などが出展するゾーンになります。
ここについては、必ず大手メディアさんが取り上げるので細かいレポートは置いておきますが、僕はまっすぐ目当てのブースに行きました。
同業他社のブースです。はじめに向かったのはChipolo社。
ブースの規模が昨年の半分くらいになっていましたが、LTE対応のGPSトラッカー「Chipolo GO」と新型キーホルダー型キーファインダー「Chipolo DOT」を展示していました。
LTE対応のものは現地では来年から150ドルくらいで販売されるらしいです。
日本に入ってくるのは2020年以降になりそうですが、やはり2万円くらいにはなるのかなと。
個人的にはGPSトラッカーは通信費込みで1万円くらいで出せるようにならないと難しいと思っています。
ちなみに弊社とChipolo社は割と個人レベルでは仲が良いです。笑
同業他社、つまり競合と言えないこともないのですが、お互いのコンセプトも力を入れている国も全く異なるので、マーケットとしてそんなにカニバっていないこと、共通項としてはシンプルなデザインを是とし、センスが似ていることなどで、色々と意見交換をしています。
私自身は彼らも含めいくつかのメーカーを、市場を盛り上げていく仲間として見ており、海外に来る度に交流しているので、この後も各社回って意見交換を行ってきました。
本当は沢山紹介したいことがあるのですが、時間も限界なので本日はこちらまで。
全体的に感じているのが、人々の欲求が変化しているのではないか?ということ。
これまでは、より利便性を求めるようなプロダクトやコンセプトが多かったのですが、昨年以上にHealthcare,Lifetech等の領域が幅を効かせている印象で、これは世界的に経済が成長してきた結果、より人間らしく充実した生活を謳歌したいと考える人が増えてきているのかな?という印象があります。
だとすれば、我々もより人生を豊かにすることを意識したプロダクト作りや、ブランディングにシフトする必要があるのかもしれません。
もっと生活に根ざしたプロダクトへ。
明日は別会場へ向かいます。
次に続きます。