こんにちは。エムスリーCDOの古結です。
前回に続き、前CDOの山崎さんと「デザイン×経営」についてお話をお聞きしました。
古結:続いては「デザイン/エンジニアリング/プロダクト組織の文化とは?」について聞いていきたいと思います。面談・面接でも「エムスリーのデザイン/エンジニアの組織の文化ってどんな文化があるんですか?」とよく聞かれます。山崎さんは、エンジニアもプロダクトマネージャーもデザインも見ている中で、どんな文化があるのかを聞いてみたいと思います。
山崎:エムスリーには非常にユニークな文化が色々あります。その文化の根本は何かというと、自分の頭で考えろという文化があるのかなと思います。エムスリーは指示が下りてこない会社だと思っています。個人の裁量が大きい会社で、本当に一人一人が社長意識を持って必要だということを実行していくっていう環境だと思ってます。
なので、それぞれに考えて実行してほしいというのはやっぱりありますよね。それはエンジニアであってもプロダクトマネージャーであっても、デザイナーであっても、本当に文化として浸透している。
古結さんにああしてほしい、こうしてほしいって指示したことはないですよね?
古結:ないですね笑。ある程度細かい業務とかになってくると、こうしてほしいというのはありますけど笑。
山崎:考えて、相談して、フィードバックがあって、ちょっとしたリクエストがあってとか、そういう形になっているんじゃないですかね。
古結:確かにそうですね。あとちょっと話変わっちゃうんですけど、山崎さんと一緒に、プロダクト開発をしていて、文化として根付いているなと思うのはアジャイル開発ですね。アイディアの根本となるのはスピード感、どう速く解決するのかというところですよね。これも山崎さんが経営に取り入れている文化だと思うのですが、どうですか?
山崎:確かにそうかもしれないですね。2つの側面から話をしますと、1つ目の側面は、売れると思っているものを作るわけではなくて、実際に売れるものを作らなきゃいけない。そのためには、本当に売れるのかを確認しなきゃいけないというサイクルが必ず入るんですね。いわゆる仮説検証サイクルですよね。
最後の最後で間違ってることに気付くと、手戻りが大きくなりますし、そもそも時間の無駄ですという話があるので、素早く解決する、素早く仮説を検証していかなきゃいけないという話があります。なので、実際に売れるものを作るためには、そういった最先端のアジャイル開発のテクニック、シリコンバレーでどんどん生み出されるような最先端の開発テクニックというのは必要ですよね。
2つ目の側面はビジネスサイドの信頼を、我々プロダクトサイドがどうやって作っていくのかという必勝法に関連しています。どうやってプロダクトサイドがビジネスサイドの信頼を獲得するか、経営サイドの信頼を獲得するか。
これも2つあって、1つ目は、まず目標を共有するってことですね。いろんな会社でデザイン組織の目標と、いわゆるビジネスサイドの目標っていうのは違ったりするわけですね。デザイナーはスペシャリストだから、デザインの専門性で目標を立てる。例えば、いろんな賞を受賞するとか、そういった方向に行きがちです。ビジネスサイドはビジネスサイドで達成したいビジネス目標があって、そのために組織を動かしていたりする。この目標が違うと、どこかで必ず衝突するんですね。これは、ビジネスサイドの目標をプロダクトサイドの目標に合わせてもらうのは非常に難しいです。そもそも会社の存在意義とか、そういう話まで発展すると思うんです。
古結:確かに、お給料もらえないかもしれない。受賞してる場合じゃないって話になりますよね。
山崎:そうなんです。これは非常に難しい。だからこそ、プロダクトサイドの目標をビジネスサイドの目標に合わせるっていうことが重要だと思ってます。ビジネスサイドの目標を達成するために手段として受賞があるみたいな、そういう状況を作るということが非常に重要になってきます。なのでまず、ビジネスサイドと目標を合わせて、それをワンチームでクリアしていくっていうことが重要。
2つ目は、圧倒的なスピードでその期待値を超えればいいという話があります。ビジネスサイドが3ヶ月で作って欲しいって言ったら、1ヶ月半で作ればいいんですよ。これによってめちゃめちゃ喜ぶ笑。ビジネスサイドは時間が命なので、3ヶ月かかるというものが、1ヶ月半でできるということはすごく嬉しいわけです。これがすごく重要です。
3ヶ月経って期待通りと、1ヶ月半でちょっと間違っているかもみたいな時、どっちが良いかというと、1ヶ月半でちょっと間違ってた方がいいわけですよね。なぜかというと、直すのにそんなに時間はかからない。なので、デザイングループで『2割共有』がすごく大切にされていると思いますが、2割の段階でこの方向でいいですかっていうのを確認して、もう出来たのですか早いですね!と言われつつ、修正して完成です。結果、この進め方のほうが早いので、ビジネスサイドの信頼、もっと言えば経営への信頼を得られます。
古結:「ちゃぶ台返し」みたいな言葉がありますけど、それだとビジネスサイドもプロダクトサイドも全員不幸せですよね。
山崎:それは困ると思いますよね。そこまでいっているとお互い妥協するしかない。ここまで作っちゃったんなら仕方ないですね、みたいな話になったりするわけです。プロダクトサイドはここまで作ったから直せないとかなりますよね。もっと早く言ってくださいみたいな話になる。
でも本当に売れるものを作るということが目的になると、そこまでやらなきゃいけないってことですよね。売れると思うものを作るのであれば、まあこれで売れるかもねみたいな話で妥協で終わるんですけど、本当に売れるものを作るとなったらそうはいかない。
古結:そうですね。これは私が学んだ文化として、デザイン組織で根付かせようとしているます。一方で、デザイナーの特性として、いいものを作りたいというのがあって、どこが2割なのかっていう設定がなかなか難しいところです。
山崎:特に日本のデザイン業界は制作会社の方も多いと思うので、ビジネスモデルとして難しいというのはあるかもしれないですよね。エンジニアもかつては同じでした。SIerに発注して、上がってくるものを検品する。そういう状況だと、アジャイル開発っていうのは難しい。スピードが重要であり、それを達成するために内製組織でやるというところまでつながってくるのかなと思います。
古結:デザイングループにこういう人にきてほしいという話があるとすると、
私の求める人物像としては学びたい人。挑戦をした上で失敗というか、今じゃなかったという結果をどう捉えるかで、その人の成長もだいぶ変わってくると思っています。それを学びと捉えて、次につなげてやっていけるというのは、デザイングループだけではなくエムスリー全体でも活躍できる人の重要な要素だと思います。
山崎:そうだと思いますね。やっぱり成長マインドセットって言われるような要素ですよね。難しい問題に出くわした時に、難しければ難しいほど楽しいと感じ、そこから学んで次の答えを出すというところは非常に重要になってくると思いますね。
今日、色んな議論をしてきて、エムスリーのデザイングループで活躍できる人材っていうのはこういう人なのかなみたいなイメージが湧いてきたんです。1つ目は、デザインギークであることですね。デザインが好きで、作品も作れる。2つ目は自分の頭で考える。いろんな指示が下りてくるわけでないので、自分でやりたいことがある、色々考えた末にこうなるんだっていう考えを持っている人ですね。3つ目は最後に出たスピード感ですよね。じっくり作って作品を出していくのではなくて、とりあえず明日見せてみようかなというスピード感は事業会社で実際に売れるものを作ろうとすると重要になってくるんです。
今日のビジネスとの接続みたいな話は、どちらかというと興味があるだけで十分かなとは思います。エムスリーに入れば、そういったところは考え方もサポートできますし、そもそもエムスリー全体の文化が支えてくれる。なので、デザインとビジネスに興味がある方であれば、今の3つの要素があれば十分チャレンジの場には立てるんじゃないかなと思いますね。
古結:そうですね。医療分野の知識とかも最初から必要なわけではないですね。
山崎:私も古結さんも全然医療バックグラウンドないですよね。
古結:私ないです笑。ところで、今日の話はどうでしたか?
山崎:面白かったです。と言っても古結さんとは毎回同じ話をしていますけどね笑。
‐完‐
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