「職人さんはすごいことをしているのに、なぜかっこよくないんだろう」
19歳の時、建築現場で抱いた素朴な問いが、今のLSを動かし続けている。店舗内装・多店舗展開支援・空間ブランディング・建設事業を展開し、創業3年で年商15億円を達成した株式会社LS。代表取締役の本間拓彌は、何を目指しているのか。
その原点から未来まで、じっくりと話を聞いた。
目次
──まず、本間さんの出身や学生時代について教えてください。
千葉県にある、一学年一クラス、十数人しかいないような田舎で育ちました。小学一年生の頃は持病があって、みんなと一緒に遊べなかった。宿題もできない、スポーツもできない。あまりいい思い出はない幼少期でしたね。
でも、小学二年生から柔道を始めて、そこから少しずつ変わっていきました。勝負の世界を知って、負けず嫌いの性格が育っていった感じです。
──中学・高校はどう過ごされていましたか?
中学は、柔道と「人を笑わせること」の二本柱でしたね(笑)。田舎の学校だから、とにかく何でも体を張って、みんなが笑えばいいって。今思うと、笑いで友達を作ろうとしていたんだと思います。
高校では柔道が十割になりました。千葉県大会の優勝を目指して、それだけを考えて過ごした三年間です。ずっと憧れていた同い年のライバルと、最後の決勝で戦って、判定で負けました。それが高校の柔道人生の最後です。
──その経験は今に活きていますか?
「熱中できるものに全力を尽くす」という感覚は、あの頃に身についたと思います。関東大会まで行けたけど全国には届かなかった。でも、限界まで挑んだという感覚は残っています。それは今の経営にも通じていると思いますね。
──なぜ建築の世界に入ったのですか?
父親が大好きだったんです。子どもの頃から、父は私にとってヒーローでした。
建築業界で楽しそうに働く父、少年心をくすぐるワクワクするようなエピソードを沢山聞かせてくれる姿は、当時の僕にはものすごくかっこよかったんです。
高校最後の夏、部活を引退してアルバイトを探した時に、大好きな父が働いている建築現場にお手伝いに行ったのが最初です。
──最初に感じた建築の魅力はなんでしたか?
正直に言うと、最初は稼ぎたいという思いでした。一日働いて一万円もらえることに純粋に感動した。同世代より稼げるじゃないかって。
でも、それだけではありませんでした。大きな建物がゼロから生まれていく過程を目の当たりにして、「いつか自分もこれをゼロから作れる人間になれるのかな」と思い始めた。その時から、社長として建築をやり切れる人間になりたいという気持ちが芽生えていました。
──一方で、違和感も感じたと聞きました。
そうなんです。職人さんたちって、誰も作れないものを作っている。技術的には本当にかっこいい。なのに、なぜか「かっこよくない」んですよ。怒鳴ったり、見た目が整っていなかったり。技術はすごいのに、世間的にかっこよく見られていない。その矛盾がずっと頭の中に引っかかっていました。
それと、父親が誰よりも汗を流して働いている姿を見て、「僕が楽をさせてあげたい」と思った。この人を幸せにするために、自分が経営者になろうと、その頃から決めていました。
──起業の経緯を教えてください。
十九歳で会社を立ち上げました。建築で勝負すると決めて、まず自分で店舗経営を経験した方がいいと思い、二十二歳でパーソナルジムと脱毛サロンを複合した施設を出しました。店舗出店の難しさを身をもって知ったことで、「一店舗目を開業する人を支援しながら内装を提案する」という営業スタイルが生まれた。物件選定からマシン選定まで含めてサポートする形で、内装の仕事を取っていったんです。
──LSを立ち上げた直接のきっかけは何でしたか?
私が思い描いていた「父を幸せにする」という原点から、いつの間にか数字だけを追う自分になっていた過去がありました。本当の意味で建築の責任を全部自分で取れる男になろうと、LSを一から立ち上げることを決めました。
──LSのミッション「空間を超え、ブランドを創造する」に込めた思いを教えてください。
建築の職人さんが「かっこよくない」と感じた原点に戻ると、彼らは「作業」をしているんですよね。空間を作る私たちも、ただ内装を仕上げているだけなら作業と変わらない。
でも、一つのブランドを作っているんだと胸を張って言える状態になったら、この仕事は本当にかっこいいものになる。空間という器を超えて、ブランドそのものを創造していく。それがLSの存在意義です。
──「建築革命」という言葉に込めた思いは?
建築業界を、若者が憧れる場所にしたい。職人が誇りを持てる業界にしたい。「建築といえばLS」と言われる存在になりたい。それだけです。
大げさに聞こえるかもしれないけれど、本気でそう思っています。
ブランドカンパニーにならないと、この革命は起こせない。だからLSはブランドにこだわる。それが私の、この業界への答えです。
──今のLSのメンバーをどう見ていますか?
ようやくスタート地点に立てた、という感覚です。ここからが本番です。
私が目指してきた景色を、メンバーたちにも見てほしい。そして、「LSのやり方を信じてやってきたから勝てた」と自覚した上で、次の世代に引き継いでいってほしいと思っています。
──最後に、一緒に働きたい人へのメッセージをお願いします。
自分の信念が、過去の経験と紐付いている人と働きたいです。「なぜ自分はこれをやるのか」を語れる人。行動に移せる人。
私も未経験でこの業界に飛び込みました。約束された場所も、約束された未来もなかった。それでもここまで来られた。だから未経験でも怖くない。
ただ、本気で話を聞いてほしい。感じたことを全部ぶつけてきてほしいと思っています。
建築を、誰もが憧れる仕事にする。
その革命は、まだ始まったばかりです。