はじめまして
僕は2019年4月にリンクアンドモチベーションに入社しました。モチベーションクラウドの解約率ゼロを目標に、システムの利用状況からお客様の解約予測を行うモデルを構築しています。具体的には、サービスの価値が正しく届くように施策の提案などを行なっています。一般的なETL処理を行うデータエンジニアより役割は広く、各種データの統合から分析まで行なっております。
下記では、学生時代から振り返り”いかにしてリンクアンドモチベーションに入社したか”、”何が魅力なのか”、”これから何をしたいと思っているか”を述べていきたいと思います。
長いお話になるので、『データエンジニアとしての魅力』を知りたい方は=>「転職と葛藤」、『ワークライフバランス』が気になる方は=>「子供の未来を作るためにグロースハック」というテーマをご覧になってください。(笑)
ポイントまとめ
①研究者の卵をやっていたらお金がもらえなくなった
②生命の危機を感じ社会に出る決意をした29歳
③子供ができて未来をつくるプロダクトを作りたい!
④未来を作るプロダクトの存続のためにデータエンジニア<= 今ココ
研究者の卵は孵化できず
僕はもともと大学院の博士後期課程まで進み「研究者王に俺はなる!」と意気込んでいました。人工知能学会や認知科学会で、自然対話場面でのジェスチャーはどのような要因により生起するか、予測モデルを構築して研究していました。
基礎研究の領域なので、工学のように世の中の役に立たせるつもりもなく『純粋たる個人の興味を満たすために個人として生きている』という状態でした。心から尊敬できる師匠のおかげで、学生としては割と恵まれた環境にいました。
例えば、認知科学会では奨励論文賞をとり、日本学術振興会の特別研究員として採用されたので、年間で100万円近くの研究費と毎月20万円の給与があり、順風満帆だ!(笑)と充実感もありました。
ただ、29を迎える歳に次の研究費を獲得することに失敗。このとき初めて、真面目に「生きる」ということに向き合った気がします。このままだと食べるものも買えなくなるし、今の奥さんと当時から一緒に住んでいたので、結婚とか子供ほしいとか色々と迷惑もかけるなぁと申し訳ない気持ちになり、おっさんなのに新卒として礼服で就活を始めました。そうです(笑)、僕は礼服と白と黒のネクタイしか持っていないのです。これは今もですが、ちゃんとTPOはわきまえておりまして、ネクタイは白を活用しました。
おっさん新卒としてアドテクの世界に飛び入り
おっさんなのに新卒として拾ってくれたのが広告業界に技術革新を起こしたアドテクの会社でした。
研究者を辞めるにあたり、とても充実した学生期間を全く無駄にするようなことはしたくないなと思っていたので、「データがいっぱいありそうなところ」「機械学習やデータ分析で活路を見出せそうなところ」「年齢でのビハインドを回収できるくらいお金もらえるところ」「礼服で就活しても怒らない企業」あたりに絞って就活しました。この頃には、お金がないと死んじゃうんだなということくらいはちゃんと認識しておりました。
1日20TB以上の広告ログのデータエンジニア
おっさん新卒の最初の1年くらいは、Webエンジニアとして開発業務にあたり、優しい先輩たちにWebエンジニアとしての基礎を教えてもらっていました。入社動機にも書いたように、大規模データを扱えるようになりたい!と思っていたので、2年目のときにデータマネジメントプラットフォーム(DMP)を開発するチームに参画させていただきました。
自身の研究で扱っていたのは基本的にメモリに乗るサイズのデータだったため、Hadoopなどの分散処理基盤に初めて触ったときのワクワク感は今も思い出します。現在はRやscikit-learnなど、機械学習を取り巻く環境がどんどん良くなっていたので、「分析だけじゃなくて、価値の源泉であるデータを適切に扱えることが大切だ」とあらためて実感したのもこのときです。
僕の休日返上の長時間勤務で奥さんが育児ノイローゼに。涙と同時に人生の宝物に気づく
3年目でリーダーになってからは、新規事業の立ち上げのため、0->1のプロダクト立ち上げを経験しました。この時は2-3ヶ月、土日も関係なく働きました。会社の名誉のために補足しますが、決して常態化した残業ではなく、僕自身何も不満はありませんでした。ただ、この年、我が家には長男が誕生していました。
生後6ヶ月の息子を奥さんに押し付け、自分は朝から晩まで家に居ない、休日もなく出社、みたいな日々を3ヶ月間も繰り返したとき、真夜中に帰ると寝ているはずの奥さんがシクシク泣いているのことに気がつきました。そこから奥さんとは向き合い沢山話し合った結果、一時的に里帰りをしてもらいとりあえずこのプロダクトをリリースするまでだからと頑張ってもらいました。もちろん僕も頑張りました。
しかし、そんなある日
当時役員になったプロダクトマネージャーからの要件変更の依頼がありました。僕はこの日の朝に『今度の日曜だけは、ちゃんと子供の洋服を買いに行こうね』と奥さんと約束したばかりだったので、この要件変更を聞いて約束を果たせないと思い、非常に申し訳ない気持ちになりついに僕の目からも涙が溢れました。
この件をキッカケに僕の働き方は大きく変わりました。基本的には定時で帰宅したり、週1でのリモートワークを認めてもらうなど、本当に大切にしたいものは何か?父親としての責任とは何か?と考えるようになったのです。
機械学習プロジェクトもやってみたけどコレジャナイ感
エンジニアとして思い出深いのは、AIスコアリングという機能開発です。お客様のサイトのクッキーを学習データとして、コンバージョンページまでいくかどうかを予測する機能でした。各クッキーに「コンバージョンしやすさ」をふることができるため、「コンバージョンしそうな人たちにはこのメール」「まだナーチャリングが必要な人にはこのメール」とメールの出し分けを実現できます。
この機能開発にあたっては、プロトタイピングでのモデルの性能調査や開発、開発後の改善まで1からやりました。研究者時代のノウハウとエンジニアとしてのキャリアが融合した感慨深いものでした。リリース後の性能評価でもメール内リンククリックが130%~290%程度改善していたので、個人としては大成功と思っていたのですが、現実はそんなに甘いものではありませんでした。
この機能自体はセールス的には全く成功しなかったのです。ビジネスサイドとの足並みを揃えることができず、エンジニアからすれば「作っても売ってもらえない」、ビジネスサイドとしては「売れないサービスを作った」というお互いを責める状況になり、ビジネスインパクトまでは創出できませんでした。
この頃の自分は、組織全体の観点で物事を捉えられるほど成熟した人間ではなく、「いかに売れるように改善するか」ではなく「売ってくれないならもう作らない」というような態度になっていました。
同時に、子育をする中で、「メール内リンククリックを10%改善する!」みたいな事業にあまり情熱が向かわなくなっておりました。毎日の行き帰りの電車の中で子供達のことが頭をよぎるのですが、この子たちの未来に貢献できている実感のようなものがなく、「何の役に立っているのかわからない」という徒労感みたいなものを感じるようになりました。
マネージャーになって組織の不思議を体感
社会人として5年目になるころには、データチームのマネージャーになっていました。上記のように少しずつ「徒労感」が溜まっていた頃でした。マネージャーという役割もよく分かっていなかったので、『エンジニアリング組織論への招待』という本を読んでいました。
その中でエンジニアとビジネスサイドがいかにして対立構造になってしまうか、限定合理性という言葉で説明されていて、上のAIスコアリングの一件もそうだなぁと感銘を受けました。
それぞれの立場や認識できるものは違うので各個人で見れば論理が通っており、このような限界が各個人には存在するのだという前提で協働することが大切だということだと思います。
また、あるメンバーの1on1でも、まさにこのような限定合理性によって開発へのモチベーションがあがらない状況が見えたので、傾聴とリフレーミングを促すための質問をしていたところ、一度だけですが、非常に効果をあげて「やります!」というような前向きな発言を引き出すことができました。この頃から、僕は自分自身のAIスコアリングと、メンバーの1on1から、「組織」と「個人」の関わりに非常に興味を覚えるようになっていました。
転職と葛藤
子供の将来に役立つことがしたいという気持ちが強くなり、転職活動を行いました。その中で、魅力的だったのは某大手ECサイトを持つ企業とリンクアンドモチベーションでした。
まず前者はデータエンジニアとしては圧倒的に魅力的でした。給与面での待遇だけでなく、データの量、質どれも国内屈指であり、自分のキャリアにとって素晴らしい経験になるだろうと感じました。
一方でリンクアンドモチベーションは、理念やビジョンがとても魅力的で「子供の未来を作る」という点でど真ん中だと思いました。結局のところリンクアンドモチベーションを選択したわけですが、データエンジニアとしてのスキルアップの環境があるのか?というのは非常に不安でした。リンクアンドモチベーションへ転職する場合、データエンジニアとしてスキルアップに繋がるのか?という懸念を持っていたわけですが、下記の点で魅力があると思うようになりました。
1) エンゲージメントスコア(ES)という独自指標
2) 組織人事という領域の魅力
3) サービス展開によって今後データ量が増大
まず1)についてですが、リンクアンドモチベーションは組織と個人の相思相愛度合いを独自の質問紙によって評価する指標『エンゲージメントスコア(ES)』をすでに持っています。また、この指標を使っての組織改善コンサルティング事業も長く存続できている事実から、独自性だけでなく、有用な指標であるとも言えると思います。今後、デバイスやツールから取れるデータはますます増大し、機械学習のツールもどんどん民主化される中で、簡単に取れるデータで簡単な機能開発を追いかけるだけでは、GAFAの参入で一瞬で傾いてしまうなどキャリアを築いていくことが難しいと思います。
このような独自指標と、他アプリでのログイン率や入退室ログなどの物理デバイスとの連携によりシナジーを生めるデータを保有しているところが魅力と感じました。
また、2)に関して組織人事に関わることをブラックボックスなモデルによってレコメンドされたとしても納得感の醸成は難しいと思いますので、データに関して他社の参入障壁は高そうだと思いました。
LMの場合、十分に熟練した業務知識を持つコンサルタントが存在するので、彼らのノウハウをベンチマークしながら機能開発を行なったり、コンサルタントへインサイトを提供できるようなデータ分析に振り切るなど、データ活用の立ち位置を色々ピボットできそうだと思いました。
最後に3)ですが、クラウドシリーズとしてサービス展開を行なっていくので、データの質や量について主体的に関わるチャンスが大きいなと思いました。これらの観点から、「子供の未来を作れる!」「データエンジニアとしてのチャンスもある!」と感じられるようになったのでLMへの入社を決意しました。
子供の未来を作るためにグロースハック
現在の仕事内容と働き方についてお話ししておきたいと思います。現在は、モチベーションクラウドを残念ながら解約されたお客様のデータを元に、解約予測をするモデルを構築したり、それらをコンサルタントの方に連携してフォローしていただいています。
コンサルタントへの共有方法としても、ちょっとしたバッチ処理を書いて営業管理ツールにデータを連携させたりもしています。また、モチベーションクラウドの価値を正しくお客様に届けるためにエンゲージメントスコア(ES)をいかにして上げるかの分析も今後行なっていく予定です。
サービスの根幹まで肉薄することになるので、「子供の未来うんぬん」についてとても貢献できる効力感があり、ワクワクします。
働き方についてですが、現在は9:30~18:30での勤務をベースにさせていただいています。基本的にはほとんど残業はなく、飲み会の代わりにランチに誘ってもらうなど、育児とのバランスについてみんなが協力してくれて大変ありがたい限りです。評価に関わる目標の段階でも、限られた時間の中でどのような貢献をするかという観点ですり合わせをしてもらっています。
最後になりますが『僕は今、最高のモチベーションでプロダクトやサービス作りに参画できています』
どうしてこんなに気持ちよく働けているのだろうという部分を考えてみるに、LMの方たちひとりひとりが同じ方向に向かっているからだと思います。
問題で対立する関係ではなく、同じ目標に向かい、問題を乗り越える仲間として協調できるのはエンジニアとして恵まれた環境だと思っています。
ぜひ一緒に仲間として働いてくれる方をお待ちしております。