イベントレポート:直接支援から、社会のインフラ作りへ。「発達ナビ」を通じて全国の支援者やご家庭を支えることが、自分のやりがいに。
本記事では、2027卒の学生向けに開催したLITALICOトークイベントの内容をレポートとしてお届けします。(開催日:2025年11月25日)
今回のトークセッションに登壇したのは、新卒でLITALICOに入社し、直接支援の現場(教室)から、社会の仕組みを作るプラットフォーム事業(Webメディア/SaaS)へ異動、現在はセールスグループのアシスタントマネージャーを務める番留(ばんどめ)です。
なぜ彼女は直接支援の現場から、プラットフォーム事業部へと活躍の場を移したのでしょうか。自身の原体験を通した就活の軸の作り方、そして若手社員が成果を出すために必要な当事者意識について、これからのキャリアを考えるヒントをお届けします。
目次
登壇者紹介
「目の前のお子さま」か「社会の仕組み」か。就活で悩み抜いた原体験
ひとりの中学生の言葉が変えたキャリアの方向性。入社後の転機と異動の決断
「支援者」を支えることで、間接的に何万人もの子どもを救う
1日のスケジュール
顧客の「潜在ニーズ」を掘り起こす。若手が成果を出すための思考法
「当事者意識」とは、自責することではない
参加した学生へのメッセージ
登壇者紹介
株式会社LITALICO 発達ナビ部 セールスグループ アシスタントマネージャー 番留
金沢大学にて社会学を専攻。学生時代は学習塾でのアルバイトや、発達障害のあるお子さま向けワークショップの企画運営に携わる。新卒でLITALICOに入社し、学習教室「LITALICOジュニア(https://junior.litalico.jp/、以下「ジュニア」)」の指導員として教室運営や指導業務に従事。その後、より広域な社会課題解決を目指して「LITALICO発達ナビ(https://h-navi.jp/、以下「発達ナビ」)」へ異動。インサイドセールスやセミナー運営を経て、現在は福祉施設向け経営支援SaaSのフィールドセールスおよびマネジメントを担当している。
「目の前のお子さま」か「社会の仕組み」か。就活で悩み抜いた原体験
学生時代から教育や福祉の分野に強い関心を持っていたという番留。大学時代は、発達障害のあるお子さま向けのワークショップや学習塾での活動に没頭していました。しかし、就職活動を始めた彼女は、ある葛藤に直面します。
「最初は教員や学習塾、地元のNPOなどを視野に入れていました。でも、自己分析を進める中で『目の前のお子さまへのアプローチだけでは、自分が解決したい社会課題の根本には届かないのではないか』というモヤモヤが生まれました。そこで、もっと社会全体に影響を与えられるような、大きな仕組みづくりに関わりたいと考えるようになりました」
そこから、教育・福祉業界に絞らず、IT、メーカー、企業のCSR部門など幅広く企業を見るようになりました。
その中で出会ったのが、ある建設会社の社長です。
「我々はただ建物を建てているんじゃない。全国に福祉施設を作ることで、日本の社会課題を解決したいんだ」その社長の言葉に、番留は深く共感しました。
「これだ、と思いました。現場で一人ひとりと向き合うだけでなく、建設というビジネスの力を使って、全国規模でインフラを整える。そんな社会貢献の形があることに感動し、『この会社で働きたい』と本気で思いました」
しかし、その高揚感は、現場の社員と話す中でギャップを感じ始めたといいます。 選考が進み、実際にその事業部で働く社員と会話をする機会があった時のこと。社長の熱いビジョンについて話を振っても、返ってくる言葉には予想していた温度がありませんでした。
「『ああ、社長がやりたいって言ってるから、自分はこの部署に配属されただけなんだよね』といった様子で……。トップがどれだけ素晴らしい夢を語っていても、現場にはそれが"やらされる仕事"としてしか伝わっていない。その温度差に、違和感を覚えました」
この経験は、番留にとって大きな転換点となりました。 「社会課題の解決」を掲げている企業であればどこでも良いわけではない。そこで働く社員一人ひとりが、本気でその課題に向き合っていなければ、自分自身も幸せに働くことはできない。
それから番留は「自分が幸せに働くための3つの条件」を軸として定め、就活をしました。
1つ目は、教育・福祉という自分が興味のある分野であること。 2つ目は、社会課題の解決に貢献ができ、社会に対して高い影響力を持っていること。 3つ目は、社員一人ひとりにビジョンが浸透しており、全員が同じ方向を向いていることです。
「この3つの軸を全て満たしていたのがLITALICOでした。特に選考を通じて驚いたのは、社員のビジョンへの共感度の高さです。『障害のない社会をつくる』という言葉が、単なるスローガンではなく、社内で共通言語になっていることに衝撃を受けました」
ひとりの中学生の言葉が変えたキャリアの方向性。入社後の転機と異動の決断
企業選びの3つの軸に沿って、新卒でLITALICOを選び入社した番留は、当初の希望通り、学習教室(ジュニア)の指導員として配属されます。日々、目の前のお子さまと向き合い、成長を支える仕事に大きなやりがいを感じていました。
しかし、ある利用者さまとの出会いが彼女のキャリアを再び大きく動かすことになります。
「その子は小学校、中学校と、友達との関わり方や感情のコントロールに悩みながら学校生活を送っていました。中学3年生になってからジュニアに通い始め、一緒にソーシャルスキルを学び、高校入学時に彼は自分と気の合う友達を作ることができました」
素晴らしい成果が出た一方で、その利用者さまがふと漏らした言葉が、番留の胸に深く刺さります。
「『僕が小学生の時にもLITALICOがあったら、人生はかなり違ったのにな』と、彼が言ったんです。その言葉を聞いた瞬間、ハッとさせられました。適切な支援に繋がれないまま苦しんでいる子が、世の中にはまだたくさんいるんじゃないか。そう気付かされたんです」
目の前の一人を救うことも非常に大切なことですが、それだけでは「まだ出会えていない多くの子どもたち」を救うことはできません。
このことをきっかけに、直接支援から社会のインフラ作りへと志向がシフトしました。そして、福祉施設向けのプラットフォーム事業である「発達ナビ」への異動を希望します。
「より多くのお子さまが、早期に適切な支援と繋がれる『社会の仕組み』を作りたい。そのために、直接支援の現場で得た知見を活かして、今度は全国の支援者を支える側に回ろうと決意しました」
「支援者」を支えることで、間接的に何万人もの子どもを救う
番留が異動先として選んだ「発達ナビ」は、発達が気になるお子さまの保護者と、児童発達支援や放課後等デイサービスといった支援施設をマッチングするポータルサイトです。
直接支援(ジュニア)が「目の前の一人」に深く向き合う仕事だとすれば、発達ナビはITの力を使って「社会の仕組み」そのものを作る仕事だと言えます。
「業界全体を見渡すと、多くの事業所が『集客がうまくいかない』『煩雑な請求業務に追われている』といった経営課題を抱えており、肝心のお子さまや保護者さまと向き合う時間が削られている現状がありました」
そんな課題に向き合うために、現在、番留は全国の福祉施設に対する経営支援サービスを担当しています。
採用課題の解決や、請求業務の効率化、教材の提供などを通じて、支援者が事務作業の時間を短くし、経営課題の解決に繋げ、事業所が「お子さまと保護者への支援」に集中できる環境を整えること。それが結果として、サービスの質を高め、より多くのお子さまが適切な支援を受けられる社会に繋がるはずです。
「現在、発達ナビは業界トップクラスのシェアを誇るサービスへと成長しました。発達ナビの拡大とともに、間接的に多くのお子さまを支えられているという実感が、今の私の原動力です」
1日のスケジュール
では、番留は具体的にどのようなタイムスケジュールで動いているのでしょうか。
現在はアシスタントマネージャーとしてチームを率いつつ、プレイヤーとしても最前線に立っています。始業後はメールやSlackのチェックからスタートし、午前中は上長と会議で認識を合わせ、10時から商談へ向かいます。
午後は再び商談や顧客対応を行い、夕方には日次の定例会議でチーム内の情報を共有し、振り返りを行います。チームメンバーと連携しながら、丁寧に一人一人の顧客と向き合います。一つ一つの課題に向き合い解決を進める日々の積み重ねが、彼女のキャリアを形作っているのです。
顧客の「潜在ニーズ」を掘り起こす。若手が成果を出すための思考法
「当事者意識」とは、自責することではない
番留は異動後、セールスとして実績を積み重ね、現在はマネジメントも担っています。彼女は、若手が成果を出すために必要な成長として「提案力」と「当事者意識」の2つを挙げました。
まず、「提案力」については、単にサービスを売るのではなく、顧客自身も気づいていない課題を見つけ出すプロセスが重要です。
「お客さまが言葉にしている『顕在的な悩み』だけでなく、その裏にある『潜在的な課題』まで深掘りすることが重要です。例えば『集客に困っている』という相談でも、詳しく聞けば『支援の質に自信がなく、アピールできていない』ことが本質的な原因かもしれません。これらの潜在的な課題を見出し、重要な課題と先方と合意します。そして、そのための解決策を提案していく。解決策の提案には、LITALICOには多様な事業があり、膨大な支援ノウハウがあることが生きてきます。それらを組み合わせることで、お客さまの期待を超える解決策を提示できるようになった時、自身の成長を感じました」
続いて成長の鍵になったのは「当事者意識」です。この言葉は時に「全ての責任を自分で負う」という厳しさとして捉えられがちですが、番留は「他責ではなく、自分ごととして考えること」がポイントだとします。
「入社したての頃は、私も『マニュアルがわかりにくいから失敗した』とか『上司の指示が曖昧だったからできなかった』など、環境のせいにしたくなることがありました。でも、LITALICOで言う『当事者意識』とは、自分を責めることでも、全てを一人で抱え込むことでもありません。『組織の課題を自分ごととして捉え、解決に向けて動くこと』なんです」
「『マニュアルが悪い』と嘆くのではなく、『後輩が同じミスをしないように、私がわかりやすく作り変えよう』と考える。上司の指示がわからなければ、自分から確認しに行く。そうやって『自分が状況を変える主体』になった瞬間、仕事のストレスがぐっと減ったんです。人のせいにしているときは、自分ではコントロールできないことにイライラしてしまいますが、自分ごとにしてしまえば、改善のアクションが取れる。このマインドセットを持てたことが、社会人としての私の一番の成長であり、楽しく働くための秘訣だと思っています」
参加した学生へのメッセージ
イベントの最後、番留はこれから社会に出る学生に向けて、自身の経験を踏まえたメッセージを送りました。
「新卒としての就職活動は、人生で一度きりです。だからこそ、条件や知名度だけで選ぶのではなく、とことん自己分析をしてほしいと思います。私が『直接支援だけではなく、もっと多くのお子さまに必要な支援を届けたい』と考え、今のキャリアを選んだように、皆さんも『自分が本当に解決したいことは何か』『どうすれば幸せに働けるか』を突き詰めてください。悔いのない選択ができるよう、応援しています」
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