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開始から3年、プロジェクト100以上。LINE FukuokaのSmartCity事業の現在地とビジョン


経営陣との対話を記事として公開するLeader’s talkシリーズ。今回は、LINE Fukuokaの戦略事業である、Smart City事業を推進しているDX・Smart Cityセンターの南方さんです。
「福岡を世界に誇れるスマートシティにする」というミッションを掲げ2018年にスタートした事業の現在地、これからのビジョン、また、その裏にある南方さんの情熱について知ることができました。

Leader’s profile

南方 尚喜(みなかた なおき)
LINE Fukuoka株式会社 DX・Smart Cityセンター センター長

<略歴>
東京都出身
2007年リクルートコミュニケーションズ入社。広告制作や新規事業の立上げに従事。
2018年LINE Fukuokaに転職。経営企画として会社の基盤づくり、また福岡市との協業案件を担当。2018年8月に福岡市と包括連携協定を締結。Smart City戦略室を新設し室長に就任。設立から2年間で60以上のスマートシティ関連プロジェクトを遂行。2021年8月、DX・Smart Cityセンターに組織格を拡大し、センター長に就任。

─ 南方さんは東京出身ですが、福岡と接点があったのですか?

前職のリクルートに入社して、3年目から5年間は福岡支社で働いていました。福岡は本社と離れている分、自由度が高く、福岡だからできる仕事をしようという雰囲気がありました。それで、当時まだほとんど誰もやっていなかったSNSと連携した企画を西日本鉄道さんに提案したら、「いいですね、やってみましょう」と。大きな会社なのに、新しいことにすごくポジティブにチャレンジしてくださった原体験があります。福岡には人を喜ばせたり、まちが一歩進んだりするためにいろいろやっていこうという空気があるなと魅かれました。

― なるほど。LINE Fukuokaに転職されたのはなぜでしょう。

前職ではいろんな事業を渡り歩きましたが、モチベーションは「評価されたい」「表彰されたい」という自分軸で、「自分が本当にやりたいこと」が見つかっておらず漠然とした焦燥感がありました。30歳を過ぎ、社長の塾に参加する機会に恵まれて、最後に「人生をかけて取り組みたい社会課題は何か」をプレゼンすることに。自分なりに考えプレゼンしたところ、「本当にこれをやりたいの?」と問われて、自信を持って「はい」と答えることができず、挫折感に苛まれました。
その後も考え続けた結果、「壮大な社会課題を解決するより、大好きな福岡のまちや知人に喜ばれる仕事がしたい」とシンプルな思いにたどり着きました。ちょうどその頃、福岡時代に一緒に働いていた鈴木優輔さん(現LINE Fukuoka代表取締役CEO)と話す機会があり、LINEというサービスを通じて、福岡の人の暮らしやまちをより良くするためにチャレンジしてみたいと思うように。そこで福岡へ移住し、2018年1月LFKに入社しました。

― 入社後はどんなことを?

まずは、経営企画で評価制度の設計・表彰制度の運用などを担当。入社から約半年たった6月に福岡市キャッシュレス実証実験の公募があったので、社内で手を挙げて担当することに。結果、見事に採択され、市内の動物園や博物館、屋台などにLINE Payを導入しました。
7月末にはWeChatというアプリが浸透している深センを視察し、「福岡もこんな風にしたい」とビジョンが定まりました。帰国してすぐ福岡市さんに相談して、8月には包括連携協定を締結することができました。わずか3週間で締結に至るのは、すごい熱量とスピード感だったと思います。そして同年12月、社内に「Smart City戦略室」を設立しました。

福岡市との包括連携協定締結式(2018.08.23)

― 入社1年目で新しい組織を立ち上げられたのですね。現在、「DX・Smart Cityセンター」長として取り組まれている事業の概要を教えてください。

大きく3つあります。まずは、「福岡でモデルケースをつくる」こと。福岡市さんとの包括連携協定や西鉄さんとのDX協定に基づき、福岡市LINE公式アカウントや西鉄電車/バスLINE公式アカウントなどの新機能を企画しています。2022年8月現在、福岡市LINE公式アカウントは友だち数が約182万人になり、全国の自治体アカウントの代表事例になっています。
次に「モデルケースの汎用化」。自治体向けのオープンソース・GovTechプログラムを開発し、現在80ほどの自治体が導入。アカウント運用や広報ノウハウなども公開しています。
そして、「地場企業との社会課題解決コミュニティ活動」があります。コロナ禍の2020年10月「Fukuoka Smart City Community」を立ち上げ、自然災害や感染症の課題を解決しレジリエンスの高いまちづくりを推進しています。

―「Fukuoka Smart City Community」が立ち上がった経緯は?

きっかけは、コロナ禍のまちの課題解決を西鉄さんとスピード感を持って実行したこと。緊急事態宣言によって、人の移動が大幅に減少したことが西鉄さんの経営課題となり、市民は宣言が解除されても出かけるのが不安だった。この双方の課題を解決するために、LINEで交通機関の混雑状況が見える機能をわずか8日間で開発して世に出しました。
こういうことをいろんな企業とやれば、もっといいまちになるはず。世の中が変化する中、市民が直面する課題を、行政や市民、企業の枠組みを越えて解決できるまちを作りたいと考え、各社に声を掛けました。そしてグッデイ(嘉穂無線)、JR九州、西部ガス、西日本シティ銀行、西鉄、福岡銀行、福岡国際空港、福岡地所、LINE Fukuokaの9社で、福岡市をオブザーバーとして、10月にコミュニティを開設しました。まずは自然災害と感染症を2大テーマに設定し、月1回の全体会議をベースに取り組みを進めています。今は市民投票で選ばれた「ペット防災」について、9月に各社でアクションを起こす準備を進めているところです。

Fukuoka Smart City Community会議の様子

― 南方さんは事業の現在地をどう捉えていますか?

僕らの事業は直接、利益を生むわけではないので、事業や組織が存在していること自体が奇跡的。ふつうの会社では、なかなかこのような組織をつくる承認はおりないと思います。この奇跡の火を絶対に消してはならないと思っています。
4年前、実績ゼロからビジョンだけで優秀な人が集まり、少数精鋭ながら100件近いプロジェクトを実行できました。福岡の経済界では新参者のLINE Fukuokaの呼びかけに、たくさんの有力企業が仲間になってくれています。
まちづくりは一過性のものではなく、続けていくことが大事。そのため地域のプレイヤーの皆さんと丁寧に信頼関係を構築し、少しずつ実績を積み上げ、価値を見える化していくことを今は特に意識しています。

― 今後のビジョンを教えてください。

最近は全国でスマートシティのプロジェクトが勃興して、あらゆる企業や団体が参画しています。ただ、海外や他の自治体の事例を参考にして、企業の利益を追求したり、プロジェクトを立ち上げること自体が目的になっていたりするケースが多いように感じます。
僕らは福岡のまちに向き合い続けて、福岡の市民や企業や自治体から得られる一次情報こそが最大のFactでありFindingsであり最も信じるべきものと捉えています。僕らはLINE Fukuokaの社員であると同時に福岡市民でもあり、自身が肌で感じ、課題を設定して解決していくことにこだわり続けたい。僕らなりの福岡ならではのスマートシティのあり方を模索し推進していきます。

― どんな福岡を目指していますか?

外から見ると「福岡で働きたい」「福岡に住みたい」と思われて、住民自身も福岡に住んでいることを誇りに感じ自慢したくなるように、まちにもっともっと輝きを作っていきたい。変化が激しい時代において、「日本で一番課題解決が早いまち」であることも魅力的な要素だと思います。課題にぶち当たったとき、自治体や企業や市民がみんな手を挙げて解決していくまちになれるポテンシャルが福岡にはあり、それをリードしサポートしていきたいです。

― 一緒にチャレンジする仲間を求めているとのことですが、今、DX・Smart Cityセンターに参画することの魅力を教えてください。

この4年で地域との枠組みや信頼関係ができて、いよいよ走り出せる体制が整いました。いきなりアクセル全開で各々がやりたいことにチャレンジできるというのは、すごく魅力的だと思います。
僕らには全国初・全国ナンバーワンのサービスをつくる企画力や実績がある。スマートシティという分野に4年も取り組んでいて、パイオニア的な存在でもある。そして、全国で子どもから高齢者まで9200万人が利用しているLINEというツールを使うことでインパクトやダイナミズムを実感しやすいというのも、大きな強みです。
福岡はまだまだ変化し成長していくフェーズにあり、FUKUOKA Smart EASTや国際金融都市構想など壮大な取り組みも進行中です。僕らが関わるチャンスがいくらでも生まれてきて、やれることだらけです。
また今後は事業の持続性(=ビジネスメリットの創出)にも注力していきたいので、新規事業やベンチャー企業のような面白みも感じられると思います。

― センターにはどんなメンバーがいますか?

兼務を含めて15人ほど。新卒の22・23歳から40代前後まで、前職も出身地もあえてバラバラな人を採用してきました。バックグラウンドはさまざまですが、共通点はちゃんと自分で見て聞いて感じて、問題意識を持ち、自分なりに考えて行動できる、主体的で能動的な人ばかり。あとは福岡が好きで、福岡に貢献したいという思いは全員が持っています。

僕はLINE Fukuokaに転職したけれど、ITの専門知識も自治体と仕事をした経験もなく、スマートシティの即戦力にはほど遠かった。でも、「やりたい」という強い意志は、多少の経験やスキルの不足を凌駕できる。何よりも、まずは気持ちのセットが先というのが僕の信念です。今まで活躍したメンバーをみても、やはり思いが強い。福岡で働きたい、スマートシティの仕事がしたいという思いが強い人にぜひ来てほしい。逆に、与えられた仕事をこなすことや、明確なKPIを追いかけるのが好きな人には合わないと思います。

― 南方さんはLFKに転職して、「人生をかけて取り組みたい」ことが見つかりましたか?

今は、人生をかけて、こういう仕事を続けていきたいと思っています。自分自身が納得でき、目指していきたい気持ちになれる旗を立てることが大事じゃないでしょうか。個人的にはスポーツが好きなので、福岡で大規模なスポーツの世界大会に携わる仕事がしたいという思いもあり、そのためには福岡を世界から注目されるまちにしたい。
大好きな福岡が今だけでなく100年先もその先も愛される都市であるために、LINE Fukuokaという立場でできることを精いっぱいやっていきます。大事なのは、やめないこと。やり続けていけば、きっと道は拓けていくと信じています。

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