創業前夜~Create what you want to see in the world~
「自分のお金を引き出す為に、なぜ手数料がかかるのだろう?」「現金手渡しは無料なのに、振込などはなぜ無料にできないのだろう?」
一生活者としての漠然とした疑問と、銀行員として考えてきた金融機能のあるべき姿が交差した時、事業を興すことを決意した。
何よりも背中を押したのは、2011年3月に起きた東北の震災でした。当時、多くの方々があらゆる支援の形を以って、復興を支援した。僕には何ができるだろうと考えた。
すぐにでもボランティアとして現地に駆けつけることもできたけれど、僕は自分の銀行員としての経験や専門性を活かして、自分だからこそやるべきことは何なのかを考え続けた。
僕が考えたことは「Banking」に再び人間の信頼と期待を取り戻すことでした。それは、金融サービスとしてではなく、生活者の暮らしに溶け込むライフスタイルサービスとしての存在を目指す始まりでもあったのです。(Kyashが、金融街のど真ん中にオフィスを構えないのもこういう理由からです)
着目したのは、価値の移動でした。
銀行業界が創り出した為替取引(隔地間で現金の輸送をせず資金を移動する仕組み)と、カード業界が創り出したクレジットカード取引(手元に現金がなくても信用又は現金残高)。この金融インフラの根幹をなす発明を融合したサービスを届けたいと考えたのです。
これが実現すれば、お金にまつわる煩わしさを減らすことができ、もう一つのテーマである、「より安い」「より速い」だけではない、「豊かさ」をテクノロジーによってもたらすことができる。それが僕の信念とも言える考えです。
もっと簡単に仲間とのお金のやりとりが完結したら、もっとストレスなくお店への支払ができたのなら、利用者の日常に僅かばかり心の豊かさを届けられると思うのです。
Kyashのプロダクトは、サービスそのものに留まらず、サービス体験により生まれる生活の変化だと捉えています。価値移動の目的地がお店であっても、友人や同僚であっても、本来同じ仕組みの中で提供できるべきだと思っているのです。
社名の由来 ~Kyashへの想い~
お金は、時代とともにその形状を変えてきました。日本ではお米や布が、海外では石や貝などが通貨である時代を経て、現在は紙幣と硬貨が通貨とされています。
「Kyash」とは、お金の新しい在り方を創りたい、来るべき通貨そのものを想像したいという想いで命名しました。(ロゴは、現在の価値交換に使われる紙幣・硬貨・カードで構成された頭文字Kがモチーフ)
同時に、僕たちが創るサービスも、時代に適したものを創造し、常に形を変えながら変革を遂げていきたいという意思表示でもあります。
綴りに関しては、今後の海外展開を見据え、東西で発音が同じとなるよう「Kyash」としました。
Kyashのこれから ~もっと自由な価値移動の世界へ~
Kyashは優秀で志の高いチームと投資家を始めとする多くの支援者のおかげで、2017年春に日の目を浴びました。今後は、より優れた機能と領域の拡大を行い、感情のままに価値の移動ができる、すなわちお金をもっと自由に動かせる世の中を創りたいと考えています。
これにより、日常のお金のやりとりを越えて、文化や芸術における新しい価値の循環や、経済活動をより一層推し進めていく役割を担っていきたい。そう考えています。
まだ小さなチームと駆け出しのプロダクトですが、ぜひ話を聞きにきてもらえればと思います。
鷹取 真一 Founder & CEO
Profile:早稲田大学国際教養学部卒業後、三井住友銀行に入行。 法人営業を経て、経営企画にて海外拠点設立、金融機関との提携戦略の担当として国内外の銀行モデルを研究。その後、米系戦略コンサルファームの日米拠点にてB2C向け新規事業に携わる。次世代の通貨を構想し、株式会社Kyashを創業。一般社団法人FinTech協会の理事。