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「こういうデータ分析チームもありかもしれない」と思えた話

こんにちは。クラシコムデータ分析チームの高尾です。

先日、Kurashicom Tech Talkにてデータ分析に関するお話をしました。


【ウェビナー】スタッフの感性をデータで裏付け!健全な成長を支える「北欧、暮らしの道具店」のデータ分析 トークイベントを開催します。11/15(火)19時〜|Kurashicom Tech Blog|note
こんにちは、クラシコムの馬居です。この度、クラシコムデータ分析についてのトークイベントを11月15日(火)19時からオンライン開催することになりました。(お申し込みは こちら ) 本イベント開催のきっかけとして、先日クラシコムのデータ分析チームについてまとめたリリースを配信いたしました。 ...
https://note.com/kurashicom_tech/n/na1f69c2a2ee9

当日は100名以上もの方にご参加いただき、とてもいい時間になりました。
今日はそのイベントでお話した内容の一部についてご紹介します。

「イベントでお話したい!」と広報や人事に僕から相談して、開催が決定したのですが、お話したい、と思えたのは、僕自身が、ようやく「こういうデータ分析チームのありかたもいいかもしれない」と思えたから、だったのでした。

そこで、イベントでは、参加してくださった方にも、そう感じていただければいいな、と考えてお話をしました。

データ分析を、「健康」にたとえて考えてみる

僕らのデータ分析チームは、いうなれば、「かかりつけの小児科医」のような存在だな、と感じています。クラシコムのデータ分析は、ビジネスの健やかな成長を支えている、と考えていて、そういう意味でも、健康をメタファーにしながら考えるのがよさそうです。

データ分析チームが発足したころ、データチームとして3つの役割を果たしたい、と考えていました。

健康診断、意思決定支援、予測です。

健康診断:事業の状態を常にウォッチできる環境を作る。
健康にたとえると、体重をはかれるように体重計を用意する役割です。

意思決定支援:意思決定のための情報、観点を提供する。
週に一回ランニングするといいのでは?とアドバイスして運動を促す役割。

予測:見込みの情報を提供する。
このままいくと、3ヶ月後はこういう健康状態になっていると考えられます、と伝える役割。

               データチームが果たしたい3つの役割

健康をメタファーにするのがしっくりくるのは、クラシコムのKPIへの向き合い方とも関係がありそうです。
KPIを目安と必達目標にわける、という考え方については、過去にこちらのブログにまとめたので、お読みいただけると嬉しいです。

僕らにとってKPIとは何か | クラシコム
ビジネスプラットフォーム部の高尾です。僕は普段、データ分析や事業予算の策定に関わる業務を行っています。 いずれも、KPI(Key Performance Indicator)の設定や継続観察が重要な領域ですが、このKPIとの付き合い方には、クラシコムの経営や事業に対する考え方が色濃く現れているように感じています。 今回は、このクラシコム流のKPIとの付き合い方について書いてみようと思います。
https://kurashi.com/journal/11131

簡単にまとめると、会社がコントロールレバーを握っているのかどうかでKPIの扱い方を変えて、コントロールレバーを握っている場合は、「目安」としてトレンドをウォッチし、コントロールレバーを握れる場合、重要な指標であれば「必達目標」として管理する、という考え方です。

データチームの成り立ちについて

現在のデータ分析チームは、図のような4つの役割をもつメンバーで構成されています。

               データチーム構成

この体制に至るまでの3年間の取り組みを紹介します。

有志で勉強する時期

2019年、僕がクラシコムに入社した頃、社内の有志(経理担当者、バイヤー、僕)でSQLの勉強をして、分析を行っている時期がありました。
ああでもない、こうでもないと議論しながら、SQLを書いたり書けなかったりと、すべてを手探りで行っていました。
わいわい議論する環境は、楽しさはあったものの、分析できる内容に行き詰まりを感じていたこともあって、業務委託の募集をしました。

先生を得た

当時は自分たちの進むべき方向も明確にできたいなかったため、「分析の先生か、一緒にもがいてくれる人にきてほしい」と募集し、いろいろな方にお会いした結果、先生として、データアナリシスの専門家を迎えることとなりました。
同時期に、カヤックさんとの業務提携もはじまり、このタイミングでデータアナリストとデータエンジニアの専門家を擁するチームができました。

データ分析基盤の原型を作り始めた時期

しかしながら、当時はデータ分析基盤が整備されていなかったこともあり、データをスプレッドシートに集約する運用を行っており、度々発生するデータ転送の抜け漏れの対応に工数がかかる状況となっていました。

そこでデータアナリスト、データエンジニアの協力を得て、BigQuery、Lookerの導入を行いました。2020年の夏は、lookMLを学ぶ夏となりました。
この2つのツールによって、一定データ基盤が安定したこともあり、複数データソースを使いたい、という気持ちが強くなり、データ転送ツールのtroccoを導入しました。

新たな仲間を迎える時期

データ分析チームの今後の方向性には、ずっと悩んでいたのですが、2021年の暮れごろに、風音屋さん(データ分析の本を書いているゆずたそさんの会社)がデータ分析の支援をされている、というプレスリリースを出されていて、「これは僕らに必要なものを提供してくれそうだ!」と感じたので、風音屋さんのコーポレートサイトからお問い合わせしました。そして、縁あって、そこからクラシコムのアドバイザリーをしてもらっています。

そうこうするうちに、こちらのnoteでも紹介したとおり、lookMLの運用が複雑化してきたので、primeNumberさんとの共同プロジェクトを行いながら、troccoのdbt連携機能活用を進めているところです。

    困りごとが発生したら、新しい仲間やツールを外にもとめて解決してきた3年間

データ分析チームの貢献とは・・・?

さて、このように変遷をとげてきたデータ分析チームですが、僕の頭のなかにはずっと「クラシコムにどう貢献できているのだろうか」というもやもやした気持ちがありました。

「はかる」「わかる」「かわる」

データ分析をする上で、僕が心にとめているフレーズに「はかる」「わかる」「かわる」というものがあります。
これは、健康経営の文脈などでよくいわれているものです。
「かわる」ために「わかる」必要があり、「わかる」ためには「はかる」必要がある。逆に「かわる」ことができるのであれば「わかる」必要はないし、「わかる」ことができるのであれば「はかる」必要もありません。

クラシコムの「わかりかた」

クラシコムは、従業員の8割が元顧客、という構成なので、お客様のことは、自分たちの胸に手を当てて考えると、一定の水準で「わかる」、という特徴があります。

また、社内slackには、#salesというチャンネルがあり、毎15分、売上情報が自動的に反映される仕組みが構築されています。社内のスタッフや経営陣は、長い人であれば10年くらいのスパンでこれを見続けており、どういう施策をすると、売上がどう変わるかを、肌感覚として身につけてもいました。10年を超える肌感覚の蓄積にまさる「わかる」を提供するのも、相当に難易度の高い取り組みです。

ようやく見えてきた3つの貢献

しかし、改めてデータ分析チームが取り組んできたことを振り返ってみると、以下の3つの貢献があるのではないか、ということが見えてきました。
・わかるを広げる。
最初は、「経営者や、社内のスタッフ」の「わかる」を(10年の肌感覚の積み上げもなく、元顧客、というわけでもない)僕が、「わかる」ために始めた取り組みでした。
この「わかる」を、更に、上場準備や上場を通じて、投資家さんをはじめとした、社内外の多様なステークホルダーにも広げることができつつあります。
・わかるの種類を増やす
また、売上のトレンドからは見えにくい、顧客軸での蓄積などは、SQLを書かないとなかなか視覚化することができなかったこともあり、こういったデータを提供できたことで「わかる」の種類を増やすことができています。
・はかるの効率化
日々、現場で数字をウォッチしながらみんなが業務を行っている中で、たとえば、メルマガ経由の売上はどれくらいだったのだろうか、という指標が、データ基盤の構築によって効率的に取得できるようになりました。こうして、みんなの「はかる」が効率的になっています。

                データ分析チームの3つの貢献

こうして考えてみると、ドラマチックな「かわる」をもたらしてはいないものの、いうなれば、かかりつけの小児科医のような安心感が提供できていそうだな、ということをじんわりと感じられたのでした。

カヤック池田さんから技術面のお話しをしてもらった

さて、今回ご紹介したのは、ビジネスサイド、チーム運営側の視点でしたが、当日のイベントでは、業務委託でお世話になっている、カヤックの池田さんにも登壇いただき、技術面についてもお話いただきました。
こちらの資料にまとまっていますので、ぜひ、御覧ください。

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