※前回の記事の続きです。
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後編では、ハプニングが起きた時に出会った、素敵なトルコのおじさんについて書きます!
トルコ旅行最後は、イスタンブールで過ごしました。
ロカンタと呼ばれるトルコの大衆食堂では、すでに出来上がっているいくつもの料理のなかから好きなものを指さしてよそってもらいます。ローカル感溢れた雰囲気で、美味しそうな料理たちを前にするとどれを食べるか迷ってしまうほど、豊富なメニューが揃っています。母にストップをかけられなかったら、調子に乗ってあれもこれもと頼んで食べきれない事態が発生していたはずです。(笑)
イスタンブールは、まちを歩けばオシャレなカフェがたくさん!
雰囲気に魅了されて入ったカフェでは店員さんがとても優しく接してくれて、「どこから来たの?」という質問に「日本だよ!」と答えると、「僕はワンピースが好きなんだ」と素敵な笑顔を向けられて、嬉しくなりました。そういった簡単なやりとりだけでも、心の距離が縮まった気がして、今でもその瞬間を覚えています。これは私なりの考えなのですが、旅行の思い出って、人が占める割合が大きいと思います。旅先でどんな人と出会い、どんなやりとりをしたか。美味しい食べ物や美しい景色ももちろん思い出に残りますが、人との触れ合いは特に心に残る気がします。とりわけ海外に行くときは、慣れない地で不安な気持ちを抱えるなか、現地の人に優しく接してもらえるとほっとするし、接した現地の人々こそが旅行者のその国に対するイメージに直結すると思います。そのため、日本で海外の人と接するときは、「日本っていいな」と思ってもらえるような接し方を心がけたいと強く思います。
イスタンブールは、「ヨーロッパとアジアの架け橋」と呼ばれており、イスタンブールの中心を流れる海峡を境にヨーロッパ側とアジア側に分かれています。ヨーロッパ側とアジア側を行き来するには、フェリーに乗るのが一般的です。
私たちが宿泊したホテルはアジア側にありました。次の日の朝にヨーロッパ側にある有名なモスクを見に行く予定だったのですが、ホテルの近くのカフェで一緒に過ごしていた母が急に思いついたように「ライトアップされたモスクも見てみたくない?」と言い出し、そのときの時間は夜19時すぎだったのですが、ロカンタにカフェにテンションが上がっていた私たちはノリノリでヨーロッパ側にあるモスクに向かうことにしました。
モスクまでどうやって行けるのかについて事前に調べていなかったので、Google mapにお世話になりながらフェリーと路面電車を使ってなんとか到着。一度違う方面の路面電車に乗ってしまったり、モスクの近くに着いたはいいものの正面がどこか分からず、大きなモスクの周りをぐるっと回ったりしたことで、知らず知らずのうちに時間を費やしてしまいました。帰りのフェリーに乗るため、港に行くとまさかの「Close」と告げられ、一瞬頭が真っ白になりました。後で調べてみると、私たちが港に着く数分前に最後のフェリーが出発したようでした。
フェリーに乗ってアジア側に渡らなければホテルに帰れないという状況の私たちにとって、それはもう一大事だったのですが、ヨーロッパ側にある別の港からもアジア側にフェリーが出ていて、そのフェリーに乗ればホテルのある場所からは離れた場所の港に着きますが、一旦アジア側には渡れることが判明しました。
アジア側に渡れば何とかなるはず…!と信じてフェリーに乗り、アジア側に着いた私たちの次のミッションは、ここからどうホテルに向かうか。Google mapによると、バスに乗ってホテルの近くまで行けるそうで、バス停を目的地にしてGoogle mapにナビしてもらいながら向かいました。しかし、目的地に着いてもバス停のようなものは一切見当たらず、焦りました。タクシーが何台も止まっている停留所のような場所はあったのですが、なるべく費用を抑えたい私たちはタクシーを極力使いたくないと考えていたので、もはや見えていないも同然でした。(笑)
近くを歩いていたトルコの女性にGoogle mapの画面を見せてバスについて聞いてみましたが、その方も分からないようで、途方に暮れていたとき…
タクシーの停留所のすぐ傍を困った様子で歩いていた私たちに、ベンチに座っていたトルコのおじさんが声をかけてきました。英語は話せない様子だったので翻訳アプリを使って会話してみると、
「どうしたの?」
「そのホテルに行きたいならこの車(中型タクシーのような車)に乗ればいいよ」
「料金はバスと一緒で○○トルコリラだよ」
と言って「俺についてこい」というように車の方に手招きし、一緒に車内に乗り込みました。おじさんは運転手の横に、私たちは一番前の席に乗りました。おじさんは運転手に私たちの行き先について話してくれたようでした。その後、次々と乗客が乗ってきて車が出発し、この車は乗り合いタクシーのようなものなのかなと思いました。運賃は一律のようで、運転手が運転しているなか、後ろに座っている乗客たちが前の席に座る私たちに次々とお金を渡してきて、運転手に渡すよう指示しました。運転手はその度におつりを用意して後ろの乗客に渡すようにと私たちにおつりを手渡し、運転中なのに大変そうでした。(笑)
降りる場所は融通が利くみたいで、決まったバス停でなくても降りていく乗客もいました。私たちも運賃を支払おうとすると、運転手がジェスチャーで隣のおじさんを指さしました。最初に車に乗った時におじさんが私たちの運賃も一緒に支払ってくれたのだと思い、車が次に止まったときにおじさんに渡そうと思っていると、車が止まった瞬間におじさんが颯爽と車から降りて、バーイと手を振り去っていきました。あまりに一瞬のことで私も母も反応できず、お金を返せませんでした。
おそらく、おじさんは最初から私たちの分までお金を払おうとしてくれていたのではないかと思います。言語が分からず通じ合えないかもしれない外国人の私たちに、迷わず声をかけてくれたこと。質問に丁寧に答えて教えてくれたこと。見返りを求めず静かに去っていったこと。おじさんの親切心とかっこよさに私たちの心はしばらくジーンとしていました。
もし、私が逆の立場だった場合、おじさんと同じような行動がとれていただろうか。困っている外国人を見かけても、言語が通じない不安から見てみぬふりをしなかっただろうか。
今回、おじさんに助けてもらったことで、次から同じような場面に出くわしたとき、どんな相手でも困っていそうであったら迷わず声をかけたいと思ったし、直接おじさんに感謝を伝えることができなくて残念だけど、受けた恩をほかの誰かに渡していく恩送りのバトンをもらったと考えて、そのバトンをつなげていきたいと強く思いました。
助けてくれたトルコのおじさん、本当にありがとうございました!!!
他にも、トルコから日本に帰る日の前日に、母が道の段差に気づかず足をひねって骨折してしまったことなどハプニングはいろいろありましたが、今ではすべて笑い話になっています。(笑)
ハプニングが起こるのが旅で、ハプニングのおかげで人のやさしさがよりありがたく感じるし、旅が一層面白くなると思うので、これからも「ハプニング、どんと来い!」精神でいたいと思います。
たくさんのことを学ばせてくれたトルコ旅行。情勢的に心配もありましたが、行くことができて本当によかったです!