今回の朝礼ではじめに語られたのは、「会社とは何か」という、経営の根本に関わる問いでした。
会社には法人格があり、契約をしたり、銀行口座を持ったりと、人のように振る舞うことができます。けれど、コウダプロ社長の幸田八州雄さんは、会社そのものに実体があるわけではないと話します。
会社を形づくっているのは、そこで働く人たちです。だからこそ、コウダプロが大切にしているのは「人」です。コーポレートサイトにも記載されている通り、経営資源は「人」だけ。
人が充実感を持ち、ワクワクしながら働ける場であること。それが会社の存在意義であり、成長や海外進出などは、その結果としてついてくるものです。
今回の朝礼では、会社の目的や働く人の幸せ、組織の競争力、そしてリーダーシップのあり方に至るまで、幸田さんらしいユーモアと具体例を交えながら語られました。
こんにちは、プレスラボ(@presslabo)の池田園子です。月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
社風もサービスも「人」がつくっている
では、社風はどこから生まれるのでしょうか。
幸田さんは、社風とは、そこで働く人たちが醸し出すものだと話します。言い換えれば、社風とは「その会社らしさ」そのものです。
どんな人たちが働いていて、どんな働き方をし、どんな考え方を持ち、どんなコミュニケーションを交わしているのか。その一つひとつが、会社を形づくっていくのだと。
サービスにも同じことが言えます。感じのいい会社、どこか違和感のある会社、愛される店、もう行きたくないと思われる店。
そういった印象の多くは、人によって生み出されています。もし現場の人がそうならざるを得ない仕組みがあるとしても、その仕組みをつくっているのもまた人です。
だからこそ、コウダプロは人を重要視しています。いい人が集まり、この会社にとっていいと思うことを主体的に積み重ねていけば、会社は自然といい方向へ進んでいく。
経営とは、突き詰めれば「人をどう見るか」「人がどう働ける場をつくるか」なのだと感じさせられるお話でした。
成長は目的ではなく結果。ワクワクが失われた会社に意味はある?
話はそこから、会社の成長や規模について広がっていきました。
コウダプロは、今後さらに成長していく可能性を持つ会社です。規模を大きくしながらも血の通った感じがある企業、働いている人が楽しそうな企業、大きくなってもベンチャーらしい熱量を残している企業。幸田さんは、そうした企業を例に挙げていました。
ただし、ここで大切なのは、成長そのものを目的にしないことです。
海外展開をすること、売上を伸ばすこと、会社を大きくすること。それらはすべて手段であって、目的ではありません。みんながワクワクして、充実して、楽しく仕事に打ち込んだ結果として、成長が生まれるなら進めばいい。けれど、成長のために働く人の充実感が失われるなら、本末転倒。
幸田さんは、野球の試合にたとえて話します。「10点取ること」を目標にして、12点取ったとしても、15点取られて負けたら意味がない。目的は点を取ることではなく、試合に勝つことだからです。
会社も同じです。業績は伸びている。規模も大きくなっている。けれど、働いている人たちが誰も楽しそうではない。そんな会社に、いったい何の意味があるのか。幸田さんは、そこに問いを立て続けることが大切だと語ります。
「順番」を間違えないことが、会社の健全性を守る大切な軸になっています。
好きだから没頭する。仕事時間を人生の財産に変える
今回の朝礼で印象的だったのは、仕事に対する時間の捉え方についてのお話です。
現代では、働き方や暮らし方について、自分の意思を大切にしたいと考える人が増えています。勤務地や働く時間、会社との距離感についても、一人ひとりが自分らしい選択をする時代です。
一方で、幸田さんは、仕事に費やす時間が長いからこそ、その時間をどう捉えるかが人生の充実感にも関わってくるのではないか、と語ります。
なぜなら、多くの人にとって、仕事は人生の中で大きな時間を占めるものだからです。勤務時間や通勤時間はもちろん、仕事について考える時間まで含めると、ひと月あたり相当な時間を仕事に費やしている。その時間を「できるだけ減らしたい負債」として捉えるのか、「楽しく打ち込める人生の財産」として捉えるのかで、人生そのものの感じ方が変わってしまいます。
ここで幸田さんが強調していたのは、「会社のために自分を犠牲にしましょう」という話ではありません。むしろ逆です。義務感を持って働くのではなく、好きだから考えてしまう、楽しいから没頭してしまう、となれば幸せだな、ということです。将棋の棋士が、風呂に入っていても将棋のことを考えるように、本当に好きなことには自然と意識が向いていくもの。
コウダプロが目指しているのは、仕事がそういう対象になることです。もちろん、仕事には大変な場面もあります。ストレスを抱える場面もあります。けれど大筋では、文化祭の準備のように、楽しく、ワクワクしながら、仲間と一緒に何かをつくっている感覚があれば——。
考えてみてください。同じ能力の人同士が競い合ったとき、「できるだけ仕事に関わる時間を減らしたい」と思っている人と、「この仕事は楽しい」「もっとよくしたい」と思っている人では、どちらが強いのか。幸田さんは、そこにコウダプロの勝ち筋があると話します。
主体性とエンゲージメントが、これからの競争力になる
幸田さんは、コウダプロがこれからの企業社会で勝っていける理由として、一人ひとりの主体性とエンゲージメントの高さを挙げていました。
日本はかつて、社員の強い愛社精神や団結力を背景に、大きな経済成長を遂げた時代がありました。終身雇用や年功序列のもとで、会社と個人が強く結びついていた時代です。一方で、現代の日本では、職場へのエンゲージメントが低いという調査結果もあります。
幸田さんは、Gallupの国際調査を例に挙げ、日本の従業員エンゲージメントが世界的に見ても低い水準にあることを紹介しました。「State of the Global Workplace 2026」では日本は8%で、東アジア平均18%、世界平均20%を大きく下回っています。
会社に対する当事者意識やこだわりが薄くなっている社会の中で、主体的に働けるチームは、それだけで希少な存在になります。
もちろん、昔のような滅私奉公に戻るという意味ではありません。会社のために自分を犠牲にするのではなく、自分自身も充実しながら、仲間とともに会社をよくしていく。その感覚を持てるかどうかが、これからの組織の力になると幸田さんは話します。
スポーツでも、ビジネスでも、最後に差を分けるのは本気度です。嫌々取り組んでいるチームよりも、本気で勝ちにいくチームの方が強い。仕事でも同じように、自分たちの事業に本気で向き合い、面白がり、よりよくしようとする人たちの集まりは強い。
その土台にあるのは、人を大切にすることです。一人ひとりの人生や人間性を尊重しながら、同時に、みんなで一つの方向へ進んでいく。一人ひとりが持つ力を、自分自身の成長だけでなく、周囲や組織の前進にも生かしていく。
幸田さんが例に挙げた「帝王学」の話も、そこにつながっているように感じました。古典や哲学、歴史、倫理など、さまざまな知見を横断しながら、人の上に立つ人がどう判断し、どう振る舞うかを学ぶ。それを現代の経営に生かしていく。資本の論理だけで会社を動かすのではなく、人が充実し、尊重され、主体的に力を発揮できる共同体をつくる。そこに、コウダプロが目指す経営の姿があります。
(編集後記)
会社は、人でできている。
だからこそ、人がどんな想いで働いているのか。仕事を楽しんでいるのか。自分の仕事として主体的に向き合えているのか。それらは、社内の雰囲気の良し悪しに終始する話ではなく、会社の今と未来を左右する大切な要素です。
成長は目的ではなく、結果。働く人が充実し、ワクワクし、主体的に力を発揮する。その積み重ねが、やがて会社の競争力になっていく。今回の朝礼は、コウダプロが大切にしている「人を中心に置く経営」を確かに感じさせる時間でした。
Text/池田園子