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「楽しい」という原点

今年もまた受験を終えて、閑散期の二月。
志賀高原まで足をのばして、約五年ぶりにスキーをしてきました。

職場の後輩には「石場さんスキーできるんですか?笑」という感じの反応をされましたが、一応雪国出身なのでそこそこできます。六歳くらいから滑り始めて、唯一できると言って差し支えないスポーツです。流石に五年ぶりだったので少し不安でしたが、斜面を滑り始めた瞬間に「楽しい!」と感じました。そういえば小さい頃もスキーはとにかく楽しくて、子どもの無限の体力でリフトを何往復もしてとにかく滑りまくっていたな、と思い出しました。
ちなみに見る専門だとバレーボールが好きなのですが、正直やるのは向いていなくて、やっても「楽しい!」とはなりません。

この、「それ自体をやっていて楽しい」という感覚は物事を続けて深めていく上で大切な気がします。
バレーボールを見るのは本当に好きで、職場でもスキーではなくどちらかというとバレー好きとして知られています。ただどうしても自分の中で趣味と言いきれないところがあって、「一生好きか?」と問われると微妙なところだという感覚がありました。むしろスキーのほうが趣味にできそうなくらいです。バレーボールを見るのが好きなのは嘘ではないのに、どうして趣味にはできないんだろう?と自分の中でも引っかかっていたのですが、理由が分かった気がします。それは、見るのが楽しくても「それ自体をやっていて楽しい」と感じた経験がないことに起因しているのかなと思います。

ところで、先日ちょうど男子バレーボールの石川祐希選手が情熱大陸に出ているのを見ました。最高峰と言われるイタリアリーグで活躍中のプロ選手で、東京オリンピックでも日本代表キャプテンを務めた選手です。(なんやかんや見るのは結局好き)
番組の中で「嫌になったりすることないですか?」という質問に対して、石川選手は「逃げ出したいと思うことはプロとして許されない」と即答していました。ただ、一方で「人間なので気持ちが落ち込んでしまうときはあるが、バレーボール自体が好きなので趣味として捉えている部分もあって、遊びの感覚でバレーボールをやって気持ちを晴らしている」というような内容のことも言っていました。

仕事でもあり、趣味でもある。その感覚が理想的だなと思いました。
石川選手のプロとしてのストイックさは「なぜそこまでできるのか」と問いたくなるほどなのですが、根っこに「そもそもバレーボールが楽しい」という気持ちがあるのを感じました。この、「それ自体をやっていて楽しい」という気持ちが原点にあれば、たとえつらいことがあっても乗り越えられるのではないでしょうか。楽しいからこそ、プロでいられる。そんな気がします。ただ、「楽しい」という感覚は努力すれば得られるとは限らなくて、こればっかりは自分という人間が心から「楽しい」と感じている瞬間を見逃さないようにするしかないかもしれません。

私は「教える」という行為を仕事にしています。最近改めてふと思ったのが、この仕事も「プロ」と呼ばれるなあということです。もし他の会社に入っていたら、今の年齢で「プロ」と呼ばれることはなかったんじゃないかなあと。もちろん、立場上そう呼ばれるだけなので、驕らずにプロと呼ばれるにふさわしい仕事をしなくてはと思います。その上で、私はバレーボールを趣味にすらできないけれど、石川選手の感覚は参考になるなあと勝手に共感してしまいました。

受験は毎年訪れますが、その重圧から逃げ出したいと思うことはプロとして許されません。ただ、人間なのでつらくなったり落ち込んだり、あるいは不安になったりすることはあります。自分の性格的に、実はけっこうあります。それでも続けられているのは、自分の根っこに「教えること自体が楽しい」という感覚があるからだと思いました。そういえば、小学生のころから「TERUNA学校」と名付けて六歳離れた妹にやたらと勉強を教えたがっていたのも思い出しました。ただただそれが楽しいからやっていました。もしかしたら私は、幸運にもいつの間にか趣味を仕事にできていたのかもしれません。
私の場合、「国語が楽しい」「算数が楽しい」というよりは、「教えることが楽しい」で動いているんだと思います。目の前の生徒の表情や目の動き、書いたものを見てしゃべる内容も変えるし場合によっては途中でやることも変える。たとえば「算数」を私より極めている先生はいくらでもいるだろうけど、「この子に算数を教える」ことを私より極めている先生はいないように。それがなかなかうまくいかなくて落ち込む日があっても、原点にあるはずの「教えることの楽しさ」を思い出して、プロとしてやっていきたいです。

自分のどこかに「教えるのが楽しい」という感覚がある人には、ぜひココロミルに話を聞きに来ていただきたいと思います。

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