「桜(ソメイヨシノ)は、花が開いた後に葉が出てくる。マルかバツか。」
先日、授業で扱った問題の中にこんな一問がありました。
答えは、マル。
枝だけの桜の木を見て、いつ咲くかとつぼみの膨らみを気にしたり、葉桜を見て、桜の季節も終わりだなと感じたり、
こういった経験があれば答えられる問題でしょう。
でもよくよく考えてみると、葉がたくさん付いた状態で花が咲く植物のほうが多く、葉→花の方が自然な順番のようにも思えます。
桜の木を見た経験があっても、いざ問題として出されると、本当に花→葉なのか?と不安になってしまうかも。
このときの生徒は、「バツだと思う」との答え。
花→葉の順番は不自然な気がするからという理由でした。
他の植物の性質から類推する ということも重要な考え方で、その点においてこの生徒の答えは筋が通っています。
ただ、多くの場合例外は存在するのでそれは個別に覚えておく必要があります。
でもこの桜の話は、暗記することがらではありません。
教科書を読んで覚えるのではなく、体験して身につける知識です。
この問題が聞いていることは、
「桜の花と葉の順番は?」
ではなく、
「桜、見てますか?」
なのです。
机に向かってすることだけが勉強ではないよ、という作問者のメッセージも感じます。
一問一答をひたすら暗記したり、公式を覚えてスラスラ解けるように典型題を反復したりという作業ももちろん重要なことで、講師という立場から、生徒に対してこういった作業を求めることは多くあります。しかしそれだけを繰り返していても深い学びには至りませんし、なにより学ぶことに楽しさが半減してしまうでしょう。
勉強を他の活動と切り分けず、身の回りの出来事から知識を吸収し、学校や塾で学んだ知識と身の回りのものごととの接点を見つけていく
これを繰り返していくことが、楽しく・深く学ぶコツなのかなと思っています。
塾で教えていると、直接的に体験を届けることはなかなか難しいのですが、身の回りの出来事と結びつけられるようなエピソードを発信していくようにしています。
そのためには自分自身も型にはまらず様々な体験をし、学びのタネをもっと探していきたいです。