【EMインタビュー】個人より全体、現在より未来を考えて動く|kickflow
こんにちは! HR本部 採用チームの小澤です。 転職先を選ぶときに、「どんな人と働くのかを知りたい」という人は多いと思います。その中でも特に、どんな上司がいるのか、上司はどんな考えを持っているのかを気にする人は多いのではないでしょうか。 ...
https://note.com/kickflow/n/n4dba1d096ad9
※このストーリーは、noteで発信した記事を転載しています。
こんにちは! HR本部 採用チームの小澤です。
転職先を選ぶときに、「どんな人と働くのかを知りたい」という人は多いと思います。その中でも特に、どんな上司がいるのか、上司はどんな考えを持っているのかを気にする人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、エンジニアリングマネージャー(以下、EM)の森本さんにお話をお聞きしてみました。森本さんが、どのようなスタンスで開発や組織、メンバーに向き合っているのか。転職活動はもちろん、日々の業務やコミュニケーションの参考にしていただけると嬉しいです。
小澤:
森本さんは半年前にEMになりましたよね。メンバーからEMになって、考え方やスタンスといった部分で、なにか変化はありましたか?
森本さん(以下、森本):
メンバーの頃は、目の前の仕事に集中することが大事で、それが求められていたと思うんです。ですが、マネージャーはそれじゃダメなんです。上層部に対しても、メンバーに対しても、「なぜ、それをやるのか」「なぜ、それをやらなかったのか」をきちんと説明できなくちゃいけない。そして説明するには、ロジックが必要になります。
そうなると自然に、1年後、2年後の中長期で考えたり、プロダクト開発本部だけでなく組織全体にとってなにが最適なのかを考えるようになっていきました。
小澤:
ご自身でも考えていらっしゃるとは思いますが、「立場が人を作る」という側面も強いんですね。
ちなみに、理想のマネージャー像みたいなものはありますか?
森本:
重複してしまいますが、個人や部署という単位ではなく、組織全体にとってなにが最適なのかを考えられるのが理想です。
一方、EMとしては、技術を理解した上で意思決定できるように心がけています。現場から離れると技術に疎くなってしまうので、もっとキャッチアップを強化しなければと感じているところです。
もうひとつ、たとえば僕は、バックエンドをメインで開発してきたので、フロントエンドやインフラでの流儀はわからないことも多いんです。この状態で「わかっている」という前提に立ってしまうのは、危険だと思っていて。対話や歩み寄りを、大切にしています。
具体的には、意見や提案をもらったときに、シャットダウンしないこと。すべてを受け入れることはできないですが、理解しようとすることが大事で、できるかぎり説明責任を果たしたいなと思ってます。
小澤:
受け入れるかどうかは全体最適で判断されているかと思うのですが、全体最適の目的、いわば、全体最適をすることでなにを実現しようとしているのでしょうか?
森本:
会社が目指している、売上の最大化です。売上につながるかどうかを、判断基準にしています。これに近いところで、費用対効果も考えるようにしています。
機能開発でもリファクタリングでも、なにかをやる、やり続けるって、コストがかかるじゃないですか。そうなると、「今、やるべきなのか」という視点も大事になってくるのかなと。よく言われる優先順位決めとリソース配分の話なのですが、実際にやってみるとなかなかむずかしいなと感じています。
小澤:
そもそも正解がないですし、正解を出すための方程式があるものじゃないですからね…。
森本:
そうなんです。しかも、けっこうビビりなので(笑)、お客さまとか周りに大きな影響があるものや元に戻せない(不可逆な)ものは、リスクを徹底的に考えて相談もたくさんしてます。逆に、自分だけで完結できるものだったり、簡単に元に戻せるものは、もう少し気軽に考えて、試してます。
お客さまが増えてニーズが多種多様になっているのも、むずかしさの要因のひとつになっているかもしれないです。新しい機能を作ったときに、良いと言ってくださる人もいれば、必要ないと感じる人もいると思っていて。お客さまの意見として大事にする一方、あまりにも個別の意見に囚われすぎてしまうのも良くない気がしていまして。そう考えると、先ほど話した「売上」だったり、会社としての目的や目標に沿った形で、先を見据えて考えていくべきなのかなと。
そこでいうと、中期計画が発表されて以降、バックキャスト(※)で考えるメンバーが増えてきたのは、とても良い傾向だと感じています。
※バックキャスト:目標とする未来像を最初に描き、その未来像の達成に必要なステップを未来から現在へ遡って計画すること
小澤:
そうですね。流行りというとアレですが、意識して未来から逆算して考えるようにしているメンバーが増えた気がします。
森本:
今はまだ会社の規模が大きくなく、組織がどうやって動いているのか大局的なところも見えるので、バックキャストで考えやすいですからね。個人的には、めちゃくちゃいい流れだと思ってます。
小澤:
マネージャーとして、さらに、EMとしての考えもお聞きできたところで、次はもうちょっと具体的なお話をお聞きできればと思います。
生産性向上に向けて、プロダクト開発本部で取り組んでいることはありますか?
森本:
AIエージェントによるコーディングに取り組んでいます。なんとなく想像していたのですが、まっさらな状態と、今あるものを変更していくのでは、やはり勝手が違うなと。
新しく開発するタイミングだと、ルールみたいなものがない状態なので、AIにまるっと任せられます。一方、既存コードの改善だと、明らかに違うコードを書いてしまうこともあって。
そうなると、「今のコードベースにあった感じで直してほしい」といった感じで、細かく指示しなくてはなりません。そこで、参照元のファイルを見にいくのですが、ここで「自分でこうコピペして作った方が早いんじゃないか」と、ふと感じてしまったりもします。なにごとも0→1はたいへんなので、いろいろ試してみつつ、上手い方法を見つけていきたいなと思ってます。
加えて、AIでコードレビューできる仕組みを構築したいなと思っています。コードレビューができる人は限られているので、ここがボトルネックになってしまうケースもちらほら出てきていまして。100%すべてAIにやってもらうのはむずかしい気がしますが、80%くらいは任せられるといいなと考えています。
小澤:
マネジメントにおいて取り組んでいること、意識していることはありますか?
森本:
職責として、ネガティブなコメントや評価をしなくてはいけないケースはどうしても出てきてしまうので、同じくらいかそれ以上にポジティブなフィードバックをするようにしています。
また、ネガティブ、ポジティブいずれにせよ、早く、細かく伝えるようにはしてます。自分がメンバーだとしたら、年2回の評価面談のときにネガティブなフィードバックを全部まとめて言われるのはイヤなので。ポジティブなものに関しても、毎週の1on1で伝えた方が「見ていてくれてるんだ」と感じられて嬉しいと思うんです。
これはあくまで僕個人の考えですが、出社よりもフルリモートのほうが評価や反応を気にしがちなのかなと思っていて。Slackではかならず、スタンプするようにしています。
小澤:
そういえば森本さん、すべてのコメントにスタンプをしてますよね。
森本:
いつもスタンプしてくれる人が、スタンプをつけてくれないと、「まずいこと言っちゃったかな…」と気になるかなと思って。これもあくまで、僕の考えですが。
テキストコミュニケーションって、相手の状況も顔色もわからないので、対面よりはるかにむずかしいと思うんです。だからこそ、明らかに攻撃する意図がないのであれば、好意的に受け取るようにするなど、考えすぎないのも大事なのかなと。まぁ、kickflowでは、攻撃してくる人はいないんですが。
小澤:
僕も、相手が見えないからこそ丁寧にコミュニケーションするようにはしてるのですが、テキストだけってむずかしいですよね。
森本:
やはり、限界はあると思います。なので、テキストでのやりとりで違和感を感じたら、なるべくオンラインで話すようにはしてます。聞いてもらったり、壁打ち相手がいるというだけで、解決することも多いですから。
小澤:
最近よく、「AIと会話している」「AIに相談している」みたいな話をSNSとかでよく見かけたりしますが、壁打ち相手ってやっぱり人間がいいんですかね?
森本:
個人的には、AIでもいいのかなと思ってます。たとえば僕は、雑に聞きたいときはkickchatくん(kickflowで開発したkickflow専用のAIボット)によく話しかけてます。AIが相手だと丁寧に説明する必要がないので、意外と気が楽なんですよね。
ただ、完全に人間の代替にはならないんじゃないかと。技術的な課題であれば、AIは完璧な答えを出してくれると思います。一方、モノの見方を変えたり、周囲との関係性に適応できなければ解決できないもの、いわゆる適応課題に対応するのはむずかしい気がしています。
一例ですが、「最近、仕事がイヤで、どうしたらいい?」という問いに対して、AIだと「睡眠をとりましょう」という正論をぶつけてくる可能性が高い。でも、これだとなにも解決しないと感じる人がほとんどだと思うんです。「休んじゃえば?」「散歩してくるのもいいかも」みたいなウェットなコミュニケーションができるのは、今のところ人間だけな気がしてます。
まぁこれも、あくまで「今」の話で、AIネイティブの子たちは、AIの回答を違和感なく受け入れる可能性もあって。そうなったとき、今度はマネジメントを変えていかなくちゃいけないのかなと。
小澤:
十分に予測できる未来ですね。テクノロジーが進化していけば、人や社会が変わっていくので、それに適応していく必要がありますから。
そのときがきたら、ぜひまた、マネジメントや組織づくりについて、お話を聞かせていただけると嬉しいです。