|建設DX領域記事|(2022年記事)建設DXコミュニティ「ON-SITE X」立ち上げます - 建設業×スタートアップのマッチングで未来をつくる -
~本ストーリーは、2022年の当社公式noteの転載です~
加和太建設で、2022年7月20日より建設業×スタートアップのマッチングから資金調達までを包括支援し、建設業界の課題解決を促進する建設DXコミュニティ「ON-SITE X(オン サイト エックス)」の運営をスタートします。
具体的にどのような取り組みなのか?なぜ、こうした新しいチャレンジをするのか?プレスリリースだけではお伝えしきれない背景や思いも含めて、今回の記事でご紹介します。
目次
- 建設DXコミュニティ「ON-SITE X」とは
- 自分たちのプロダクト開発から気付いた「建設業ならではの課題」を見つけることの障壁
- 自社運営のスタートアップスタジオでの出会いが、もう1つの後押しに
- 建設DXファンドを組成し、スタートアップの資金調達まで視野に
- 建設業を「まちづくり産業」に変革する・加和太建設の思いと「ON-SITE X」のつながり
建設DXコミュニティ「ON-SITE X」とは
建設DXコミュニティ「ON-SITE X」は、全国の地方建設会社とスタートアップをオンラインマッチングし、建設会社が抱える課題の可視化から、その解決を図るためのスタートアップ側のプロダクト開発を支援し、建設業の生産性向上・提供価値向上などにつなげることを目的としたコミュニティです。
私たちの掲げるこのコミュニティのミッションは、【スタートアップの力で、建設業の課題を解決し、新しい建設業を創造すること】。
そうした思いの下に取り組むのは、土木・建築領域の設計、施工、維持管理等の領域における狭義の「建設テック」によるDXだけでなく、建設会社の持つ慣習や風土などに起因する課題も可視化をし、解決する「建設会社全体のDX」です。
自分たちのプロダクト開発から気付いた、「建設業ならではの課題」を見つけることの障壁
このコミュニティ立ち上げの背景には、加和太建設自身が建設テック領域におけるプロダクト開発の途中段階で直面した【実体験】があります。
私たちは兼ねてより、建設業の当事者の立場からから建設テック事業を手掛けており、クラウド型建築施工管理支援システム「IMPACT CONSTRUCTION」に加え、現在は新たな事業も検討を進めています。これらを推進する中で明らかになったのは、建設業側の「課題特定」の重要性、そして難しさです。
旧来より労働集約型産業としての特性が強い建設業においては、「時間を費やして解決する」という風土がまだまだ根強く、実際のプロダクト開発のためのヒアリングにおいても、現場では「課題を課題として認識していない」という現実に直面しました。
「時間がかかる業務だけど、自分が頑張れば解決する」
「やらなければいけないことだから」
安全に配慮しながらも厳しい納期や基準などをクリアし、建設をしていく私たちの仲間たちも、元々そうやって奮起してやりきるという気質。そうした昔から引き継がれる責任感や底力は誇れるものであるものの、それとは裏腹に、テクノロジーで解決できる課題を眠らせたままにしている可能性を感じるようになったのです。
この実態は同時に、スタートアップ側の目線で見ても、当事者が課題認識をしていないために、業務フロー上の課題を外から発見することをさらに困難にしている要因とも言えるのではないか…。
そこで私たちは「生産性向上の余地がある潜在的な課題を抱える建設業」 × 「建設業に参入がしづらいが、テクノロジーを有するスタートアップ」の両者を引き合わせるコミュニティをつくることが、建設DX推進に役立つと考え、今回の取り組みを検討するに至りました。
自社運営のスタートアップスタジオでの出会いが、もう1つの後押しに
また、もう1つのきっかけとなったのが、私たちが運営する「LtG Startup Studio」での出会いです。
▼ LtG Startup Studioの詳細はこちら
現在の施設利用者の中に、AI技術を活用した議事録・会議解析ツールを開発しているスタートアップがあり、私たちの会社でもそのプロダクトを営業担当たちがトライアルさせてもらっています。建設業ならではの重要内容・単語の抽出など、より業界にフィットしたプロダクトを検討してもらえないかと、これからの可能性を一緒に模索しています。
そこでさらに、私たち以外の建設会社にもトライアルをしてもらえないかと打診。結果、今回ご紹介した別の建設会社では、設計担当者と建物の発注者さんとの打ち合わせに活用したいという意見をもらいました。
実際に、設計者・発注者間の打ち合わせは情報量も膨大で、重要な内容が非常に多く、時にトラブルの原因になることも珍しくはありません。膨大な情報を設計者側が整理をし、発注者側に提供する手間は、建設事業を手がける企業ならでは。
これはほんの一例ですが、世の中にテクノロジーを有するスタートアップは数多く存在するものの、建設業の実際の課題解決にどう活用できるかを発見できる機会が、圧倒的に少ないのが現状です。
それを乗り越え、建設業向けのサービス開発をするためには、実際にその技術や既存プロダクトを当ててみることで、課題自体を明確化するプロセスが必要だと改めて強く感じるに至りました。
また、これを加速させるためにオンラインコミュニティを活用しようと考えたのもスタートアップスタジオでの取り組みがきっかけです。現在私たちが協力を得ているエンジェル投資家コミュニティ「SEVEN」では、オンラインでスタートアップと投資家をマッチングさせていく仕組みを提供してくれています。
このモデルを建設業に置き換えて考えることで、全国に数多くある地方建設会社を一度に集めずオンラインでつなぎ、今まで顕在化していなかった課題を発見できる可能性があると確信し、今回のかたちで「ON-SITE X」の設立に至ったのです。
建設DXファンドを組成し、スタートアップの資金調達まで視野に
取り組むからには、コミュニティをつくるだけでなく、実際に建設業の課題を解決するプロダクト開発を後押しする具体的な仕組みが必要です。
そこで私たちは、コミュニティで顕在化した課題を実際に解決するためのプロダクト開発・ローンチまでを支援するために、「建設DXファンド」の組成も2023年初頭運用開始を目処に計画しています。
金融機関とも連携を図りながら、参画する建設会社から各社1〜3億円程度の出資を募り、ゆくゆくは最大100億円規模のファンドを目指します。
まずは、スタートアップが提供する既存プロダクトの活用等を通じて建設業ならではの課題を明らかにし、実際に建設業に特化したプロダクト開発につなげられるよう、資金調達の仕組みも同時に準備を進めていきます。
建設業を「まちづくり産業」に変革する・加和太建設の思いと「ON-SITE X」のつながり
最後に、この「ON-SITE X」の発起人でもある、加和太建設 代表の河田に思いを聞いてみました。
加和太建設は「地方建設業のあり方をまちづくり産業に変え、地方から日本を元気にする」という根底にある思いを大切に、土木・建築だけでなく不動産、施設運営、クラウドサービスの展開等多岐にわたる事業を展開してきました。
まずは我々自身がまちづくりのプレイヤーとしてさまざま事業に取り組み、まちのなかで共にまちを良くしていく仲間を増やそうと、何年もの時間をかけてチャレンジを続けてきました。
そして、その先には、「まちづくり産業としての建設業」が地域を成長させる「エコシステムの構築」があると考えています。
まだまだ我々自身も道半ばですが、今回の取り組みは、この構想の実現をオンラインコミュニティという新たな仕組みを通じて、実現を目指す新たなフェーズのチャレンジです。
地方建設業の生産性向上をスタートアップの力で実現し、その先に今回のプラットフォームに参画してくださる建設会社をはじめとする地方建設会社が、それぞれの地域や社会に対して提供できる価値を増やしていくきっかけを一緒につくっていきたいと考えています。
そして、「地方建設業のあり方をまちづくり産業に変え、地方から日本を元気にする」の言葉を現実のものとできるよう、一歩ずつ取り組んでいきます。
最後までお読みいただきありがとうございます!
これからの建設DXコミュニティ「ON-SITE X」の取り組みに、ぜひ引き続きご注目ください!