前回記事では、趣味の シェアボス が趣味じゃすまなくなってきて慌てて案件を獲得しようと悶絶する担当者の姿をお伝えしました。
前回記事 : 新規事業がぜんぜんうまく行かなくて悶絶する話
今回はその続きとして、引き続き悩みながら営業戦略・マーケティング戦略を考えるさまをお伝えしようと思います。
目次
- 施策を走らせたら、すぐにバックアップを考える
- Problem Solution Fit を無理強いする方法
- ソリューション営業は高い
- リスクとマージンというトレードオフ
- どんなターゲットを想定しているのか
- 記事の続き
施策を走らせたら、すぐにバックアップを考える
前回リスクを取って実施したキャンペーンですが、成功確率は低いだろうと考えています。記事中でも触れましたが、法人の購買行動は複数の承認プロセスを経て決裁されるため、期間限定キャンペーンのような衝動を煽るキャンペーンの効果は限定的です。
それでも、20万円 (プランS) 〜 80万円 (プランL) といった (法人にとっての) 低価格帯なら、ベンチャーの役員クラスや上場企業の部長クラスであれば単独決裁可能な金額であるため、ポロッと注文が入る可能性はゼロではないと思っています。キャンペーンが10月末までなので、あとは有名企業からピカピカの事例案件が入ることを祈るばかりです。
いずれにせよ、個人の趣味でやっている事業なので成功率を高めるためにはマルチスレッドで施策を走らせつづける必要があります。キャンペーンのような施策は打ってしまえばあとは結果を待つだけなので、平行して別の施策を考えます。
ちなみに昼間は本業であるコンサル仕事があるため、基本的に「自分自身ががっつり動く」という施策できません。夜や土日に仕込んで走らせられるものを中心に検討します。
前回記事で、キャンペーン施策がうまく行かなかった場合に考えられる課題として3つの仮説を挙げました。
・シェアボスのターゲットと、訪問者の属性が違う
(Place と Promotion の問題)
・顧客の課題と、商材の切り口 (パッケージ) が違う
(Problem Solution Fit の問題)
・顧客のニーズとサイト内での訴求内容
(UI やサイト構造の問題)
施策はこれらの可能性を潰す補完効果のあるものにしなければなりません。
Problem Solution Fit を無理強いする方法
"PSF (Problem Solution Fit) が達成できていない" とは、シェアボスの例で例えると「ボスのサブスク」というソリューションが、顧客が抱えている課題感にフィットしてないよ、課題解決につながらないよ、という段階にあるということです。
エリック・リースが監修する THE LEAN SERIES でスタートアップ界隈に広がった言葉ですが、B向けビジネスを考える際には アントレプレナーの教科書 (スティーブン・ブランク) の方がリアリティがあると思います。
前者ではインタビューやMVP (顧客ニーズを満たす最小限のプロダクト) で価値仮説を検証しますが、今回わたしは「早く案件を取らないとボスに申し訳ない」という気持ちでとても焦っていたため、PSF を強引に解決することのできる方法「ソリューション営業」を検討しはじめます。
ソリューション営業については以下のリンクを参考にしてください。
外部リンク : ソリューション営業とは?課題解決をする提案型営業に必要なスキル | 社員研修・社員教育のリクルートマネジメントスクールwww.recruit-ms.co.jp
ソリューション営業は、主にアウトバウンド営業やインサイドセールスの現場で行われる営業スタイルで「顧客の課題をヒアリングした上でそれにフィットした提案を進める」というPSFの todo がそのまま営業プロセスに内包されているのが特徴です。
シェアボスの「ボスたち」という切り口次第で広範な課題解決に活躍できるソリューションを、最初から最大公約数的な仮説でパッケージ化するよりも、直接課題をヒアリングした上でパッケージした方がロスが少ないだろう、というアイデアです。
ソリューション営業は高い
実施するにあたってひとつ問題があります。
ソリューション営業は営業手法の中でも非常に高い "コスト前倒し" の施策です。
デジタルマーケティングの世界では、「インプレッション課金」や「掲載課金」のような "コスト前倒し" の施策より、「クリック課金」や「成果報酬」のように "コスト後ろ倒し" の施策が主流です。
これは予算の少ないスタートアップや宣伝広告費を厳密に管理したいプッシュ・プル型のビジネスにとってはとてもありがたい。
一方ソリューション営業は、セミナーやイベント出展、広告といった手法でリードを獲得し、さらに雇った営業マンを訪問させて課題を聞き出し営業する、というように「人件費」先出し、成果があとから付いてくる典型的な "コスト前倒し" の施策。しかも、コストはテレアポ1件数百円〜、営業マン1人月60万〜と、数人で1部隊を作ったとして月間200万〜500万くらいかかるスタートアップにとってはしんどい施策です。
リスクとマージンというトレードオフ
そういうわけで、シェアボスのようなスモールビジネスでは採用することが難しいため、今回はフリーランスの営業マンたちに完全成果報酬で施策を委託する形を採りました。
完全成果報酬はマージンが非常に高く、継続的にビジネスを続けていく上では苦しいのですが、法人アカウントに門戸を開いてもらうためには他に選択肢がないと判断しました。また、前回書いたように昼間わたし自身は本業があるため動けない、というのも大きな理由です。
自分が大企業でシェアボスをやっていたらまた違った選択肢を採っていたかもしれません。同じビジネスでも、市場環境や自分たちの置かれている立場によって常に最適解 が変わってくるから、何歳になっても悩みます。
どんなターゲットを想定しているのか
ここで、読者の方の中には「おや」と思う人がいるかもしれません。シェアボスが浸透しない理由の仮説に以下のようなものがありました。
・シェアボスのターゲットと、訪問者の属性が違う
(Place と Promotion の問題)
フリーランスの営業マンに活動してもらう施策は、シェアボスのターゲットと合っているのだろうか、という疑問が浮かびます。
そういえば、シェアボスのターゲット仮説についてまだ説明していませんでしたね。
次回の記事ではそのあたりを整理してみようと思います。