「ジョルダンに勤めています」
そう自己紹介すると、よく相手から言ってもらえるのは、
え!あの乗換案内の!?すごい!
良くお世話になってます!
という声です。ありがたや、ありがたや…
そのあとに続いて言われるのはこんな一言です。
乗換案内ってどういう仕事してるんですか?
これ結構聞かれます。
ので、我々ジョルダン社員が普段、乗換案内の運営でどういう仕事をしているかを紹介したいと思います!
乗り換えにかかる時間
乗り換えにかかる時間…社内では「乗換時間」と呼んでいます。
読んで字のごとしですね。乗換をする駅で、列車やバスを降りてから次に乗る列車やバスまでの移動にかかる時間です。
これお客様からいただく経路の指摘でも数が多く、それだけお客様にとって興味があり、重要な時間だなというのが分かります。
たまにTwitterでエゴサーチするのですが、「乗り換えに間に合わなかった!」「乗換案内を超えた!」(乗換案内が提示した結果より早い列車に乗れた)と、乗換時間に関わるツイートは散見されます。
乗換時間といっても、鉄道の乗換時間、バスの乗換時間…といくつもあるのですが、すべて話し始めるときりがないので…
今回は鉄道の乗換時間に焦点を当てて、エンジン担当がどうメンテナンスしているのかをレポートします!
メンテナンスのフロー
鉄道の乗換時間のメンテナンスのフローは下記のようになっています。
それぞれの段階について説明しますね!
お客様からのご指摘
お客様からのご指摘をもとに乗換時間を変更する場合です。
お客様からのご指摘の場合、まずお客様サポートを担当している部署がお客様のご指摘が妥当かどうか…、つまり乗換時間を変更したほうが良いかを判断します。
中には、
・走れば間に合う
・不慣れなので迷う時間を加味してほしい
といったご要望をいただくことがあります。
せっかくのお客様のご指摘ではありますが、そうしたご要望にはお応えができません。
駅の構内を走るのは大変危険なので、乗換案内として走れば間に合う時間はご案内できません。
また駅に不慣れかどうか…はお客様によってしまいます。不慣れなお客様を基準にしてしまいますと、その駅をよく使うお客様に不便な乗換時間になってしまいます。
お客様が不慣れかどうかは、お客様固有の事情になりますので、乗換時間の設定を「余裕を持つ」にしていただくなど、乗換時間に関わる機能・設定で対応していくものとしています。
また○分の列車に間に合わなかった/乗ることができたというお問い合わせであっても、現地の地図や構内図、これまでの実地調査結果などを確認すると、現在の乗換時間の設定で問題ないということもあります。
サポート担当がこれは乗換時間を調べるべき、そう判断すると、乗換時間の調査依頼が出されます。
改正情報のキャッチ
ジョルダンでは、常に鉄道の改正に関わる情報を収集しています。
駅ができる無くなるやダイヤ改正や運賃改定以外にも、駅の工事の案内なども大事な収集対象です。
駅の工事の情報をキャッチすると、乗換時間に変更が生じるかどうかを確認します。
変更が生じるのは、
・乗換に用いる通路が変更になる場合
・プラットホームの位置が変更になる場合
・出口・改札の位置が変更になる場合
などがあります。
駅の工事のプレスリリースの情報などを見て、乗換時間の変更が必要そうと判断されれば、これも乗換時間の調査依頼となります。
調査依頼~実地調査
さて、乗換時間をどう調べるかですが……、基本的に実地調査です。
つまり実際にその駅まで行って、プラットホームからプラットホームを歩いて、その時間を計測します。
とはいえ、駅の構造から乗換時間を推測できる場合や、以前実地調査した結果を再検討して乗換時間を決めることもあるため、調査依頼がでても必ずしも実地調査するわけではありません。
また、あまりにも遠方の場合は、その地方に近い支社に依頼したり、社員が出張・旅行に行く際についでに調べてくることもあります。
実地調査も調べる人によって基準が変わらないよう、エスカレータを使う使わないなど、きちんとルールを定めています。
これまで実地調査した乗換時間は、すべて記録しています。
乗換時間の検討
実地調査が済むと、今度は乗換時間の検討です。
乗換案内の乗換時間は、分単位での表記です。
対して実地調査は分秒単位で調査しています。
そのため表示上は何分にするか?を決めねばなりません。
これが結構難しいんです。
例えば実地調査して、乗換が1分30秒だったとします。
これ、乗換時間1分にしますか?2分にしますか?というと、どちらでもなくおそらく3分にします。
なんで!?
これには日本の鉄道事情が絡んできます。
日本の鉄道事業者は、ダイヤ管理上は5秒、10秒、15秒刻みで管理していますが(何秒刻みかは会社による)、時刻表の発着時刻は、秒単位は丸められて分単位での表示になっています。
つまり、仮に時刻表で15時50分着と記載されている列車は、15秒刻みの会社の場合、実際は15:50:00~15:50:45の間に到着します。
15時50分着の列車が実際には、15:50:45に着くと、そこから1分30秒かけて乗り換えた場合、乗換先のホームに着くのは15:52:15になります。
このときもし乗換先の15時52分発の列車の秒単位での発車時刻が、15:52:00だったとすると、この列車には間に合わない可能性があるんですね。
しかし、乗り換えできない可能性が高い列車は案内できません。お客様がその列車に乗れなかった結果、大事な用事に遅れてしまうかもしれません。
そのため、1分30秒の調査結果でも乗換時間は3分にして、間に合わないかもしれない15時52分の列車は案内しないようにしています。
かといって乗換時間を多めにしすぎても、それはそれで乗れる列車を案内できないことになり、それもよくありません。
それ以外にも、屋外を経由する乗り換えの場合、途中で歩行者信号を渡ることがあります。
歩行者信号もたまたま青なのか赤なのかで、乗換にかかる時間が変わるため、そこをどう考えるか…
乗換時間の設定は、そうした点を考慮する必要がある、なかなかに難しい問題なのです。
データ入力と本番反映
こうして乗換時間を何分にするかを決めたあとは、それを鉄道の乗換時間のデータベースに入力します。
テストサイト上で乗換時間を変えたことの確認を行い、晴れて本番反映されます。
まとめ
乗換時間なんてぱっと変更できるんじゃないか?なんでいつまでたっても変更されないのか?
そう思われているお客様もいらっしゃるかもしれません。
たしかに数字を変えるだけなら簡単なのですが、実際にはその裏で様々な調査や検討をしています。
お客様から乗換時間のご指摘をいただいてから、対応までにお時間をいただく場合があるのはこのような事情があるからです。
こうした見えないところでも様々な工夫をこらしております。少しでもジョルダンに興味を持っていただけたら幸いです。