透析液濃度管理、検体検査装置、病理・細胞診検査を開発・提供し、病院・臨床検査の世界で高く評価されている常光。検査装置とともに、検査に必須となる検査試薬等の医薬品も開発しています。
今回は、医薬品開発課の清瀬にインタビュー。常光の医薬品開発について、業務内容や仕事の流れ、今後の展望について話を聞きました。
▼略歴
医療機器メーカー事業 開発部門 医薬品開発課 副部長 清瀬
大学・大学院在学中に分子生物学を専攻した後、就職活動の際に学びを活かせる診断薬開発の分野に関心を持つ。常光の医薬品開発課のポジションに惹かれて入社を決意し、入社直後より産官学連携プロジェクトに参画。「ヒストラ HER2 FISH キット」の開発に携わる。現在は副部長としてマネジメントも担当。
※本記事の内容は2025年6月公開時点のものです。
目次
遺伝子検査キットを展開し、病院・臨床検査に貢献
専門家たちと対等な立場で行われる意見交換
スキルを活かし、自身も事業も成長させていく
遺伝子検査キットを展開し、病院・臨床検査に貢献
ーー清瀬副部長は常光に入社以降、医薬品開発に従事していますよね。まずは、医薬品開発課で行われている業務内容について教えてください。
常光の医薬品開発課では、主に体外診断用医薬品の開発を行っています。主力製品である「ヒストラ HER2 FISH キット」を中心に、さまざまなバリエーションの遺伝子検査キットを展開してきました。
既存の診断キットの構造や製造方法を詳細に調査するところから開始し、必要な技術要素を特定・分析。病理学やがん関連の専門知識、有機合成技術などの専門家との連携体制を構築しながら、各構成部品の調達と統合を行います。その後、性能評価や競合製品との比較分析を経て、最終的に保険適用のための申請手続きを行う一連のプロセスを実施するのが、大まかな業務の流れです。
ーー入社後、清瀬副部長にとって印象的なプロジェクトはありましたか?
ちょうど私が入社したタイミングでスタートした「病理部門のがん診断薬開発プロジェクト」が印象に残っています。このプロジェクトは、大学が保有する特許の実用化を目指す産学官連携の委託開発事業でした。
私自身も大学の医学部に派遣され、大学の先生方との共同研究を開始。約3年半のプロジェクトの成果として完成したのが「ヒストラ HER2 FISH キット」でした。私にとって初めて、かつ、弊社の主力製品が生まれた重要プロジェクトだったと思います。
専門家たちと対等な立場で行われる意見交換
ーー診断キットの開発をされている競合他社と比較して、常光の製品にはどのような強みがあるのでしょうか?
弊社はFISH法(*1)の分野で約20年の実績を持っています。とくにHER2遺伝子診断薬を研究用試薬ではなく、診断薬として製品化に成功している数少ない企業と言えるでしょう。がんの遺伝子検査は大きく「大きなDNA変化を捉えるFISH法による検査」「1塩基変異など、細かい遺伝子配列の変異を見る検査」そして「小さな繰り返し配列の違いを検出する検査」の三つの分野に分かれます。そのうちの一つを確実に押さえているという点が、大きな強みです。
ーー清瀬副部長が感じている常光で医薬品を開発する「やりがい」を教えてください。
まずは、大学・大学院で学んでいた分子生物学の知見を活かして仕事ができていることが大きな魅力であり、やりがいです。自らの知見と技術を活かして生み出したものが「常光ブランド」として製品化される。一部分だけを製造しているだけでなく、市場調査から保険適用の申請まで一連のプロセスを一気通貫で行っているからこそ得られる実感だと思います。
また、新規開発を行うにあたっても、その道の専門家である医師や教授のみなさんから「これはすごい技術だ」と評価されたり、実際に製品を利用した方から評価されたりというのも作り手としては嬉しいことです。製品開発から技術支援まで広く活動することで、さまざまな領域の医療現場の専門家たちと対等な立場で意見交換できる仕事はそうそうありません。とても貴重な経験ができる会社だと感じています。
ーーやりがいの大きそうな仕事ですが、その分、難しさもありそうです。専門家の方々と会話する上で重要なことはなんでしょうか?
やはり「自分がどういう考えを持っているのか」をきちんと伝えることが大切です。先生方には先生方の意見がありますが、それに傾聴しつつも常光の社員として「事業」についても考え抜かなくてはいけません。
先生方のいる基礎研究の世界をどうやって商売に結びつけるのか。この観点が抜けてしまうと事業として成立させることが難しくなります。先生方の専門的な知見を参考にさせていただきながら、自分の意見もしっかり伝える。それに尽きると思います。
スキルを活かし、自身も事業も成長させていく
ーー今後の目標を教えてください。
先述した通り、弊社は「大きなDNA変化を捉えるFISH法による検査」の分野で約20年の実績を築いてきました。これは間違いなく、弊社の強みであると言えます。
そして、今後はがん遺伝子検査における残りの二分野「1塩基変異など、細かい遺伝子配列の変異を見る検査」「小さな繰り返し配列の違いを検出する検査」にも参入していくことが目標です。これらの分野は現在、海外の大企業が主導しており、リアルタイムPCR(*2)や次世代シーケンサー(*3)などの高度な機器を必要とする大規模検査が主流となっています。当然同じことをしていては勝ち目もありませんが、決して不可能なチャレンジではありません。
日本の医療環境では、地方の小規模病院でも独自に検査を実施する傾向があります。その点に着目し、個々の医療施設に対応した小規模キットの開発を通じて、中小企業ならではの市場参入の可能性を模索しているところです。今後は部員を増強しながら、アイディア重視の市場展開を進めていきたいですね。
ーー最後に、採用メッセージをお願いします!
医薬品開発課は、化学や生化学、分子生物学などの専門知識を活かせることはもちろん、コミュニケーション力や英語論文を読解するための語学力も伸ばせる環境です。もちろんすべての専門分野に精通している必要はなく、足りない部分は周囲のサポートや専門家のアドバイスから学ぶことができます。実際、私自身も日々勉強です。
研究開発から技術支援、時には海外への出張など幅広い業務経験の中でキャリアを広げていけるところが常光の魅力です。もちろん入社後は先輩社員によるオンボーディングで早期活躍を支援しますし、全社的にも働きやすい環境を提供しています。私自身、二度の育休を取得し、ワークライフバランスの取れた働き方を実現しています。スキルを活かし、仕事もプライベートも充実させたい。そんな方のご応募お待ちしています。
*1)蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法のこと。特定の遺伝子や染色体、細菌などを蛍光顕微鏡で可視化する検査法
*2)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の反応過程をリアルタイムに測定する手法のこと
*3)DNAやRNAの塩基配列を高速に読み取る装置のこと