ナマステ、いつもご覧いただきありがとうございます。 iTipsの若林です。
前回の藤田さんのインタビュー記事はご覧いただけましたでしょうか? 「ゼロからカリキュラムを作る」という挑戦を通じ、インターン生がどのように成長していくかをお伝えしました。
今回はインターンインタビュー第二弾。 登場していただくのは、同時期にインターンに参加し、インド・チェンナイで進行中の巨大プロジェクト「oyakata scrum」の立ち上げに携わった伊藤大生さんです。伊藤さんは国際開発を専攻する大学院生。iTipsインターンとして渡印直後、コマツインディアとの協業プロジェクト「oyakata scrum」の立ち上げ担当に抜擢。学生の枠を超え、異国の現場最前線でプロジェクトを牽引してくれています(※2025年12月現在)。
iTipsのインターンシップの特徴は、「学生用のタスク」を用意しないことにあります。 私たちがインターン生に渡すのは、実際のビジネスの現場そのものです。「これをやって」という詳細な指示書はありません。あるのは「このプロジェクトを成功させてほしい」というミッションだけ。
伊藤さんが任されたのは、グローバル企業であるコマツインディア様との協業プロジェクトの最前線という、社員でも震えるような大役でした。 右も左も分からない初めての地で、彼はどのようにしてプロジェクトの「イニシアティブ(主導権)」を握っていったのか。 そのリアルな奮闘記を、ぜひご覧ください!
目次
- 「すごい経験がしたい」と言ったら、本当にすごいのが来た
- 片道2時間の通勤、届かないエアコン…「不満」を「提案」に変えるまで
- 「優しさ」は「甘さ」だった。痛感したマネジメントの難しさ
- 「お客様気分」を捨てて見えた新しい景色
- 伊藤さんからのメッセージ:臆して、飛び込め
「すごい経験がしたい」と言ったら、本当にすごいのが来た
若林: 伊藤さんは、なぜこのタイミングでインドへ、そしてiTipsのインターンに参加しようと思ったのですか?
伊藤: きっかけは今年(2025年)の7月頃です。就職活動をしていたのですが、「このまま就職していいのか?」と自分の選択に迷っていました。迷いを抱えたまま就職するのではなく、何か決定的な経験をしようと決めたんです。 ワーキングホリデーなども考えましたが、「英語ができるようになる」だけでは物足りない。「未知の世界に飛び込むぐらいのことが、いまの自分に必要だ」と考え、インドを選びました。iTipsを選んだのは、日本の基幹産業である「製造業」に関われる点と、問い合わせへのレスポンスが驚くほど早かったからです。
若林: なるほど。「他にはないユニークな経験」を求めていたわけですね。実際にインドに来てみて、どうでしたか?
伊藤: 実は、渡航前に聞いていたミッションは「新しい学校の立ち上げ(移転)」だったんです。大学院で国際開発を学んでいたこともあり、「なんでもいいから、とにかくすごい経験をさせてください!」と意気込んで9月末にインドに入りました。 ところが到着直後、ラトネッシュさん(弊社代表)から「来週からコマツさんの現場でOJTが始まるから、伊藤くん、お願い!」と突然の指示が(笑)。
若林:いきなりグローバル企業との連携プロジェクト「oyakata scrum」の現場担当になったわけですが、正直どう思いましたか?
伊藤: 正直に言うと、最初は「憂鬱」でした(笑)。右も左も分からないのに、いきなり大企業の現場に入って指揮をとるなんて…。でも、「すごい経験をさせてくれ」と言ったのは自分自身。「これがその“すごい経験”なんだ」と腹を括り、ポジティブに捉え直しました。
片道2時間の通勤、届かないエアコン…「不満」を「提案」に変えるまで
若林: 実際に現場に入ってみて、どんな状況からのスタートだったのでしょうか?
伊藤: まさに「カオス」からのスタートでした。最初の宿舎から現場までは片道2時間もかかり、食事にも改善の余地が明らかでした。生徒たちがOJTに集中できる環境を整えなければいけない!という使命感が自然と湧いてきました。 「PG(ゲストハウス)を変えましょう!」と提案することに迷いはありませんでした。現地スタッフに改善の必要性を説いてまわりました。僕自身は英語しかできないので交渉の実務は現地スタッフに任せつつ、ディレクションは自分が主導しました。
若林: 環境への不満を言うだけでなく、自ら動いて解決策を提示したのですね。業務面ではどうでしたか?
伊藤: タスクリストが用意されているわけではありませんでした。生徒たちのプログラムの大枠は決まっていましたが、現場でどう動かすかの詳細はこれから。 「ショベルカー研修の時間を調整して、工場内での現場研修を増やそう」「日本語教育はこう進めよう」といった具体的なタスクを、現場の状況を見ながら自分で洗い出し、提案し、実行していきました。 方向性の指示はありましたが、「細かいことは任せる」というスタンスだったので、自分で考えるしかありませんでした。
若林: コマツ様の社員の方々との関係構築も、インターン生にとってはハードルが高いですよね。
伊藤: 最初は「iTipsの代表」として見られることをことさらに自覚していたわけではありませんでした。でも、現場で信頼を得るには人間関係が全てです。とにかく色々な人に自分から挨拶し、「ありがとう」と言い続けました。ある時から向こうも笑顔で返事をしてくれるようになり、そこから仕事がスムーズに回り始めました。
「優しさ」は「甘さ」だった。痛感したマネジメントの難しさ
若林: 順調にプロジェクトが進む中で、苦労したことや失敗経験はありますか?
伊藤: 一人の生徒が体調不良であることを黙ってプログラムに参加していました。感染性のあるおそれがあったので帰郷させ、その後はオンライン参加できるように環境整備したのですが、その後に宿題提出が遅れたり授業に遅刻するようになりました。私は彼の体調をおもんばかるあまり、厳格な注意喚起をしませんでした。その生徒はついには授業を無断欠席するに至ってしまいました。iTips訓練校のルールでは本来なら退学処分となる事案です。この件は会社に落ち度もあったという側面もあり生徒を退学にはしませんでしたが、「相手を思うこと」と「甘やかすこと」は違う。マネジメント不足を痛感した、苦い経験です。
若林: 現場を任されているからこそ、その責任の重さを肌で感じたのですね。
伊藤: はい。時にはインド人スタッフとの調整がうまくいかず、「もう無理です!」とラトネッシュさんに弱音を吐いたこともありました。でも、そうやって腹を割って相談することで、「自分一人で抱え込まなくていい」と気づき、また前に進むことができました。
「お客様気分」を捨てて見えた、新しい景色
若林: 2ヶ月が経ち、伊藤さんの中でどんな変化がありましたか?
伊藤: 以前ラトネッシュさんに言われた「お客様気分でいる人には、任せる仕事はないよ」という言葉が、今の自分の指針になっています。 インドでは、エアコンが届かないとか、コンセントがつかないとか、トラブルは日常茶飯事です。でも、それを「会社のせい」にして不満を言っても解決しません。「言っても仕方ないことは言わない、自分でなんとかする」というマインドセットが身につきました。
若林: 「インターン生」ではなく、一人の「当事者」になったのですね。
伊藤: 今は、1年前の就活の時には見えなかった景色の中にいると感じます。 チェンナイでは、日系企業の駐在員の方々と話す機会も多く、「僕が一番ディープなインド体験をしてますよ!」と盛り上がれるようになりました。テニスを通じて日本の商社の方と繋がりができたり、「人の縁」を手繰り寄せる面白さも知りました。 「ここで始まった関係性が、相手と自分の将来にどう役立つか」という視点を持つようになったのも、大きな成長です。
伊藤さんからのメッセージ:臆して、飛び込め
若林: 最後に、これからiTipsのインターンに挑戦しようとしている人へメッセージをお願いします。
伊藤: iTipsには、「レール」はありません。でも、「臆しても、挑戦する」という気持ちさえあれば、想像もしなかったような大きなチャンスを任せてもらえます。 僕も最初は不安だらけでしたが、来てみたら意外となんとかなりました(ご飯も美味しくて太ったくらいです!)。 「準備ができてから」なんて思わずに、まずは飛び込んでみてください。きっとここでしか得られない「すごい経験」ができるはずです。
【編集後記】 取材中、伊藤さんが語った「お客様気分では務まらない」という言葉。これこそが、iTipsインターンの本質です。 用意されたタスクをこなすのではなく、現場の最前線で自ら仕事を作り出し、失敗しながらも前に進む。その経験は、どんな研修よりも濃密な「成長」を約束します。
あなたも、伊藤さんのように「自分の物語」をiTipsで作りませんか? 熱い想いを持った方のご応募、お待ちしています!