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【大村祐一郎取締役インタビュー】管理部門担当取締役として持株会社化を推進

インヴァスト株式会社で管理部門を担当する大村祐一郎取締役にお話を伺いました。2020年10月の持株会社化とテクニカル上場について、また今後のあるべきコーポレート部門の姿について語っていただいています。

コーポレート部門担当取締役として持株会社化とテクニカル上場を指揮

-管理部門を統括されている大村取締役の業務内容や役割について具体的にご説明いただけますか。

インヴァスト株式会社は事業推進、内部監査、そして総合企画の3つの部門から構成されており、私は総合企画を担当しています。

業務内容はかなり広く、経理・会計・財務関連に総務・人事などの社内管理、IR・広報、そしてSNSの運用まで。事業推進と内部監査があって、それ以外(笑)。

とはいっても、自分でやっているわけではなく、これらの業務を現在、7名で行っていて、それにのっかっている感じです。

-インヴァスト株式会社は2020年10月に持株会社化とテクニカル上場を実施しました。また2022年には東京証券取引所の市場区分が変更されています。コーポレート部門はかなり忙しかったのではないですか?

2022年4月4日に東京証券取引所の市場区分が変更され、当社は「スタンダード市場」に上場する形となりました。

コーポレートガバナンスコードの適用範囲が広がったので、その対応が少々大変でしたね。上場企業として求められる、期待されるレベルがあがったと感じました。いろいろなルールを守っていくことは、会社として最低限必要ですから。

-持株会社化とテクニカル上場で苦労された点はありますか?

2020年10月にインヴァスト証券株式会社を上場廃止して、代わりにインヴァスト株式会社を上場させるというテクニカル上場によって持株会社化を実現しました。

また、インヴァスト証券株式会社の子会社をインヴァスト株式会社の子会社に再編するという作業もあり、とても大変でした。

というのも単独株式移転による持株会社設立は比較的珍しい方式なので、当然、社内に経験者はおらず、外部の弁護士や会計士の先生方にご助力いただきながら、スタッフが疑問点やタスクを洗い出してひとつずつ潰していくという手探り状態で進めていきました。開示面では財務局や取引所、税理士や監査法人とも協議を重ねながら。

ほかにもテクニカル上場に合わせてコーポレートロゴを刷新する準備など周辺業務が山積みだった上、新型コロナの感染拡大もありましたからね。実務を担当したスタッフの皆さんは、リモート導入初期で混乱している中、本当に苦労したと思います。

-持株会社化は社内にどんな影響をもたらしましたか?

それぞれの会社で展開している事業がしっかりと回っている状態で、持株会社が新しい事業にチャレンジできる環境が整った点が最も大きいと感じています。

以前の体制はインヴァスト証券株式会社という事業会社が新規事業開発も行う形でしたから、目の前にある仕事を処理しながら同時並行で新規事業開発に取り組む必要があったんです。収益が出ている事業のほうが重要ですから、どうしてもそちらが優先。業種的な制約もある。

でも、切り離された持株会社が新規事業開発を担当すれば、持株会社は新規事業開発に、事業会社は収益事業にそれぞれ集中することができます。2020年10月からの新しいグループ体制はこのような役割分担の実現を目標にしていたんです。


グループ経営の意思決定に必要な情報を提供できるコーポレート部門に

-インヴァスト株式会社の持株会社としての機能について教えていただけますか。

現在、インヴァスト株式会社には主な事業会社が3つあります。

・インヴァスト証券株式会社
・インヴァストキャピタルマネジメント株式会社
・Invast Financial Services Pty Ltd

持株会社としてこれらを管理していますが、いわゆるホールディングスとしての機能はまだまだこれからです。

今後、事業会社が増えていけば、その自律性を大事にしながら、企業グループ全体の価値を最大化・最適化する仕組みが必要でしょうし、モニタリング、資源の再配分を含むガバナンスをどう構築していくのかも課題。

これまでは、役員の兼務など、個人でカバーしていたところがありましたが、事業会社の数が増えれば、そのやり方では限界がくる。

あとは、ファイナンス、資金調達ですね。グループ内の資金効率をあげることとあわせて、外部からどのように資金を調達してくるのか。それに、インヴァスト社内で進めている新規事業が立ち上がって回り始めれば新たな資金需要も生じてきます。

今はこうした機能を作っているところなんです。

-コーポレート部門の担当取締役として感じている課題や問題点はありますか?

事業会社と持株会社では、コーポレート部門の役割に違いがあります。

事業会社の場合、総務・人事・経理などの機能をそれぞれの会社にあわせて高度化させていくのが重要ですが、持株会社の場合にはそれだけでは足りない。持株会社として、グループ経営の意思決定をするために必要な事業会社の情報を吸い上げて提供するなど、経営者のサポート的な役割が必要だと思うんです。

どの事業会社に経営資源を優先して振り分けるのか、事業ポートフォリオの見直しをするべきなのか、そのまま行くべきなのか、モニタリングをしながら、これらを判断するための情報を提供する役割はコーポレート部門が担うしかありませんから。現在はこの点についてもポイントと考えて進めています。

さきほどもちょっと触れましたが、事業会社の自律性を重視しながらも、モニタリングはする。何か問題が発生したらそれが必要な人に確実に伝わる。それを個人ではなく、組織で対応する、というイメージですね。

-コーポレート部門はスタッフの勤務環境を改善していく役割も担っていますが、リモートワークは今後も継続していくのでしょうか。

インヴァスト株式会社では新型コロナ禍でリモートワークを推奨しています。

リモートワーク自体は、コロナが収まってもなくなることはないでしょうね。リモートワークの方が効率が良い仕事はリモートでやればいいし、出社した方が効果が高いという場合には出社すればいい。

例えば私の部署では、役所など公共機関に提出する書類を紙ベースで作成し押印するなどの業務がある場合には出社しますが、経理や人事のようにリモートで対応できれば毎日オフィスに来る必要はありません。したがって会社としては基本的に、どちらにするか個人やチームが仕事の目的に応じて、自由に選択できるようにしておくべきだと考えています。

ただ、新社会人や入社直後の方など会社や業務についての理解がまだ浅い方をリモートで放置するのはよろしくありませんよね。あるいは、特定の人の我慢に依存したり、負担がかかったりするような状態とか。

個人で仕事をやっているわけではないので、リモートワークが非効率につながらない形で運用できるよう、チームとしてのルールを整備していく必要があると考えています。


オーストラリアで海外法人立ち上げをCFOとして経験

-大村取締役は2013年から数年間、海外に赴任されていましたね。

約4年ほど、オーストラリアに赴任していました。インヴァスト株式会社の子会社にあたるIFS(Invast Financial Services Pty Ltd)を設立したばかりの時期に、立ち上げのためCFOとして赴いたんです。

当時は3人しかおらず、オーストラリア人のCEO、COOと私だけでした。英語が得意だったわけではないので、狭いレンタルオフィスの一室にいるのに、チャットや筆談でコミュニケーションするなど苦労したのをよく覚えています。聞き取れないし、伝わらない(笑)。

着任した当初は郵便の出し方や銀行口座の開設方法もわかりませんでしたから、ガス・水道・携帯などの生活インフラを整えるのも全て手探りでした。

家具付きのアパートを契約したはずなのに、入居したら内覧のときにあった家具がなくなっていたり、入居した日にカーテンとシャワーが壊れるなど日本では考えられない経験もしましたね(笑)。

オーストラリアは良くも悪くも日本よりおおらかなのではないでしょうか。家具がなくてどうやって寝ようか途方に暮れたり、1ヶ月カーテンなしで生活したりなどの体験をしたためか、私自身も以前よりおおらかになったように感じています(笑)。

-オーストラリア赴任中に日本へ戻っていたのはどの程度のペースでしたか?

年に1回くらいでした。取締役会に合わせて日本に戻ってきていました。

まだ赤字の時期でしたから、CFOと言っても当時の親会社であったインヴァスト証券の取締役会に状況を説明し、追加の資金をお願いする役割がメイン(笑)。日本に戻ってくる度に、元の部署にいたスタッフたちが私のために美味しい店を用意してくれていたのがうれしかったですね。

オーストラリアへの赴任は、海外でのビジネスや生活を経験できたという意味で自分にとってとても貴重だったと思っていますが、また行けと言われたら多分断ります(笑)。


インヴァストは新しいモノが好きで懐の深い会社

-大村取締役のご経歴や趣味についてご紹介いただけますか。

私は熊本出身で、福岡の大学を卒業後、東京で就職しました。本当は地元で就職したかったのですが、就職氷河期のはしりだったので自分に合う会社がなかなかなかったんですね。

そして、2007年にインヴァスト証券の前身にあたるKOBE証券に入社したんです。KOBE証券では総合企画部に配属され、当局対応やM&Aなどをやっていましたが、複数の部署が統合されて、今のような形に。それ以来、ずっとコーポレート部門で仕事しています。

-ご趣味はなんですか?

趣味、、、?(笑)。

(同席していたスタッフが笑いながら「趣味はお酒です」とサポート)

はい、お酒は飲みます(笑)。ビールやハイボール、焼酎、何でも。

あとは読書が好きですね。特に小説で、現在は電子書籍も増えていますが、小説だけは紙の本を買ってしまいます。

最近は書店が減っているので、本好きにとっては少し寂しい思いです。小説以外にも、人から勧められると基本的にどんな分野の本でも興味を持って読んでいます。

(同席していたスタッフが笑いながら「あとはお散歩」と再度助け舟)

基本、人としゃべらずに生活できるタイプで、人ごみや大人数の集まりは苦手。
たまにひとりで、目的なしにどこかへ行っちゃう。これをお散歩といっています。

-仕事をする上で、大村取締役が大切にしている点があれば教えてください。

自分の経験や考えに固執しないこと。あと、憶測(かも、だろう)ではなく事実に基づいて考えるようにしています。

チームの運営的なところでは、各分野で自分より経験があり、実務能力が高い人たちの集まりなので、最低限の約束事や方向性をすり合わせしたうえで、基本的にはその人たちにお任せする。実務的なところは極力邪魔をしない(笑)。

ただ、事業会社と同じで、任せるけれども、任せっぱなし/投げっぱなしにはしたくない、とは思います。見るべきところは見ておいて、違和感があれば話を聞き、何かあれば連携して対応するのが理想。
誰も見てくれていない、ひとりで戦わないといけないとか、しんどいでしょ?

あとは、結局のところ、足りないところを補ってくれる、できないことをやってくれている方々がいて成り立っているので「お願いします」と「ありがとう」くらいは言わないと、思っています。

-大村取締役から見たインヴァストの魅力はどこにありますか?

そうですね、新しいモノ好きな会社だと感じています。

皆が変化に慣れているので新しい方が入社してきて新しいことをやりはじめるのを受け入れる素地ができているのでしょう。何があっても動じないし、常に新しいことに目を向けている。

もちろん、リスクもありますから最悪の事態を想定はしますが、死なない程度なら一応やってみようよ、という文化です。反対に動機が不純なら即NG。

あと、一度信頼するとかなりの権限を渡す傾向があるというのも魅力ではないでしょうか。信頼されて権限を託された方は、信頼を損なわないように、責任をもって役割を果たそうとする人が多い。

そういう文化なので、多くを任せても回っている会社なのだと考えています。懐が深いとも言えるんでしょうね。

-インヴァスト株式会社としてどんな人材に入社してほしいですか?

スキルについては各部門ごとに人材要件が異なりますが、自発的に課題を設定し、知識を深め考えて解決策を探せる方が魅力的だと考えています。いわゆる「自走できる人材」ですね。

それから、自分のために一生懸命になるのは当たり前ですけれども、周囲の人やお客様など自分以外のために頑張れる人は素晴らしいと考えています。このような方々にはぜひ、インヴァストに入社していただきたい。

良く言えば自由、悪く言うと型が決まっていない会社ですので、大企業のように「これをやってください」ではなく「この範囲で考えてみて」というスタイルで仕事したい方には合うんじゃないかと思います。

(取材日:2022年8月5日 聞き手:垣本陸)

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