組織開発担当の池田瑛香が、株式会社Housmart(以下、ハウスマート)社員の仕事術に切り込んでいくインタビュー連載『Howsmart jobs! 』
第3回は、今年3月に入社後3ヶ月で様々な施策を企画し、結果を出しているマーケティング担当、近澤さんが登場。彼が次々に新しい取り組みを生み出せるのはなぜか、その秘訣に迫りました!
【近澤 佑斗(ちかざわ・ゆうと)】
新卒でビズリーチに入社し、マーケティング部にてビズリーチ会員数を2倍以上に伸ばした実績の持ち主。ハウスマート入社後はコミュニケーションデザイングループにてマーケターとして活躍中。
将来起業を視野に入れている。
――具体的にどんな仕事をしているか教えてください。
カウルの新規ユーザー獲得、また獲得したユーザーの方のマンション見学申請数を増やすためのマーケティングをやっています。
いきなりですけど、「マーケティング」ってあやふやな言葉ですよね・・・。
ブランディングや事業戦略もマーケティングに含まれるっていう考え方もあって、広いんですよね。僕が尊敬しているマーケターに、USJのV字回復を果たした森岡毅さんという方がいらっしゃるんですけど、その方なんかは完全に経営目線でのマーケティングを実践してらっしゃいますね。僕は将来起業を考えているので、そういうマーケティング力を身につけていきたいなと思っています。上場を目指しているフェーズでの事業拡大の経験を積むことができる今の環境は、その意味でもありがたいなあと感じています。
(池田の質問を待たずにばんばん話を進める。これぞマーケター。)
――起業考えていらっしゃるんですね!どんな会社をやりたいとかあるんですか?
実は農業改革をやりたいなと思っています。一番IT化が進んでいないところってどこだろうと考えたら農業じゃないかと。イノベーションは伸び代があるところに起こると思っているので、そういう業界にテコ入れしたいなという思いがあります。
――なるほど・・・。IT化が進んでいない業界という点では不動産業界も同じですね。
そう思います!入社前から噂は聞いていましたが、実際この業界に入ってみて、やっぱり伸び代がめちゃくちゃあるなと感じました。FAXでのやりとりが普通、PCは物件検索がメイン、メモをクラウドに残していないなどなど・・・。もっと効率よくできるのにと思うことが多々ありますね。
(全く同じポーズをとっていることに気づいていない二人)
――わかる気がします・・・(苦笑)そんな業界の洗礼を受けつつ挑戦を続けていらっしゃるわけですね。冒頭でおっしゃっていた「カウルの新規ユーザー登録」、「マンション見学申請数を増やす」施策について、詳しくお伺いさせてください!
はい、カウルユーザー獲得の施策については、3ヶ月で新規登録人数を1.3倍に伸ばすことができましたが、特別なことはしていないです。獲得のための広告施策のPDCAが回せていなかったので、見直しの精度を高めていった形ですね。見直しするポイントはターゲット、入札単価、クリエイティブです。このうちクリエイティブについて、「資産価値がわかる」「レコメンドができる」「UIが優れている」というカウルの3つの強みを抽出し、それらを押し出す内容に改善しました。以前は「AI」推しだったのですが、よりユーザーの求めているメリットを訴求して自分ごと化してもらいやすくしました。またクリエイティブの変更時には都度効果を数値でわかりやすくデザイナーチームに共有し、改善のためのアクションをとりやすい状況を作りながら進めていきました。
ちなみに、facebook広告は「資産価値がわかる」という内容が反応がいいのですが、これはfacebookは30~40代のユーザーが多いからでしょうね。
施策を進めていく中で、カウルユーザーのみなさんはリテラシーがすごく高いなと感じました。使いこなしている方が多いなという印象ですね。カウルのUIが優れているからかもしれないですが、細かいことまで見て使ってくださっているので、細かい機能改善やデザインの変更がダイレクトに結果に現れますね。濃密なコミュニケーションができているなと感じています。
――濃密なコミュニケーションというのは、メッセージのやり取りではなく、ユーザーのカウル利用体験のことですか?
はい、言ってしまえば機械と人とのコミュニケーションです。我々は「10年後、20年後にライフスタイルが変わったときのために、売れる資産価値のある物件を購入しましょう」ということをユーザーのみなさんに伝えたいわけですが、それをカウルを通してやっているので、カウルがユーザーの方にかかわること全てがコミュニケーションです。
マンション見学申請数を増やす施策については、「令和キャンペーン」を企画しました。これは、5月に元号が改まったことにちなみ、5・6月の0(れい)のつく日にマンション見学していただけたら、当社代表針山の著書『中古マンション本当にかしこい買い方・選び方』をプレゼントします、という内容です。見学申請数を増やす目的ですが、そもそも当社はキャンペーン自体が少ないなと感じていました。
(手首だけで語れる男、近澤)
――キャンペーンって少ないとだめなんですか?
そうですね・・・。だめということはありませんが、世の中にサービスがあまたある中で、サービスだけ押し出してもやっぱり使ってもらえないと思うんです。昨年話題になったPayPayの100億円還元キャンペーン等もそうですが、何か火種というか、インセンティブがないと動いてもらえないのではないかと。またサービス自体が盛り上がっているというブランディングにもなります。もちろん試してみないとわからないこともありますが。
――なるほど・・・。こちらの施策の結果はいかがでしたか?
該当日の見学申請が、引っ越しシーズンと言われる3~4月の平日の申請数とくらべて1.8倍に増えました!また、本をプレゼントすると大変喜んでいただけて、これを読んで勉強しますとおっしゃっていただけたという声も伺っています。こんな風に、見学申請数を増やすだけでなく、その先の購入までサポートしていくような仕組みを作っていきたいです。
――一連の施策は大手から移られて初めての挑戦だったかと思いますが、大変だったことはありますか?
スタートアップなので、ほとんど整っていない状態で1から作り上げることの難しさは実感しました。特に令和キャンペーンは本がユーザーの手元に届くことがゴールでデジタルで完結しないので、全体のバリューチェーンを把握して設計しないといけないところは苦労しましたね。デザイナー、エンジニア等関係者とのチームワークも大事です。でも逆に言えば、部署間の壁が低く距離が近いスタートアップだからこそできた挑戦だと思います。
――それぞれ、ハウスマートバリューに落とし込むと何になりますか?
change the wayですね。
――入社してすぐchange the way取り組むのって難しくなかったですか?
特に意識していたわけではなく、僕のそもそものマインドセットがchange the wayかもしれません。変化しないと怖い、くらいの気持ちでいます(笑)仮にもしそこで失敗したとしても、そこから学べばいいんです。冒頭でも述べましたが不動産業界は非常にアナログで、ユーザーがリテラシーをどんどん高めているのに業界が変化しないままでは大きな機会損失になると危惧しています。ハウスマートで働きながら、そうした状況を打破したいと考えています。
――仕事をしている中で大切にしていることはありますか?
ものごとの表面だけを見て判断・対処せず、原理原則を探ることです。毎回即物的な対処に振り回されても、再現性がなければ意味がありません。毎回「なぜ」を5回繰り返す「なぜなぜ分析(※編集者注:トヨタが提唱する、問題事象の原因を追究する方法)」を実施して、根本原理に迫るよう意識しています。そうすれば、初めての試みであってもある程度「こう改善するはず」という信ぴょう性のある予測をもとに挑戦できるので。「なぜなぜ分析」はもちろんどこかで止めないと深みにはまってしまうので、「これだけ分析すれば再現性を持って次に繋げることができる!」と判断できるところまで行うように意識しています。時間がなくて強制的に止まっちゃうということもありますが!(笑)
最後に(池田より)
業界の違いに戸惑いながら、試行錯誤を繰り返す近澤さん。とはいえ闇雲に挑戦するのではなく、物事の本質をしっかり見極めるという哲学からは、華やかな活躍とは一転、地道な仕事ぶりがしのばれました。今後の活躍にも期待が高まります!