ハウスマートは2018年10月に創業5年目を迎えました。
ハウスマートは「カウル」という中古マンションの適正価格・将来価格が簡単に分かったり、最適な中古マンションをAIが見つけてくれるサービスを展開しています。
先日、3億円の資金調達を実施致しました。
TechCrunch「AI活用でマンション売買をスマートにするHousmartが3億円を調達、事業者向けSaaSの開発も」
28才の時に起業した私も、今では32才という立派なアラサーになり、なんとかハウスマートを運営しています(ブチャラティよりも12歳も年上とは複雑な気分ですが)。
私、針山にとってハウスマートは初の起業だったのですが、4年間の間にはいろんな事がありました。
今回は忘備録と反省も含めて、創業からの4年間で想像以上に「意外」だったこと、ハウスマートを起業する前は考えもしなかったことについてお伝えしたいと思います。
これから起業する方、ベンチャーに転職しようかなと考えている方、ベンチャーで日々奮闘する方の参考になれば幸いです。
想像以上に人の縁が大事
私は元々人と会うのが苦手でした。
というか今でも苦手です。
ピッチイベントやベンチャーイベントとかに行きたくない。
会食なんかも出来るだけ出たくない。
新しい人とも、採用やユーザーインタビュー以外では極力会いたくない。
会社の成長やサービスの成功は人脈ではなく、サービスやプロダクトの質、ハウスマートメンバーの実力によって持たらされると考えていました。
ただ、大きなチャンスは、人との縁をきっかけに来る事が多かったです。
ハウスマートが直近で行なった資金調達も、長年お世話になった方からのご紹介がきっかけとなりました。
無理に人脈だけを作りに行く必要は無いですし、それよりもサービスや実力の方が大事だと思いますが、せっかく出会えたご縁には感謝して非礼の無いようにするべきだと思います。
想像以上に評判が大事
「人の縁」にも紐づく話ですが、評判というのも想像以上に大きな影響力を持ちます。
外部の人とお話ししていると
「どこどこの会社は、今こんな状態らしい」とか
「どこどこの社長は全然仕事をやる気ないらしい」なんていう話が非常に良く入ってきます。
もちろん噂話は話半分で聞き流すべきですが、こういう評判は事業や採用に影響をもたらします。
サイバーエージェントの藤田社長は「敵を作らない事が大事。何かマズい事があったら直接その人に、すぐ会いに行く」と言っています。
マネーフォワードの辻社長も起業家へのアドバイスとして「社外の人にキレない事が大事」と書いていました。
ベンチャーをやっていると腹が立つことや、バカにされたような態度を取られたり、ネットで叩かれたりすることも良くありますが、喧嘩を売っても顧客満足度には繋がりません。
ベンチャーの社長や創業メンバーは、どちらかというと短気な人が多いと思いますが「いつか見返してやる」とモチベーションに変えてしまった方が得策です。
ハウスマートに対しては、お陰様で良い評判や良い口コミを頂く事が多いのですが、本当にありがたい事だと思っています。
想像以上にデザインが大事
今では当たり前に「デザイン思考」という言葉が使われるようになり、デザインの重要性が認識されるようになってきました。
お恥ずかしい話ながらHousmart創業時は全くデザインの重要性が分かっておらず「営業力と開発力が一番大事」と思っていました。
不動産ディベロッパーや、楽天のような営業力に強みのある会社にいたこと、Facebookを題材とした映画「ソーシャルネットワーク」を繰り返し見すぎた事が原因かもしれません。
Apple、AirBnB、 Uber、Slack、メルカリなど偉大な会社はどの会社もデザイン思考が中心にあります。
Housmartもデザイナーの稲井さんが入社し、エンジニアメンバーが積極的にデザインを勉強してくれたことでサービスの良さが格段に上がりました。
デザインとはWEBサイトやアプリの見た目を整えることではなく、ユーザーの真のニーズを的確に捉え、最適な方法やタイミングでサービスをユーザーに提供することだ、という事をハウスマート起業前に分かっていれば、と思います。
想像以上に素直さが大事
私は結構頑固な人間だったのですが、ハウスマートを創業してからは素直にりました。よつばと並みに。
「素直さ」というのは「固定概念に囚われない」「アドバイスを取りあえず実行してみる」という風に言い換えられると思います。
「◯◯は悪」とか
「事業が成長するためには◯◯が必要」とか
「仕事が出来る人は◯◯だ」とか
「◯◯は社長がやらないといけない」と言った固定概念を捨てて、数字に基づいて判断したり、チームメンバーにどんどん権限を委譲した方が事業スピードが早くなるという事が分かりました。
もちろん、定期的に事業内容や事業の進め方について振り返るために数字を計測出来るようにする仕組み作りや、権限を委譲するために情報共有をガンガンして行く必要があります。
事業の形についてもHousmartを起業した時からは随分サービスの形が変わっています。
特に事業プレゼンを繰り返していくと、自分の中で宗教的な思い込みが出来てきます。
「ウチの事業はコレ!」とあんまり意固地にならず、素直にユーザーニーズに沿ってサービスを作り変えていく素直さが大事だと思います。
想像以上に採用手法が大事
ハウスマートの創業当時は採用ノウハウの「ノ」の時もありませんでした。
とにかく、やりたい事に対して人が足りません。
「優秀な人を採用すれば強い組織が出来るはず」との思いからリファラルを中心として、人と会いまくります。
その中で「ハウスマートに興味がある!」と言ってくれる人に出会えると嬉しいものです。
そしてその人の経歴がピカピカ(に見える)だと、一層魅力的に思えます。
しかし自社に興味を持ってくれた人が本当に活躍出来るか、見極めなくてはいけません。人に会ってから「こんなことをやってくれるかも」と想像(都合の良い妄想)をするのではなく
・今の自社にはどんな人が必要か
・その人に求めるものは何か
・求めるものをもっているかどうかをどう確かめるのか
としっかり確認する必要があります。
また自社に興味を持ってくれている人が、なぜ自社に入社したいと言ってくれているかの理由も、くどいほど確認する必要があります。
どんなに素晴らしい経歴の人物であろうと
「上司と上手くいっていない」
「いま働いている会社を辞めたい」
「離職中で仕事を探している」
というのは、自社への志望理由ではありません。
自社への志望理由があいまいな人を採用すると、カルチャーフィットせず、また本人もそもそもやりたい仕事ではないためパフォーマンスが出ません。
めちゃくちゃ難しいですが「あなたの会社でなければダメなんです」という人を採用することが、ゆくゆくは「あの会社で働いている人はみんなイキイキ働いている」という良い評判に繋がり、さらに採用を加速化させると思います。 本当に難しいですが。
ハウスマートも採用に全力を注いでいます。
想像以上に睡眠と運動が大事
ハウスマートを創業してから丸3年は文字通り1日も休みませんでした。
特に1~2年目は会社に泊まり込む日が多く、代々木の超狭い事務所で寝袋に包まっているところに銀行さんがアポ無しで来て慌てふためいたのは良い思い出です。
4年目からは積極的に睡眠と運動を生活に取り入れるようにしました。
というのも、4年目は大きめの資金調達や組織再編、新規事業の立ち上げなど、自分にとって未知の領域で、精神的にハードなことが多かったからです。
知り合いのベンチャーでも社長が倒れるケースをチラホラ聞きますが、社長やマネージャーがいなくなるとベンチャーは打撃が大きいです。
幸い、ハウスマートには私よりも優秀なマネージャー陣がいるので事業がストップすることはありませんが、私が倒れたら私自身が責任を持っている部分がスピードダウンすることは間違いありません。
なので意図的に睡眠時間を確保し、運動するようにしました。
「針山さんって体育会出身ですよね」と言われるのですが、中学・高校・大学ともに真面目な運動部に所属したことが1ミリも無かったので、運動習慣は0でした。
ギリギリ稲中卓球部読んでたとか、そんなレベルです。スポーツ漫画で一番好きなのはスラダンです。
運動し始めて分かったのは、多幸感が半端ないということです。
映画「イミテーションゲーム」で主人公のチューリングが暗号解読用コンピューターの開発中にずっと走っていた理由が分かりました。
今ではジムでランニングマシン使いながらネットフリックス観てる有様ですが、運動は続けようと思います。
想像以上に情報の透明性が大事
ハウスマートでは事業数字、損益、会議内容、slackなど、基本的に何でもフルオープンにしています。
フルオープンにし始めたのは4年目からで、それまでは「こんな数字公開したらみんな辞めちゃうんじゃないか」みたいな事をビクビク考えて震えていたんですが、マネージャー陣から「公開した方がいいんじゃないか」という意見が上がり、フルオープンに踏み切りました。
結果として情報を公開する事で論点や問題点が明確になり、事業スピードが上がりました。
今考えれば、もし情報をオープンにした事で辞めてしまうメンバーであれば、そもそも事業に対して後ろ向きだということなので、気にする必要もなかったと思います。
今では月に2回、1時間ずつ時間を取って各チームから会社全体に対して「今月取り組んでいる3つのこととその理由」を説明してもらっています。 1回目はマーケと開発、2回目は営業とコーポレートという感じです。
フルオープンにするだけではなく、ハウスマート全体に対して情報を行き渡らせるためにやっています。
今のところチームメンバーからも評判がいいので、続けていこうと思っています。
まとめ
今回のブログでは書かなかった、事業の作り方や、お金の管理なども、もちろん起業では超超重要です。
ただ世の中ではあまり言われていない「意外と重要なこと」がご参考になれば幸いです。
ハウスマートは5年目かつ第2創業期というめっちゃ面白いタイミングですので、ちょっとでも興味が湧いた方は是非是非ご応募ください!