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ソーシャルメディア分析の最先端研究を担うホットリンクの技術集団【R&D部】とは

R&D部は、ホットリンクのSNSマーケティング支援事業や、SasSのプロダクト、コンサルティングサービス、技術の中核を担う部署です。

中小企業で、ここまで本格的なR&D部を設置している会社は少ないといわれています。企業内研究領域における、ホットリンクの大きな強みのひとつです。

今回はプロダクトやサービスを通じ、お客様に新しい価値を提案していくための基礎的な研究から応用研究までを行なうR&D部の榊剛史さん、松野省吾さんに、部署の特徴や研究成果についてお聞きしました。

<インタビュイー>

榊剛史(さかき・たけし)
R&D部部長。2006年東京大学大学院・情報理工学系研究科修士課程修了。電力会社での勤務を経て、2013年同博士課程修了。博士(工学)。東京大学での特任研究員を経験後、2015年より現職ならびに東京大学客員研究員。専門はウェブマイニング、自然言語処理、計算社会科学。2020年中国・清華大学による「世界的AI研究者2000人」に選出。

松野省吾(まつの・しょうご)
群馬大学情報学部助教。2017年電気通信大学・大学院情報理工学研究科総合情報学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。豊橋技術科学大学プロジェクト研究員、ホットリンクR&D部首席研究員を経て現職。専門はウェブマイニング、生体信号処理、感性情報処理、ヒューマンインタフェース。

非連続的な成長を促す部署、R&D部

――まず、ホットリンクにおけるR&D部の役割を教えてください。

榊:
人工知能やウェブマイニング、計算社会学などの分野において最先端技術を研究しています。
人間では発見できないSNSの特性を明らかにしたり、従来は人間が行なっていた知的な処理の自動化・半自動化を実現したりすることで、自社商品の価値向上や業務の効率化をはかることが目的です。

新サービスにつながるような価値の創出を目指して、非連続的な成長を促すことがR&D部の役割ですね。

具体的には、自動的なスパム投稿やスパムアカウントの除去、SNSユーザの属性推定といった形で、ホットリンクのプロダクト(BuzzSpreader powered by クチコミ@係長)に高度な機能を搭載する開発を行なっています。

データ分析による消費者理解や、マーケティングコミュニケーションに関する示唆獲得の支援、マーケティングロジックの検証などを通じて、当社のSNSコンサルティングにも貢献しています。

――現在、どのようなテーマを研究していますか?

榊:
これまでは「自然言語処理」「機械学習」などの技術を用いた「ソーシャルリスニング」に注力してきました。要は、ソーシャルメディアの分析ですね。

自然言語処理は、SNS上のテキストに書かれていることを特徴づけるキーワードを抽出したり、テキストがポジティブかネガティブかの判定をしたりする技術です。さきほどのスパム投稿の検出やユーザーの属性推定などは、自然言語処理に機械学習の技術を組み合わせて実現したものですね。

榊:
現在は、SNSを通じて人はどのように行動するのかを分析する「社会ネットワーク分析」や、行動を促せる方法を分析する「時系列分析」も研究しています。

人々のソーシャルグラフ(社会的なつながり)を分析する技術が、社会ネットワーク分析です。これを用いて、企業や地域コミュニティ、同一の興味関心にもとづいたグループなど、さまざまな粒度で結びついているSNS上のコミュケーションの仕組みを明らかにしようとしています。
一方、SNS上の単語の出現回数の時系列データを分析することで、短期的なバズや長期的な流行など、将来の状態の予測を試みるのが時系列分析です。

「そこにあるデータを分析する」ことから、「データを人の意思決定につなげる」方向に一歩進んだ感じですね。より本質的な課題にアプローチできるようになりましたし、利用する技術の幅も広がったと思っています。

――R&D部には、どんな方が在籍しているのでしょうか?

榊:
在籍中の正社員5名のうち、3名は博士号を取得しています。残り2名も博士課程に在籍しており、博士号を取得中です。
全員異なる領域を専門としているため、部としてのカバー領域は広いと思います。コンピューターサイエンス領域のうち、データ分析に関わる領域の大部分は網羅できているかなと。

企業内研究は、ビジネス貢献が前提

――榊さんは、どのような経緯でホットリンクに入社されたのでしょうか?

榊:
東京大学大学院・情報理工学研究科に在籍していたころ、先輩に松尾豊さん(東京大学大学院・工学系研究科・人工物工学研究センター技術経営戦略学専攻教授)がいまして。2004年ごろから、松尾さんがホットリンクと共同研究を始めたご縁で入社しました。

ホットリンクは東京大学だけでなく、東京工業大学、筑波大学など、さまざまな大学の研究室とも積極的に共同研究を行っています。もともと、大学の研究室と関わりが深いんです。そのつながりから入社する人が多いと思います。

――R&D部の皆さんは、大学の研究室出身ですよね。企業内で行なう研究と、大学の研究の違いは、どんな点にあるんでしょうか。

松野
大学の研究は、知的好奇心から出てきた「謎の解明」に重点が置かれる場合がほとんどです。実用化を目的としているわけではないため、社会に還元されるまでは時間がかかるのが一般的です。

一方、企業内で研究する場合はビジネスへの貢献を前提にテーマを設定する必要があります。


榊:
ビジネスは、社会課題を解決するために存在しますよね。企業で研究する場合は、顕在化している社会課題の中から、経営方針や事業内容と合致するものを選択します。

競合優位性という観点から、そう簡単には解決策が出ない難易度かつ自分の興味関心と重なる課題を探し出す点が重要です。

大学の場合は、松野が話したとおりです。研究者の知的好奇心を出発点に、多様な研究に取り組める文化が強いですね。短期間で成果を出すことよりも、中長期的に研究者を教育する方に注力する研究室が多いと思います。

――研究に使える予算規模にも、違いがあるのでしょうか。

松野:
意外とそうでもないんですよ。私たちが取り組んでいる分野だとコンピューターひとつで十分戦えるので、予算規模による差は出にくいと思いますね。

180件以上の利用申請を獲得した研究も

――ホットリンクのR&D部としての代表的な研究成果を教えていただきたいです。

榊:
ふたつあります。
ひとつは、「バースト現象におけるトピック分析」。鳥海不二夫先生(東京大学大学院・工学系研究科システム創成学専攻准教授)と共同で取り組んだ研究です。

大規模SNSデータに社会ネットワーク分析と自然言語処理の技術を適用し、SNS上のユーザー投稿をクラスタリング(自動的なグルーピング)することで、話題に含まれるトピックの自動抽出を試みました。

また、ユーザーもクラスタリングすることで話題に言及しているコミュニティの自動抽出もしました。「どのようなユーザーコミュニティが」「どのような話題を話しているか」を自動的に把握できるようになった結果、炎上や大規模なバズを、人間に理解可能な形で分析できるようになったのが大きな成果でした。

――「人間に理解可能な形で」、というと少し面白い表現に聞こえます。どのような意味でしょうか?

榊:
最近の人工知能、とくに深層学習の分野では「人間ではモデルの中身を理解できないが、高度な機能が達成できる」ことがよく見られます。

たとえば「炎上」のような大規模な現象は、人間が生み出した現象の割に、人間の理解の範疇を超えています。社会ネットワーク分析の技術を使って数値化はできるのですが、数値だけを見ても、何が起きているかまでは分からないのです。

「データが大きすぎたり手法が複雑過ぎたりするために、データ分析・人工知能技術では扱えても、人間には理解できない」問題を解決するべく、近年の人工知能分野では「解釈性=Interpretability」という観点が大きく注目を浴びています。

以上の背景があり、「人間に理解可能な形で」と申し上げた次第です。

――なるほど。専門知識がなくても、今のたとえはわかりやすいです。

榊:
あるアカウントのフォロワーや特定の商品、ブランドに言及したユーザーに、どのような属性の人たちが含まれているのか解明できた
点も成果でした。この技術は現在、ホットリンクのコンサルティングサービスにも転用しています。


榊:
もうひとつの代表的な研究は、ここにいる松野と、R&D部社員の水木と行なったものです。
「日本語大規模SNS+Webコーパスによる単語分散表現のモデル構築」というテーマで、Twitter専用の研究リソースを公開しました。Twitterを研究する方々に、広く使っていただける言語資源です。

結果、180件以上の利用申請もありました。多くの研究者や企業にご利用いただいており、ホットリンクの技術的なブランド向上に貢献できたと思っています。

「研究がしっかりでき、論文も書ける環境です」

――ホットリンクの R&D部ならではの魅力を教えてください。

榊:
個人的には、この規模のR&D組織で、研究ができて論文も書ける体制を敷いている点が魅力的です。研究にしっかりリソースを割くことって、なかなか難しいんですよね。

研究は、短期的にわかりやすい成果が出にくいものです。四半期〜半期単位で業績評価が求められる株式会社では、企業体力に余裕がある大企業か、研究成果の中長期的な価値に理解がある企業でないと、リソースを割きづらいのです。

論文も短期的に売上につながるわけではないので、業務上の成果として評価されにくい。論文を業務として書ける企業は、多くありません。

――R&D部として、榊さんが描いているビジョンはありますか?

榊:
大学の研究室とのつながりが深い企業文化を活かして、中小企業から大学の研究室に人材が戻る流れを生み出せるといいな、と思います。

松野:
大学の研究室から企業のR&D部へ移るケースは多いんですが、その逆はほとんどない。
キャリア形成が一方通行になっているんですよね。

榊:
大学と企業を自由に行き来できるようになれば、研究者として実績を積みつつ、ビジネス面で成果を出す経験も得られるし、キャリアの選択肢が広がりますよね。

ーーありがとうございます。最後に、どのような人と一緒に働いてみたいか、教えてください!

榊:
シンプルに、最先端技術を産業に活かしたい人と仕事がしたいですね。

松野:
僕たちがそうなんですけど「退屈な仕事はPythonに任せたい」と考えている人がいいですよね。

今はインターンも募集しているので、興味のある方はぜひお気軽にご応募ください(リモート可)。

榊:
ちなみに、私が所属している一般社団法人・人工知能学会が発刊する学会誌3月号で、「企業における研究開発部門の役割と創出価値」という特集を組みました。

企業における研究開発部門の役割や価値が多様化し、あいまいになってきている近年の傾向から出た企画です。巻頭記事のみ無料で読めますので、よろしければぜひ。

参考:
人工知能学会 AI書庫(アイショコ) [旧:未来メディア実験館]

――榊さん、松野さん。本日はありがとうございました!

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