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やるやる詐欺からの脱却。経営陣との2人3脚による内製化奮闘記

\ 星野リゾートは、ITの力で「旅は魔法」の世界観を実現するエンジニアを募集中です! /

グループ全体で50以上の施設を運営をする星野リゾートで、情報システム部門の責任者を勤める久本英司。2003年に星野リゾートへ入社後、一人情シス体制にはじまり、急拡大する星野リゾート全体のIT分野を一手に担ってきた。
現在は30人規模のチームで事業会社におけるエンジニアリングの内製化を進めているが、その道程は決して平坦なものではなかったという。今回は、改めてその険しかった道のりを久本に語ってもらった。

◆2017年「やるやる詐欺」で炎上

変化に対応する組織を作りたかった私は、ITチームの年間計画もITケイパビリティをどうやって上げていくか、そればかり考えていました。一方で関わりの濃いマーケティングチームというものがあり、彼らは宿泊していただく顧客を市場から取ってくるという重要な役割を担っていました。そのマーケティングチームから頼まれていたある案件に関して、大きくスケジュールが遅れるという問題が起こり大問題になりました。この時はkintoneを導入して3ヶ月でなんとか切り抜けましたが、経営層から「やるやる」といってなかなかやらない「やるやる詐欺師」というレッテルをはられてしまいました。

◆経営判断プロセスの構築。星野代表も乗り出し二人三脚で

これを機に私は深く内省しました。理想と現実のギャップは当然あったわけで、私が目指していたケイパビリティに対し、自分たちの技術の強化については、経験値が少しずつ溜まってきていたんですけど、経営側のコミットとリソースが足りなかった。リソースは、私たち人材ですね。

作るものを間違えない。優先順位を間違えない。そしてやりきるためには、経営側のコミットとリソースが必ず必要です。それが足りない状態だったんですけど、いわゆるプロセスを作ったり、リソースを拡充したり、これを機にできるんじゃないかと思って改革に乗りだしました。

「経営判断プロセスの構築」において課題はいくつかありました。PMがいなかったり、スキルが足りなかったり、開発プロセスの経営判断不足、オーナー不足といろいろありました。これは開発プロセスを整備したり、事業部門のオーナーシップ制度を導入して、オーナーがいないプロジェクトはやらないようにしたり。

あとは、星野代表が参加して、システム投資判断を毎月やるように切り替えていきました。それに関しては、私と代表と一緒にやりきりました。私が何かを出したんじゃなくて、代表も「こういうプロセスだったらうまくいかないんじゃないか」「こういう説明だと社内に説明できないんじゃないか」と、代表自らが一緒にやってくれました。毎月経営判断会議を行うことで、経営陣と一緒に開発案件の優先順位の判断を行ったり、3ヶ年の予算計画のアップデートができたり、今では打ち手の検討も一緒にできるようになっています。

結果、代表からも高評価を頂いています。やるやる詐欺期の時とは違い、チームが良質なアウトプットを提供し続けることで経営層の信頼を勝ち取り、「次はこれを解決できないか」「こういったことはできないか」と前のめりにIT・システムの話ができる環境が整いました。そのかいあって、社内エンジニアに対しても挑戦的かつビジネス的に意味ある仕事を継続的に提供できる土壌にもなっています。

◆IT知識ゼロでも“星野文化”と“現場知識”があるスタッフを情報システム部門へ異動

私がチーム体制を組むに当たって意識したのは「システムをつくりたいというだけではなく、価値観が合い、現場が好きなメンバーを採用すること」でした。現場にとっては、これまでにない異能の人が入ることになります。キャリアだけで選び、文化が合わないと浮いてしまい、現場と話ができないし合わなくなってしまいます。

そこで、新たに入った人と現場との距離を縮めるために、現場のことを伝えたり、コミュニケーションの取り方を参考にしたりできる、媒介になるスタッフを重視し、「システム知識より、業務知識が豊富」な異動組を中心にチームを構成していきました。星野リゾートの情シス部門としての組織文化を改めてつくって説明しなくても、すでに出来上がっている状態に持っていくのが狙いでした。


◆中途採用では、文化も知っている強めのエンジニアを採用。内製化エンジニアのキャリアモデルに

同時に私が虎視眈々と探していたのが、事業会社に興味を持つエンジニアです。2018年に入社したエンジニアチームリーダーの藤井崇介は、以前、星野リゾートのシステム開発に参加していたベンダー出身の転職組です。ベンダー時代の経験から事前に「星野リゾートのシステムづくりの文化」を知る藤井を、外部から入社するエンジニアのモデル、「ファーストペンギン」として私は重視しました。当初会社は外部エンジニアの採用に難色を示していました。そこで私と藤井は「外部から採用することが、企業の競争力になる」という状況をつくりました。まず藤井には、スクラムで社外チームを1チーム組んでもらいました。最初は対応してくれる会社を探すのも大変でしたが、このやり方が功を奏して、1年で彼のところに開発業務が集中するようになりました。コスト3倍で時間がかかる請負への委託と比べれば、藤井氏のようなエンジニアとチームを増やすことで、スピードは上がりコストは下がります。わかりやすい成功体験を経営陣と共有することで、次の内製化エンジニア獲得への機運を高めることができました。

こうして星野リゾートには30人体制で、開発を行うエンジニアとプロジェクト推進、運用・インフラの3チームを擁する内製型の情報システム部門ができあがったのです。

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語り:久本英司

インタビュー・文: 高田康穂

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