今、世界的な旅行業界のトレンドとして、ウェルネストラベルが注目されています。
近年の世の健康志向の高まりは目覚しく、暮らしにヨガや瞑想を取り入れるライフスタイルが定着してきています。“健康”と“ウェルネス”は現代カルチャーに少しずつ浸透し、各分野の産業においても消費者の心を掴むキーワードとして謳われ関心を集めています。
こうした人々の意識の高まりを背景にホスピタリティ産業においてもウェルネスが今のトレンドになる気配が漂い、大手ホテルではランニングシューズやヨガマットのレンタル、スムージーやヘルシージュースの提供、室内メディテーションアプリの搭載など様々な手法で旅行者の要望に応える動きが波及し始めています。ウェルネスに特化したホテルも主流となり、タイのチバソムヘルスリゾート、ブータンのシックスセンスを始め、ミラヴァルリゾーツ、エクイノックスホテル、イーヴンホテルズといったプレーヤーが国際的なウェルネス・ツーリズムをリードしています。
新しい旅行のスタイルであるこのウェルネストラベルとは、旅行中においても健康なライフスタイルの持続や、心身の健康改善や促進自体を目的とした旅行スタイルのこと。今までのホスピタリティ産業のウェルネスの中心であったスパ施設サービスにのみならず、健康に関心の高い旅行者は更に踏み込んだサービスや、ウェルビーングへの興味と追求を求める傾向が徐々に強まっています。
旅行ガイドブックで名高いロンリープラネット社によると、ウェルネストラベルは旅行業界の中で近年最も成長の速度が速い分野であり、誰もが旅行中に何らかの”ウェルネス”に関連したオファーが必須だと思う様になってきているとのこと。グローバル・ウェルネス・インスティテュートによると、2013年~2015年の間でウェルネス系の旅行収益は14%増加し、成長率は旅行支出全体の倍以上としています。 今後、旅行者の求めるウェルネス・オファーを持つことがリゾート地やホテルにとって重要な課題となっています。
GOYOHは、日本のホスピタリティ産業へこの流行をどう仕掛けていくかに注目しています。インバウンド市場の急速な拡大と世界的なウェルネストラベルの流行、この機会はまさに日本のウェルネス産業に携わる者たちの腕の見せ所と言えるでしょう。2017年のインバウンド旅行者は2,800万人、2018年には3,200万人に達し、さらにこの3年間では倍以上に増加すると見込んでいます(参考:JTB)。日本政府は現在、2020年のオリンピック開催に向けインバウンド旅行者数を4,000万人に増やすべく、地方経済の活性化に力を注いでいます。GOYOHの取り組みは、グローバルな考えや新たなコンセプトを取得し、インバウンド富裕層向けに地元事業者・コミュニティや国内の大手事業者と連携しながら、今後の日本のホスピタリティ・ビジネスを長期的に支えるプラットフォームの開発に取り組んでいきます。
古来より日本には伝統的なウェルネスというコンセプトがあり、私たちの生活に深く浸透しています。温泉、禅、精進料理、マクロビなど伝統的な日本ウェルネスは、長い間日本人の文化として受け継がれてきました。これは海外からの旅行客にとってまさに特別な体験であり、そこにグローバルな需要を適格に取込むことで、日本がウェルネス分野の優れたプレーヤーとなる日は、そう遠くはないでしょう。
今後のトレンドのキーワードは ”Story telling”
2018年グローバル・ウェルネスサミットで報告されたリサーチでは、トラディショナルなスパトリートメントやホテル施設のアメニティー(ジム、プール、フィットネス)を利用出来るだけのツアーやサービスから、ヨガリトリートやツリーハウスでのメディテーション体験、体験農場、サンライズ登山など、より真正な体験を通じ人生を顧みるスタイルの旅行へとトレンドは変化している。”旅先での経験で人生が変わった”など、よりストーリー性があり、帰ってからの生活に変化をもたらす様な体験が望まれる傾向にある。従来のビーチパラソルの下でカクテルを片手に本を読むという様な休暇のイメージは、今よりアクティブなアドベンチャーへと変化してきている。詳しく読む...
今求められている商品の方向性、新しいツイストはアートとカルチャー
米国ニューヨークタイムズの発表によれば、NYの美術館はヨガや瞑想といったウェルネスに関連したイベントを手掛けるのに忙しく、連日チケットは売り切れになっているとのこと。メトロポリタン美術館の広い館内を利用し、美術品の合間をランニングやワークアウトをするフィットネス企画や、MOMA(NY近代美術館)のモーニング瞑想セッション、サウンドヒーリングなど、ヨガクラス以外にも面白いウェルネス企画が美術館で人気を集める。詳しく読む...
人生を豊かにする・心に訴えるという共通点より、芸術、音楽、パフォーマンス・土地のカルチャーに出会うことなどがウェルネストラベルの一環に含まれ今後のトレンドの方向性として大きく飛躍していくことが予想される。