GAOGAOで働くエンジニアを紹介する【GAOGAOメンバー図鑑】。今回は、PdM兼エンジニアとして活躍しており、PdMを担当する上で必要な知識の吸収やノウハウの蓄積・体系化にも取り組む、菊池俊樹(きくち・としき)さんです。
GAOGAOに入ったキッカケや現在の仕事内容、今後の展望のほか、PdMという視点からどのようなチームメンバーと一緒に働きたいかなどを伺いました。本記事は、現在はプレイヤーだが今後はPdMとして活躍したいと考えているエンジニアさん、知識やスキルの習得に貪欲で最速で成長したいとお考えのエンジニアさん、PdMとしてマネジメントスキルの向上に取り組んでいるエンジニアさんには、特に参考になる内容となっています。ぜひ、最後までご覧ください。
情熱を感じる0→1案件が豊富で、グローバルにも活躍できることが魅力
一色:まずは、GAOGAOに参画したキッカケを教えてください。
菊池:ファーストコンタクトはWantedlyでしたね。一度スカウトメッセージをいただいたのですが、その時はタイミングが合わず、少し時間が経った後に私からメッセージを送りました。GAOGAOに興味を持った理由、そして現在GAOGAOと仕事している中で合っているなと感じている理由としては、案件が自分好みで凄く面白いという点が挙げられます。
私は新規事業の立ち上げフェーズが大好きなのですが、GAOGAOの案件はほとんどが0→1開発なので話を聞いていてワクワクしますね。現在PdM(プロダクトマネージャー)として参画している案件もほぼ何も決まっていない状態からスタートしており、積極的にリサーチや分析をしてアイデアを出したり、メンバー集めの段階からチーム作りをしたりしており、それらが本当に楽しいんですよね。
私の場合、とにかく無秩序で曖昧な案件ほど燃えるというか、エネルギーが湧き上がってくるんです。ほぼ何も決まっていないとか、作りたいプロダクトやサービスの内容がフワッとしているとか。そういう案件であればあるほど、コンセプト作りからスケジュール決め、メンバー集めや要件定義、さらにはUI/UXの検討など、プロダクト開発の全てに関われるので面白いんですよね。初めてやること、学ぶこと、知ることが多いほどパワーがみなぎってくるんです。
逆に開発内容が具体的な案件、既に固まっている案件は苦手ですね(笑)昔から能動的に情報を取りにいくことや、人とは違ったマイナーな領域やマニアックな内容を極めるのが好きでした。例えば、小学校からギターをしているのですが、それも周りにやっている人がいたからとか勧められたからとかで始めたのではなく、自分が興味をもって調べてやり始めたんですよね。中学〜高校時代は自分でロックバンドを作り、そのメンバー集めも楽器店にお願いしてビラを貼るなどして行いました。自分で考えたり周りとコミュニケーションを取ったりしながら、無から有を生み出す過程が大好きなんだと思います。GAOGAOにはそういう0→1案件が好きな人が集まっているので楽しいですね。
また、GAOGAOがグローバルな組織であることも魅力でした。私自身、海外案件にはずっと興味があり、20代の頃は海外に行きたいという気持ちが強くありました。GAOGAOと仕事をする中でその想いが再燃しており、今はシンガポールの企業の案件に携わっていますが、今後も海外案件や外国籍エンジニアのいるチームを率いるマネジメントに注力していきたいと考えています。
マネジメント力の向上に貪欲。3つのコンセプトでチームの能力を最大化
一色:それでは、現在関わっている案件内容について教えてください。
菊池:この5月から企業向けメタバースサービスの開発に携わっています。簡単に言うと、GAOGAOでも活用しているGatherのようなサービスですね。企業に所属するユーザーが、アバターを使って組織内の人とコミュニケーションを取りながら、効率的且つ創造的に仕事のできる仮想空間を作っている、と考えて頂けると分かりやすいかと思います。
この案件は、先ほど述べた通り私が大好きな0→1開発案件なのですが、最初にお客さんから言われたことは「Gatherみたいなサービスを作りたい」という一言だけ。燃えましたね(笑)
まずは国内の競合サービスを片っ端から調べて分析し、海外の類似サービスについても調べられるだけ調べました。その中でコンセプト作りから提案して『リアルな場よりもコラボレーションやコミュニケーションを加速させる、メタバースサービス』としました。これは、同様のコンセプトを掲げたサービスが国内には無く、開発する価値があると考えたからです。
その後も提案ベースでお客さんとコミュニケーションを取っており、約2カ月かけて要件定義やスケジュール決め、メンバー集めなどを行いました。さらには、この9月にはシンガポール人エンジニアが加わるので、チームのグローバル化や外国籍メンバーを含めたマネジメント手法を学び実践してく予定です。その中でノウハウを蓄積し、商品化できるところまで磨いていきたいと考えています。これは私にとって新しい挑戦なので楽しみですね。
一色:PdMとして、常にマネジメント力の向上や関連分野の学習に余念がないですよね。
菊池:そうですね。マネジメントに関しては追求しており、今は以下の3つのコンセプトをもとに学びと実践を繰り返しています。
まず1つ目は『心理的安全性』です。私は、これがチームマネジメントにおいて一番大切な土台だと思っています。何よりも大事にしているコンセプトになりますね。言葉自体は比較的知られており、取り組んでいる組織も幾つかありますが、なかなか実践できているところは少ないと思っています。ちなみに私は、この心理的安全性という言葉を『忖度なくメンバーがコミュニケーションを取れる環境』と定義しています。
具体的な施策を1つご紹介すると「Good and New」という取組みがあります。これは週頭のミーティングの最初に、各チームメンバーが先週1週間で起きた良かったことや新しいことを1分以内にシェアするというもので、回を重ねるごとにメンバーの人となりが分かってくるので重宝して続けています。どうしても仕事におけるタスクの話だけしているとピリピリした雰囲気になってしまうので、チームビルディングという視点でも良いと思いますね。チームビルディングに関しては、今回は時間がなくてお話ししきれませんが様々な取組みをしています。
続いて2つ目は『組織学習』です。具体的な施策としては、1ヶ月に1回チームメンバーで振り返りのフレームワーク「KPT(Keep・Problem・Try)」を行っています。ここでは、チームメンバー全員でこの1ヶ月で良かったことや悪かったことを洗い出し、そこから分かった改善すべき課題をどうしていくのかを話し合います。当事者だけでなく、メンバー全員に学びがあるので有効な手法だと思っていますね。
このほか、各メンバーが自分の専門外の知識やスキルを共有できるシェア会も開催しています。近しい領域を専門にしているエンジニアがいる場合には、個別のシェア会も行っており、メンバー同士が助け合いながらスキルを向上させられる環境を整えています。実際に成果は出ていて、メンバーからは「学びがヤバイ」と言われますね(笑)案件の参画前には苦手意識のあった分野を専門分野にできているメンバーもいて、スキルシートに書けるスキル量を大幅に増やしています。案件終了後には、以前にも増してメンバーの市場価値が高まっていると思いますよ(笑)
最後に3つ目は『情報の透明性』です。これはタスク管理の厳格化を指します。私はタスクの可視化に力を入れていて、例えば後で意思決定が必要なミーティングについては必ず議事録を残すようにしています。また、チームメンバー間で1つの事象に対する認識の祖語が生じるのは良くないと思っているので、メンバー同士のコミュニケーションミスを減らす努力をしています。ただ、どうしても祖語が生じてしまうことはあるので、その場合には私が間に入って未然に防ぐように心がけていますね。プロダクトの成長にはチームの成長、そして個人の成長が必要不可欠だと考えているので、PdMとしてこれらの成長に貢献することは責務だと思っています。
また、お客さんとの間においても認識の齟齬が生じないように、数値化や図解化を意識したコミュニケーションを心がけています。この際にもう1つ意識しているのが、開発要件の明確化だけでなく、要件に含まれていない部分も同じくらい明確化して伝えることです。こうすることで、やるべきことと、そうでないことにハッキリとしたコントラストが生まれるので、同じ認識を持てやすいと感じています。
一色:続いて、これまで参画した案件の中で印象に残っている出来事を教えてください。
菊池:フリーランスのPdM兼エンジニアになって3年半くらい経ちましたが、やはりフリーランスになって初めて受注した案件が1番印象に残っていますね。初案件も0→1開発で、AIが自動で作曲してくれるサービスを開発したのですが、ほぼ1人で担当しました。とても大変でしたが本当に楽しかったですね。今思えば、この時から0→1案件が好きになったんだと思います。
その後もAIを学ぶ企業向けのプラットフォームサービスを開発したのですが、これも0→1案件でメンバー集めから担当しました。この時は未経験のマーケティングにも携わっていたので、自分で探して勉強会に参加したり本を読んだりしながら開発しましたね。加えて、PMの方はいましたがテックリードを任されていたので、初めてマネジメントも経験させてもらいました。この時にマネジメントの面白さに触れられたのが今に繋がっていると思いますね。
様々な案件を経験してきたお陰で、自分が0→1案件が好きなのを知れましたし、興味を持つマネジメントという領域にも出会えました。
PdMとしての学びと実践を繰り返す。体系化したノウハウは周りにも共有
一色:では、今後PdMとしてどのようなことに挑戦したいか教えてください。
菊池:以下2つに取り組みたいと思っています。
まず1つ目は、マネジメント力を向上させることです。20代のプレイヤー時代には自分のスキルレベルを高めることが目標でしたが、その中で自分1人で出来ることは大したことないと学んだんですよね。なので30代以降はチームを組んで率いて、チームの能力を最大化させることで出来ることを増やしていきたいと思っています。そうすることで仕事はもっと面白く楽しくなりますし、それは人生の幸福度を高めることにも繋がると思っています。
続いて2つ目は、グローバルチームを率いるためのマネジメント力を身に付けることです。そのためにも、これまでの経験で培ってきた日本式マネジメントの悪い部分をそぎ落とし、外国籍メンバーを入れた時にも力を発揮できるグローバル水準のマネジメント力を手に入れたいと思っています。
今はそのための勉強を進めており、朝のルーティンが出来上がっています。家の近くにある自習室を契約しているのですが、あえて午前中しか使えない契約にして自分を追い込み、朝起きたらコーヒーだけ飲んで8時から2時間は勉強するようにしています。また、英語力向上のためにコーチングサービスを利用していて、だれないように気を付けていますね。
このようにグローバルに活躍できるPdMになりたいと思い頑張れる背景には、危機感があります。日本だけでやり続けていくのは難しいと思っているんですよね。外貨を稼げるようになりたいと思うと、チームに外国籍メンバーが入ってくるのは必然です。そして、そこで成果を上げるためには、コミュニケーション力とマネジメント力を向上させることが必須ですよね。そうすれば長期目線で自分の市場価値を高められますし、そうなりたいと思っている日本人エンジニアにもシェアしていけると思っています。
一色:今後取り組みたいことの2つともにマネジメントが入っているんですね。
菊池:プレイヤーも楽しかったのですが、私の場合はプレイヤーではバリューを発揮できる範囲が狭いと感じたんですよね。私は戦略作りもマーケティングも0→1開発に関わることは全てやりたかったので、そう思うとマネジメント側に移るほかないと思ったんです。
マネジメントに移ってからの方が楽しく働けていると思いますね。1日のうちにプロダクト戦略、マーケティング、UI/UXデザイン、フロントエンド、バックエンド、インフラといろんな話を出来るのが楽しいんです。いい具合に脳が疲れるので良く眠れています(笑)学ぶことも多くて飽きる暇もないので、知的好奇心が高い自分の性格に合っていると思いますね。視野は広がっていますが、まだまだ高い視点に登れると思っているので、もっと高い視点からまだ見ぬ景色を見たいですね。昔から、無人島でも1人で生き抜けるサバイバル力が欲しいと思っているのですが、今はPdMとしてのサバイバル能力を上げる冒険を日々できていると思えば、伸びしろは大きくて今後がもっと楽しみに感じます。
また、マネジメント経験を積む中で自分が確立したマネジメントスキルを体系化し、広げていきたいとも思っています。マネジメントの原理原則はどんな案件でも変わらないと思っているので、それこそバリューを発揮できる範囲はどんどん広げていけると思うんです。私は研究肌で、1つの物事を深く知るために多分野を学んでノウハウを取り入れ、次に全体像や時系列から学んで詳細に体系化するまで追求するところがあります。また、学んだことはすぐに実践して、上手くいったりいかなかったりしたことから学び、さらに実践的な形で体系化していくんですよね。そんな性格を活かして、体系化できたノウハウについては周りにもシェアしていけたらと思っています。
一色:それでは最後に、PdMという立場からどのような人と一緒に働きたいかを教えてください。
菊池:スキルうんぬんよりも、人当たりの良い人がいいと思っています。端的に言うと、笑顔が素敵な人ですね。これは、先ほど述べた心理的安全性の考えのベースになる部分だと思っているのですが、チームで開発する上で大切なことは、個の持つ能力の高さではなく、チームとしての開発能力を高めることだと思うんです。そのためには、メンバー同士で助け合う事が大切だと思うので、人当たりが良くてチームの中で気持ちの良いコミュニケーションができる方と働きたいですね。
また、0→1案件の開発目線でいうと、どの案件でも自分がやったことのない内容に取り組まなければならない場面があると思います。人間は未知のことに対して本能的に拒絶反応が生まれるので、誰もが最初は怖いと思ってしまうのですが、そこで「私達だったら大丈夫でしょ、出来るでしょ」と思えるマインドが持てるかどうかが重要だと思っています。挑戦を楽しめる人、怖くてもやってやるという気概がある人だと一緒にチームを組んで開発していけると思っています。
そういう観点から言っても、少なくとも0→1案件についてはスキルよりも人柄やマインドが大事だと思いますね。スキルは後からキャッチアップ出来ますが、人柄やマインドは変えることは出来ません。これまでも、スキル面で不安なメンバーがチームにいたことがありましたが、積極的に挑戦して貪欲に学ぶマインドを持っていたので、私の予想以上に成長してくれて案件終了時には頼もしい存在になっていましたね。