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【女性役員対談】女性リーダーの組織での役割とは|タビナカ執行役員今野珠優 × 元リジョブCOO高松裕美

こんにちは、ライターの鈴木です。今回のテーマは「女性リーダーの組織での役割とは」日頃スタートアップを取材する機会が多い私ですが、最近は女性が事業責任者や役員を務めるケースを見かけます。

内閣府が2020年に指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%にする計画を掲げている中、2017年6月時点では13.0%という現状。女性の活躍できる働き方には考えられる余地がありそうです。

ということで、今回は総額20億円でのバイアウトを経験した元リジョブCOOの高松裕美氏とタビナカ執行役員の今野珠優氏の対談から、女性リーダーが活躍の秘訣を探っていきたいと思います。

タビナカ社の印象と魅力

ーーまずは、高松さんに質問です。数あるスタートアップの中からタビナカ社への支援を決めた動機を教えてください。

高松:理由はものすごく単純です。1つ目は、自分が欲しいサービスだったから。2つ目は、現場統括してる今野さんがスーパーマルチで凄いなと思ったからです(笑)あとは全員が優しい人達だったり、事業が急成長してるのも面白いし、意思決定スピードが速いとか。挙げたらキリないですが、ひっくるめてタビナカの存在自体が好きということです。

褒めすぎて胡散臭いですね。でもタビナカ にも課題は超山積です。真面目な話「難易度の高い課題」が多いことが魅力的でした。それはビジョンの大きさに比例します。課題はどの企業にもありますが。私はより難しい課題が好きで、自分の限られた時間を好きに集中したいので、今に至ります。

共通項から女性活躍の秘訣を探る

今野:ありがとうございます。確かにタビナカ社は2021年時点・時価総額1000億ペースで会社を動かそうとしています。そのためイシュー難易度が高いのも事実です。未経験事象があまりに多いので、高松さんのような経験者の意見は本当に貴重です。

現場統括における議論の中で、私と高松さんの共通項が見えました。この共通項を抽象化したら、女性管理職が会社組織で活躍するためのヒントになり得るのでは?と可能性を感じました。そこで今回はその「共通項」を深堀していけたらと思っています。

組織の穴を見つける、繊細な読み取りセンサー

ーー男性と比べた女性リーダーの強みの部分って何でしょうか。

高松:そうですね、女性は組織の穴を埋めていく役割を担うのが上手だと思います。タビナカは分かりやすく、組織外の責任は代表の三木さんが、それ以外の責任を埋めるのが今野さんですよね。

今野:そうですね、理想の組織体がある中で、代表三木がいて社内メンバーがいて、それ以外の隙間を自分が埋める使命感をもっています。絶対的なコレ!という役割やプライドはなくて「皆がやっている所以外全て」が自分の持ち場です。

戦略や歩幅、メンバーの職能にによって穴は有機的に変化します。あえて性差で語ると、それに対して繊細な読み取りセンサーを働かせ足りない部分を自分ごととして拾いに行けることが、女性的な強みとは言えるかもしれません。

高松:ちなみに男性・女性というよりは、女性的・男性的という性質で考える方が良いかもしれません。女性でも男性的な役割をする人、男性でも女性的な役割をする人という人はいると思うので。

「勝つ必要のない相手」で在ること

ーー逆に、女性リーダーがいない組織ってどう思いますか?

高松:さっきの男性的・女性的な話になるのですが、女性的な役割を担える男性リーダーがいるかどうかですね。そういった愛嬌のある人がいれば、女性リーダーがいなくても全く問題ないと思います。

今野:そうですね。組織関係の中でも女性的な人って、勝つ必要がないし勝たなくても良い相手になることができると思うんです。私はそんな存在。だからこそプライドのぶつかり合いを抜きにした、建設的な話ができるのではと思います。これが高松さんの云う「女性的な役割」になるのかなと。

出世欲と成果は比例しない

ーーどうやったらお二人のように活躍できるのかな?と思うんですが、素質みたいなものはありますか?

高松:出世欲強すぎない事でしょうか(笑)皮肉にもこれはポジティブに働く要素と考えます。出世欲の強すぎない個人は、自分の利益よりも会社目線の「全体最適」で物事を捉えるので、結果的に成果に繋がりやすい。延いては責任あるポストに就く方が多い気がします。

ーーそれってどういうことですか?

今野:二桁規模の組織で働くと、分業の結果、コンフリクト(相違対立的な矛盾)が生まれる場合があるんですよね。そんな時、自分の持ち場で成果を出そうとすると他にしわ寄せができてしまう。

出世欲が強すぎると自己評価を気にしすぎるがあまりをそれに気付けないんですよね。全体観で見て退くところは退く。自分の個人評価に執着しない点が優位に働いているとは感じます。

高松:そういう方って、一言で言えば「利己的」ならぬ「利他的」なんですよね。KPIなどの数値に直結してはいない、顕在化していない仕事も積極的にやる傾向にあります。だからその人が組織から抜けると途端に不具合が出たりしますよね。自然とコミュニティマネジメントを担っているケースは多いかなと、つまり組織全体を見てると。

ーーちなみにそういう素質を持つ人って採用時などで見分けられるんですか?

高松:私は面接で素質を見抜くことは難しいです。最後は直感に頼ります(笑)具体的にいうと、休日に街で会ったときに声をかけてノリでご飯に行けるか?スルーしてもいい場面でアクション起こせるって、本能的に相手を好きでないとできないので。私の場合このセンサーに頼ってます。

今野:「何故か主張をしてこない人」ですかね。意見を持っている自立した人間で、個としての魅力があるのに「何故か主張をしてこない人」が稀に存在するんです。主張しない理由を質問した時にその答えが論理的に正しければ、今回のでいう「利他的な素養」に該当するのではと考えます。

上司の得意でない部分は全部自分

ーー今度は組織の話も聞いてみたいかなと。実際お二人が組織の中でうまく活躍していける秘訣はあるんですか?

高松:CEOが得意ではない部分は全部自分と受入れる点ですかね。

今野:私もそうですね。経営陣の責任範囲を割り切っているのがポイントかなと思います。ビジョンとファイナンスは三木担当、事業と組織が今野担当。代表の構想に事業と組織を合わせていく感じです。

ーーそれって予め決めてるんですか?

高松:私の場合は予め決めてないですね。

今野:私たちは細かく決めていますね。広義には三木が未来で今野が現在。定量的には三木がB/Sで今野がP/L。得意なことで言えば、三木が「広げること」で今野が「落とし込むこと」ですね。得手不得手に合わせて思い切った役割分担をしてます。

ーー役割を決めて、認識を合わせることが組織では大切と言えそうですね。

高松:三木さんと今野さんの役割分担はスムーズだなと常々思います。自分や他社の事例を整理すると、業務領域が被った時や誰も責任もっていない「間」が存在するときに、歪が起こると感じます。

私の場合、意思決定があれ?と思った時は、だいたい前提条件がズレてる事がほとんどなのでそれを揃えなおします。そうすると建設的な議論に軌道修正できるんです。読んだ本や気になった記事を組織でシェアすることは今でもやってますね。

対談から見る、女性活躍の秘訣

お二人にお話を聞いてみましたが、二人が共通する部分として「組織全体を自然にフォローアップしていける」「周囲の人との比較でない独立したポジションを確立している」という所が、女性リーダーとして上手く活躍できているポイントなのではないかな、と感じました。

プロフィール

今野珠優

執行役員/事業責任者 /総合旅行業務取扱管理者。大学卒業後、教育事業にて起業、全国3都市6拠点に学習塾兼研究所を置く。2015年11月、着地型観光の可能性とタビナカの世界観に共鳴し、株式会社タビナカ参画。

高松裕美

”25歳の普通の美容師”からスタートアップ業界へ。2009年に株式会社リジョブの創業メンバーとして参画、代表取締役COO就任。 2014年株式会社じげんへ、同社を約20億での売却経験。その後ビタミン株式会社を共同創業し、スタートアップ支援を中心に活動開始。 2018年の今年は、株式会社にとらわれない、パートナーシップでのワークスタイル構築に注力中。

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