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産地再構築で青果物の流通改革を目指す、福岡ソノリクの挑戦

いまや物流はあらゆるビジネスの鍵となっています。ドライバー不足や2024年問題など物流業界の問題が浮き彫りになる中、青果物の輸送に特化した企業である福岡ソノリクで、青果物の流通改革に挑む園田取締役に話を聞きました。

――青果流通の現状と課題は?

生産量が少ない産地では集荷の便が構築しづらいという現状があり、農作物の物流に課題を感じている生産者が少なくありません。この課題を解決するには集荷量、つまり生産量を増加する必要がありますが、ひとりの生産者がいきなり生産量を増やすことは難しく、むしろ集荷してもらえないと生産量を伸ばせないという“鶏と卵”のような話にもなりかねません。

そこで、福岡ソノリクは複数の農家と手を組んで産地の集荷量を増やし、また、産地に生産者が共有できる集荷場を作り、農作物を集約して物流の課題を解決することを試みています。今までは「すべて自分でやる」という考えの生産者が多かったのですが、世代が変わってきたこともあってか、生産者と物流業者で役割を分担した方が良いと考える方が増え、最近ではただ運ぶだけではなく保管への関心も高まっています。

実は農業はマーケット全体の資産の効率性があまり良くない業界です。いろいろな生産者が自分たちだけのアセットを持っていて、モノが集約されない環境になってしまっています。課題を解決するためには皆でまとまっていかないと厳しいのですが、それがなかなか難しく、そこを変革していくのが福岡ソノリクとしての勝負所だと考えています。

生産者だけではなく、物流側にも課題はあります。現在は「物流2024年問題」(主にトラックドライバーの拘束可能な時間が短くなることで起こりうるさまざまな問題の総称)が懸念されており、農業界も影響を受けると考えられています。長距離輸送が難しくなれば、これまで生産者が農作物を販売できていたエリアが狭まり、相場が下がってしまう可能性があります。

2024年以降に青果物を長距離輸送をするためには、限られた拘束時間で運べる中継地点を持ち、輸送中の農作物の鮮度を維持しながら輸送することが必要になるでしょう。福岡ソノリクはすでに中継地点としての保管機能を有する物流センターを持っているので、他の物流会社と連携しながら2024年問題に対応していきます。いっそのこと消費地に近い地点で青果物を保管しておき、リードタイムを短くして発送するといった発想の転換をすれば、2024年問題を機に物流のあり方をよりよくすることができるかもしれません。


――福岡ソノリクが目指す青果流通の変革とは?

まずは「産地の再構築」という変革を目指しています。福岡ソノリクでは実際に長崎県の五島市や島根県などで産地再構築に取り組んでいますが、最初に消費者の需要や動向を考えきれておらず、後から頭を抱えることになった生産者の声をよく耳にしています。農業も他業種のようにマーケティングの視点が必要で、どのように消費者にアプローチするかを考え、物流を踏まえた産地づくりをしていくと、より産地を発展させられると思います。

仲卸や小売などを行う実需者側では、主に輸出入に注力している子会社の株式会社インターハーベストを通してマーケット全体を刺激していきたいという狙いがあります。また、別の子会社である株式会社彩喜は福島県の復興事業に参加しています。彩喜が福島県に野菜の加工工場をつくって付加価値のある野菜を流通し産地の活性化につなげるプロジェクトです。

これまで産地ではなかった土地を産地化するのは簡単ではありません。人手も少なく大変なことも多いのですが、盛り上げていくべき産地だと考えているのでなんとしても成功させたいです。たとえば福島で米作り一筋だった生産者に、需要の高い白ネギの作り方を伝えてみたり、街づくりを兼ねて浜通りのインフラを整えて新規就農しやすい環境を整えたりして、産地化を後押ししています。

実需者は横の繋がりが得づらい業種ですが、福岡ソノリクは配送者や生産者などさまざまなつながりがあるので、マーケット全体に波及できることが強みです。一連のサプライチェーンがつなげられるよう常に意識しています。物流網を自社で囲い込むようなことはしませんし、競合他社と連携することもできるので、部分最適な状況に陥らないためのサプライチェーンを構築できるのが我々の立ち位置です。

産地と連携して売上を作る動きは会社として新たな取り組みになるので、福岡ソノリクらしさをもって深く連携して産地をつくっていくことを目指しています。

――この先の3年間で仕掛けていきたいことは?

今後は日本の農業における産地や消費のありかたを、産地ごとに連携している方々と一緒に見直していきたいと考えています。また、元々その産地にいる方だけでは新しいやり方を導入したり気付いたりすることが難しいこともあります。今までのご縁を生かして産地外の人も巻き込んでいきながら産地を盛り上げていきたいです。

2024年問題が間近に迫る中、中継拠点がない物流会社と連携することも目指しています。外部環境が大きく変化している昨今、業界のプレイヤーも変わってきており、新規事業者がより参入しづらく、既存の事業者にとっても厳しい環境になっています。自分たちで会社を運営できなくなったり、事業承継できなかったりする会社が出てくる中で、撤退を選ぶのか、はたまた共創して会社を大きくしていくのか…さまざまなパターンがありますが、需要があれば福岡ソノリクは引き受ける側としてアライアンスを推進していきたいです。

今回CFOの右腕になる方を募集していますが、農業系の金融に長けていて、現場や地域のネットワークをお持ちの方にジョインしていただいてM&A案件を進めていけると望ましいです。

――変革を起こすために、求める人材像とは?

現場や上流、社内の縦横のラインを行き来しながら、事業をうまく回していける「現動力」のある方が理想です。そして会社として成し遂げようとしていることへの共感があること、主体性がありフットワーク軽く動いていけることを大切にしています。

また、経験者でなくてもよいのですが、必要な情報ややるべきことをキャッチアップできる方だとありがたいです。インプットを止めてしまうと成長につながりません。今までのインプットだけで勝負しようとするのではなく、新しい環境の中でどんどんインプットし、アウトプットしていくのが重要だと考えています。

現在募集しているCFOの右腕というポジションでは、主に経営企画や財務経理を管理する仕事を担当していただきます。具体的には、アクションにつながる分析を通して現場を動かしたり、アライアンス関連ではどのような人と手を組むかを考えるところから、事業の落とし込みや運営まで行います。社外や現場の人たちとコミュニケーションをとりながら、アライアンス後の落とし込みを主体的に担っていただける方のご応募をお待ちしています。ぜひ一緒に農業の物流に変革を起こしましょう。

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