規格外の農作物を使った商品開発プロジェクトの「農作物劇場」の開発商品として、デトックス効果の高いアスパラガスの粉末がたっぷり入った薬膳スパイスカレー「アスパリー」を開発・販売開始しました。
アスパリーを開発するにあたって、国際薬膳師の永峯真一さんに監修をしていただきました。
今回は永峯さんと農劇プロデューサーの園田にインタビューして、薬膳スパイスカレーの開発裏話をお届けします!
国際薬膳師の永峯さんは鹿児島県霧島市在住。自社農園で育てた香辛料を使用した薬膳食の商品開発や県内外のレストランのレシピ考案、企業の薬膳加工品の監修など、幅広く活動されています。
農劇と永峯さんの出会い
園田:去年鹿児島に出張したときに、鹿児島中央駅の売店で永峯さんのオリジナルブランド「薬膳小町」の火鍋セットとサムゲタンセットを見つけて、試しに買ってみたんです。作って食べてみたら、自分で作ったと思えないくらいおいしくて完成度の高さに驚きました。
永峯さん:ありがとうございます!
園田:「薬膳小町さんの商品は面白い!」と思って、今回一緒に開発してもらえないかとお声がけしました。
商品開発の背景「野菜パウダーで捨てられていた野菜に可能性を見い出したい」
園田:今回の企画の背景には、タイの子会社でアスパラガスを生産しているのですが、アスパラガスは青果では保管できる期間が限られ、生鮮食品として味わうだけでは限界があると感じたことがあります。
オクラパウダー「御来楽」のように、丸ごと乾燥・粉砕してパウダー状にすることで、生鮮食品として食べる以外の可能性を広げたいと思っていたんです。
永峯さん:野菜パウダーは料理によっては使い勝手がよくて、ポタージュスープなんかは手早く作れますし、お菓子作りにも使えます。水分がなくなって旨味や成分が凝縮されているところが野菜パウダーの魅力ですね。
園田:乾燥していて旨味が凝縮しているということは、野菜パウダーもスパイスの仲間と言えるかもしれませんね。
実はアスパラガスの「切下」(きりした)という根本の部分は固くて食べづらいため、廃棄しています。乾燥粉末加工であれば、丸ごと使えるため廃棄も減らせて食品ロス対策にもなります。
永峯さん:野菜パウダーはポテンシャルが高いと思うのですが、その割に広まっていない印象がありますね。
園田:野菜パウダー文化を根づかせたいです。オクラパウダー「御来楽」を開発した際にも「どうやって使えばいいの?」という声が多かったんです。そこで今回はパウダー単品ではない商品にしようと思いました。
常々、薬膳は身近な食べもので体調をととのえられるところが素晴らしいと思っていて、「アスパラガスパウダー」と「薬膳」を組み合わせられないか…と考えて永峯さんにご相談したのが始まりです。
アスパラ×薬膳、なぜカレーに?どんなスパイスが入っている?
園田:薬膳はさまざまなメニューがありますが、今回はなぜ薬膳カレーを提案してくださったのですか?
永峯さん:アスパラガスは繊維質が強いので、繊維があまり気にならない料理であること、それでいて万人受けするメニューは何かと考えた時に、スパイスカレーが面白いのではと思いました。
永峯:全部で9種類のスパイスを使用しています。ホールスパイスとして、シナモン、クミン、フェンネル、カルダモン、ベイリーフ、マスタードを組み合わせています。
パウダースパイスの方には、アスパラガスパウダー、クミン、コリアンダー、ターメリックが入っています。
園田:パウダースパイスがうっすら緑がかっているのはアスパラガスパウダーの影響ですね。
永峯:まず、基本としてクミン、コリアンダー、ターメリックの3種類がカレーのベースとなります。
そのベースに色々とスパイスを組み合わせていくわけですが、今回はアスパラガスパウダーを活かしたシンプルなカレーを目指しました。色の強いスパイスをパウダーに入れるとアスパラの色がでてこないのでホールスパイスで使用し、香りを油に移して、複雑な味を表現します。
園田:複雑な味わいこそスパイスカレーの醍醐味ですよね。
商品開発で大変だったこと
園田:開発には乾燥野菜を手がけるオキスワイドさんともやりとりしながら、スムーズに進みましたよね。完成まで3〜4ヵ月ほどかかりましたが、商品を開発する上で苦労したところはありますか?
永峯:今回の主役であるアスパラガスという素材の魅力をいかに引き出すか、は難しいものがありました。アスパラの存在感はやさしいので、他のスパイスに負けてしまうんです。
香りの強いクミンの量を調整して、いかにアスパラ感を出せるか試行錯誤しました。2年前から自社でもカレーキットを作っていて基礎知識はありましたが、苦労しましたね。最終的にスリランカカレーに近い仕上がりになりました。
園田:どんな野菜を具に入れてもおいしい、アレンジのきくカレーに仕上げていただいたと思います。永峯さん、ありがとうございました。
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