上場企業での総務職に安定感を得つつも、いつもどこか「歯がゆさ」を感じていたという渡邉。
「今は会社に居ると、時空が歪んでいるのかなと思うくらい時間が早い。忙しいけれど、すごく有意義に自分の時間を使えています」
こう語る彼女の、入社に至るまでのストーリーを聞きました。
――現在のメイン業務を教えてください。
ポジションは経理兼営業事務ですが、展示会の準備・本番から撤収、店頭業務のサポートまで色んなことをしています。何にでも挑戦できるから、毎日があっという間。もうすぐ入社から1年ですが、本当に一瞬のように感じます。今までの会社では「あと何時間待たなくちゃ定時で帰れない‥」と思いながら過ごしていたと思うと、今ここに居ることが私にとっての成功体験。友達からも、「今までの会社で一番合っているね」と言われます。
――これまではどういう仕事をしていたのですか?
新卒時は、建設土木施工会社に入りました。大学で社会学を専攻していたこともあり、人々の生活を裏から支えるような仕事に興味があったんです。当時は自分がバリバリ働くイメージがなく、一般職メインで就活して配属されたのが総務部でした。良くも悪くも昔ながらの昭和な社風で、年功序列に加えて管理職やプロジェクトに関わるのは基本的に男性。女性は主に事務職で、育産休や体調が悪いと休ませてくれるなど手厚くはあったのですが、3〜4年経つと後輩も入り、一通り私ができる仕事をやり尽くしたように感じました。結婚して子どもを産むのならすごく良い会社だと思いますが、私はそういう考えにはならなくて。ずっとこのままで良いのかな…と思い退職しました。
それから転職活動をしたのですが、「未経験可」となっていても20代後半の私はあまり採用されなくて。結局、その後も2社ほど総務の仕事に就きました。でも、やっているうちにはじめの会社とあまり変わらない気がしてきて。そう思った時、「同じ探し方をしたら同じことを繰り返す」「違うところに飛び込まないと違うことはできない!」と気づいたんです。
――FMFSとの出会いについて教えてください
そんな時、FMFSがインスタで採用活動をしていたのを偶然見かけたんです。すぐに気になってはいたんですが、30歳くらいの私がスタートアップ企業に入っても大丈夫? と、正直心配でした。でも、一社目を辞める時から「このままで良いの?」とずっと感じていたので、やっぱり踏み出さないとダメだ! 後悔するよりはとりあえず応募しよ!という思いで応募しました。
――FMFSは最初どんな印象でしたか?
面接では、中川が「履歴書に書いてあるところ以外で話したい」と言ってくれて。仕事とは関係ないことも含めて、みっちり1時間半くらい話しました。私、あんまり子どもが好きじゃないんですが、そういうことも伝えて。世間的にはまだまだ言いづらいようなことにも共感してもらえたのが嬉しかったです。一番印象に残っているのが、最後に「今日はありがとうございました。すごく面白かったです」って言われたんです。それはどういう意味? 私落ちるのかな? と思ったんですけど、今につなげてもらえました(笑)
――FMFSの理念について、どのように共感していますか?
私が生きてきた中で、特別に「女性だから生きづらい」とは感じていなかったように思います。子どもが好きじゃないというのも、予測不能な動きをしたり、大きな声を出したりするのが得意じゃないという、個人的な思いがあるだけ。ですけど、そもそもを遡ると、「女性がみんな子どもを好きって誰が決めたの?」というところになりますよね。そういった価値観を変えていけることに関われるのはすごく良いと思いますし、自分もそういう歯車の一つになれたらと思っています。そして、自分もそうですが、今の子どもたちの世代がもっと本音を言いやすい社会になってほしい。私たちの発信や身近なプロダクトを通して「こういう価値観の人もいるんだよ」というレンジが広がれば良いなと思っています。
――これまでのプロジェクトで印象に残っているものを教えてください。
全部印象的なんですけど(笑)、MIYASHITA PARKでやった #しかたなくない さんとのコラボイベントの時、ジェンダーレスや多様性に対して、自分自身も考え方が身についていないことを実感しました。私の役割はカメラマンさんが撮った写真のデータをお客様に渡すことだったんですが、初日は人数をさばくことに必死で「おにいさ〜ん」「おねえさ〜ん」と呼びかけていたんです。すると次の日、#しかたなくないさんの方から「見た目で呼ぶのはやめましょう」ということを言われて。優しくですけどね。見た目は女性でも男性の心を持っていたり、お兄さんとかお姉さんとか言われたくない人もいるという話をされると、確かに配慮が足りなかったなと。そんな新しい視点を学ぶことができたのは印象的でした。それからはお客様にどう呼びかけたかって?「お待たせしました〜!」にしました(笑)。
――FMFSのどういうところを魅力に感じていますか?
色んなことに挑戦できるし、やらせてもらえるところです。中川をはじめ、この会社って自分で率先してやったことに対して途中でダメ出しをしたり、「何でやったの?」と言うことがない。もちろん、本当にダメなら言うと思いますが、相談すると「じゃあこうしたら良いんじゃない?」と、止められることがなくて。自分で裁量を持ってやれるのがすごく良いですね。
あと、メンバーと飲みに行ったりした時に、「私はこう思う」と言うことに対して「そうだよね、でも私はこう思う」と言う話し方をするのは、この会社独特かもしれません。ジェンダーについて熱く語る、とかはないんですが(笑)、自分が思っていたけど言いづらかったことを口に出せるようにはなったかなと思います。
――これからFMFSで実現していきたいことを教えてください。
色々やれることはあるんですが、直近で行いたいのは会社の整理整頓。バックオフィスの担当は私しかいないので、まずは会社の基礎作りをしたいと思っています。
それから、例えば3月の国際女性デーなど、ジェンダーがピックアップされる時期に何かアクションしたい。会社の理念に対して、「こういうことをしています」と紐づけられる活動がまだまだできていないと思うんです。内容はまだ具体化していないのですが、理念に通ずるプロジェクトの企画ができたら良いなと考えています。