こんにちは。コピーライターの高島です。
フェンリルでは、外部の方との情報共有やコミュニケーションを深める勉強会やワークショップなどを主催していますが、先日、フェンリルのデザイン部が主体となったカンファレンスを新しく立ち上げました!
このカンファレンスは『Design□』と題し、“□”の部分を毎回変えながら、フェンリルの現場デザイナーたちが数百におよぶアプリ開発プロジェクトで培った経験を元に、様々なノウハウやTIPSをご紹介していきます。
今回は『Designへ、』として、デザインを通してユーザーにサービスを長く使い続けてもらうために必要な実践的ノウハウをお話していきました。
同じテーマで東京と大阪でそれぞれ開催していく予定となっており、第一回となる今回は、7月24日に東京で、大阪では9月5日に開催。
東京、大阪どちらにも多くの方にご参加いただき、おかげさまで当日は満席となりました。(ご参加いただけなかったみなさま申し訳ありません。。)
当日の発表された内容を、東京での開催模様とともに簡単にレポートさせていただきます!
『デザイン部が中心となったカンファレンス』
デザイン2部 次長 HCD-Net認定/人間中心設計専門家:坪内
まずはじめに坪内より、フェンリルのデザイン部の特徴や、このカンファレンスについてご説明しました。
フェンリルがUX部門を立ち上げたのは今から5年前。その当時はまだ、UXデザインに投資をする会社は多くなく、お客様からの「本当に必要なものなのか」と疑問に思われることが多々ありました。しかし、ご存知の通り、今では多くの企業がUXデザインに投資をするようになってきており、フェンリルは専門的な立場でそれらを支援し続けてきました。
フェンリルは319名いる従業員のうち60名程度がデザイナー(2019年7月現在)となっており、お客様とともにアプリ開発を行う会社でありながらこの規模のデザイナーを抱えているのは、他でもあまりないと言えます。
また、デザイナーが所属するデザイン部では、特定の専門領域を強みに持つチームが複数あり、これらのチームが横串となって各プロジェクトチームを横断的に見ています。そのため、個々人のスキルや経験に頼り過ぎずに、質の高いアウトプットを出すことが可能になるのです。
そんなフェンリルのデザイナーが主体となって開催するこのカンファレンスは、日々“デザイン”に向き合っているデザイナーのノウハウを共有し、参加者のみなさまとデザインについて考える場となるよう、3ヶ月ごとに開催していきます。
フェンリルのUXデザインに対する考え方やデザイナーのスキルをお伝えするなかで、カンファレンスへの期待も高めていただけたのではないでしょうか。
『知らないと失敗するUXデザイン』
デザイン2部 エクスペリエンスデザイン課チーフコンサルタント:中村
続いて、HCD-Net認定 人間中心設計専門家でもある中村が登壇。
中村は、アプリ開発において必要不可欠となっているUXデザインは、一つのアプリ利用にとどまらず、ブランドにまで影響すると指摘。 ありがちな落とし穴にハマらないための正しいUXデザインの考え方を事例を交えて分かりやすくご紹介しました。
昨今、『モノ消費』から『コト消費』へと変化している、サービスとユーザーの関係。
モノを売ることがゴールではなく、商品を利用してもらうことが求められているという現状について、コトから発想し着地点を探すことの重要性を、UI/UXの関係性を交えてお伝えしました。
「サービスを考える上で、ターゲットユーザーをどのように定義し、提供価値をどう考えていくのかが重要で、そこから生まれる利用体験はひとつのサービスだけでなく会社そのもののイメージにも影響する」と中村は言います。
UXがブランドに大きな影響を及ぼすということを意識し、ユーザーを正しく理解しながらデザインを進めてほしいと締めくくりました。
豊富な知識と経験を持つ中村への社員インタビューも公開しているのでぜひご覧ください!
『ユーザー理解は質より量〜どれだけプロジェクトメンバーを巻き込めるか〜』
デザイン1部 ディレクター:小室
人間中心設計のプロセスを取り入れたプロジェクトの進行方法とその効果について、自身も人間中心設計スペシャリストである小室から、事例を交えて発表しました。
様々な立場のメンバーがいろんな想いで参加するプロジェクトは、軸がないとバラバラの方向に向かってしまいます。そうならないため、「ユーザー中心設計」を軸にプロジェクトを計画的に進行していくプロセスを、以下の6つに分けて進めていく過程をご紹介。
調査→分析・モデル化→コンセプト策定→アイディア作成→機能・画面に分解→評価(テスト)
全てのプロセスにおいて、デザイナーだけでなくコアメンバーやクライアントなど、プロジェクトに関わる全員が「ユーザー理解」をしながらプロジェクトを進めていくことが重要であるとお伝えしました。
『アプリ開発はなぜ失敗するのか』
デザイン2部 プロジェクト推進課 プランナー:柴田
アプリ開発にはお金も時間も労力もかかり、誰もが本気で取り組んでいるのに失敗することがあります。関係者全員が成功を願い努力したのに、なぜ失敗するのか?失敗しやすいパターンを例に失敗因子を分析し、開発プロジェクトにおいて重要なポイントについて、プランナーの柴田が解説。
失敗するプロジェクトの傾向として3つのケースを挙げました。
そのうちのひとつ、社内要望によって機能が追加されていくケースでは、案件定義の開発フェーズにおいて「上司からこう言われた」「営業からこんな要望があった」など、当初は「ユーザーのため」であったことが「御社の社内的には〜…」と、検討の判断基準がユーザーではなく社内調整用のため、という意識に変わってしまうことがよくあると言います。
そうならないために、意思決定者と開発チームが直接議論できる場を設け、「コンセプトの再確認」「関係者の要望と優先順位の明確化」「議論の主語を“ユーザー”に立ち戻す」という3つを意識しながら進めていくことを提言しました。
『良いアプリデザインとは?』
デザイン1部 シニアディレクター:松浦
良いアプリデザインとは何か。シニアディレクターの松浦からは、デザインを作る前に知っておかなければいけないポイントと、作る際のコツを事例を交えてご説明しました。
良いデザインとは、「親しみを持って長く使ってもらえること」。
それを実現するためのポイントとして、「使う目的が明確」「使い心地がいい」「独自の世界観」の3つを挙げました。
とくに、アプリデザインにおける「独自の世界観」については、AppleやGoogleがが公開しているガイドラインに沿う部分と、オリジナルにする部分のバランスが大切。実際にフェンリルがデザインをしたアプリを事例にポイントをお話しました。
また、良いデザインをするために気をつけることとして、チーム全体で同じ方向を見る重要性についても言及。ユーザーの価値観、利用シーン、ユーザーの課題感、ユーザーが解決してほしいことなどをチームで考え、ペルソナなどを作成して共通認識を持っておく大切さを伝えました。
『フェンリルが行きついた、これからのアプリプロモーション。』
デザイン2部 マーケティング・コミュニケーション課 シニアクリエイティブディレクター:廣吉
最後には、シニアクリエイティブディレクターの廣吉より、ビジネスを成功させるにはそのアプリを「広める/使ってもらう/収益源にする」ことを目的としたマーケティング施策が必要ということをお話しました。
「アプリを公開しても、それはスタートラインに立っただけに過ぎない」という廣吉。
ユーザーにアプリを認知してもらい、ダウンロード・継続利用に繋げるためには、プロモーションの有無が大きく関係しており、テレビCMをはじめ、広告出稿やASO対策、アプリ機能の整備など、さまざま施策の可能性があることをご紹介しました。
プロモーションを行うタイミングは、アプリ公開後の「運用・マーケティング」のフェーズだけではなく、事業戦略のフェーズやアプリ開発のフェーズを含む「ビジネス全体」で考える必要があります。つまり、現在のアプリプロモーションは業務領域がとても広いものであり、どうしても社内の部署や協力会社間で意識や考えにバラつきが生じてしまうことが懸念されると指摘しました。
いま求められているのは、そのバラつきを一本化することを可能とする、ビジネスの伴奏者となりうる協力会社を選定すること。
プロモーションの手法は様々ですが、アプリをつくると同時に「広める」ことを考えなければならい時代。廣吉が主体となって立ち上げたフェンリルの新しいサービス「アプリ・マーケティング・サービス」にも触れ、「アプリをつくること」「集客/ユーザーの定着化」を同時に手がけ一貫したユーザー体験を提供するフェンリルのプロモーション手法についてご説明しました。
第二回にもぜひご期待ください!
“デザイン”を多角的に捉え、日々向き合っているフェンリルのデザイナー。
それぞれ、様々な手法や考え方を披露しましたが、揺るぎない軸となっているのは「ユーザーのため」ということ。ユーザーのハピネスのために最善を尽くし、日々アップデートを重ねているデザイナーの姿勢も垣間見ることができました。
そんなフェンリルのデザイナーたちのデザインと技術に触れることができるこのカンファレンスは、今後も定期的に続けていきます。
開催はフェンリルコーポレートサイトのニュースページにてお知らせしますのでぜひチェックしてください!
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