A 「はい、同じアシプロでもさまざまな役割があります。シナリオまわりをメインに見ている人もいれば、私のように2Dアートワークまわりの進行やディレクションを担当している人もいます。先ほども触れたように、企画側とクリエイティブ側の橋渡し役となるので、クリエイティブ側の視点をしっかり持って話せるように気を付けています。
F 「Aさんが間に入ってくださっているおかげで、『ん?』と思うようなオーダーが来ないというのは私たちにとってかなり大きいです。」
そのアート側の視点というのは、どのようにして培われたのでしょう?
A 「前職でもアバターゲームの制作に携わっていた経験や、もともと趣味としてイラストをよく見ていたというのもありますが、f4samuraiに入社してからしっかり身についたものだと思います。原案の先生からのフィードバックもとても勉強になりますし、イラストチームの皆さんとの日々のコミュニケーションや、その結果として生まれたアウトプットを見て『こういう視点で描いているんだ』という発見もあります。それらの蓄積によってイラストチーム側が困りそうなことや、『こうしたほうが助かるだろう』というポイントがある程度つかめるようになった感じでしょうか。」
ユーザー体験のために、カードイラストの幅を広げる
これまで一緒に仕事をしてきたなかで、特に印象に残っているエピソードはありますか?
A 「いろいろありましたよね(笑)。」
F 「そうですね、本当にさまざまな思い出話があります(笑)。」
A 「イラストチームの皆さんそれぞれにたくさんエピソードがあるのですが、Fさんとの話で特に印象に残っているものだと、現在のプロジェクトで目玉となるイベントのカードイラストを担当いただいたときの話ですかね。」
F 「構図案と色設計を監修へ出した際に、カードの雰囲気や全体的な色味について、原案の先生から大きめのリテイクをいただきまして。そのご指摘内容もごもっともだったのですが、他キャラクターとの差分や、ユーザーさんにとってもいつもとは違う特別な一枚になることを考えると、やっぱり当初の方向性のほうが良いと思ったんです。」
A 「たしかに、普段先生が重視されているポイントとは合わない点もあったのですが、ユーザー体験や演出のことを考えると、挑戦する価値があると思いました。そこで改めて私たちの考えや参考例などをまとめ、先生にご提案したところご納得いただき、当初の方向性でイラストを仕上げられることになりました。 そうやって提案できたのは、イラストチームの皆さんが日々クオリティが高い成果物をあげられていて、そこに対する先生からの信頼があったからだと思います。そのベースがあったうえで、私たちの意図を誠実にお伝えするのが私の仕事です。」
F 「Aさんには本当にご迷惑をおかけしました……(笑)。基本的には先生の思い描く世界観に沿ったイラストを生み出すのが私たちの仕事ですが、ゲーム制作という観点では、カードの幅を広げたり、ゲーム全体としてのバランスを視野に入れたりする必要があります。その点については、私たちから提案を行うべきときもあるのだと勉強になりました。」
A 「表情・構図・顔の向き……など、とにかくスマホゲームのイラスト制作では、『過去のイラストや他のキャラクターと被らないようにすること』がとても重要です。なので、描いたイラストが増えれば増えるほど、次の一枚を制作する際の制限も増えていくんですよね。そこの難しさはこの件に限らず、日々感じています。 あと、“一緒に仕事をしてきたなかでのエピソード”ではないですが、やはりユーザーさんからの反応はいつもうれしいですよね。先日、先生に原画を制作いただき、f4samuraiが仕上げたカードイラストがリリースされたのですが、やはり先生の原画ということもあってかなり迫力のある一枚に仕上がり、過去一番というくらいユーザーさんからの反響がありました。」
F 「こちらが驚くくらいにイラストの細かいところまで見てくださるユーザーさんが多いので、いつもやりがいを感じています。ちょっとした小物や衣装のこだわりなど、作り手の細かい意図に気づいていただけると素直にうれしいですね。」
A 「まず私は絵を描くことができないので、高いクオリティのイラストが生み出せるFさんやイラストチームの皆さんに対して、本当に尊敬しかないです。またf4samuraiのイラストチームはクオリティに対する意識が非常に高く、スケジュールが厳しい状況になったとしても『クオリティを絶対に下げない』『ユーザーさんにクオリティが不十分なものを届けない』という強い意志を感じます。そういうところもリスペクトしています。」
F 「ありがとうございます。なんだか照れますね(笑)。Aさんを尊敬しているところはたくさんあるのですが、なかでも特にすごいと思うのは、最大限イラストチームに寄り添ってくださるところです。人員の調整や採用など、”絵を描く”以外のイラストチームの課題や仕事はどんどんAさんが動いてくださっていて……。個人的にはもう、イラストチームの一員だと思っています!」
A 「うれしい……!」
F 「以前は『職種の問題はその職種のなかで解決するのが当たり前』と思っていましたが、Aさんは職種の垣根を越えて、それも角を立てず、円満に解決できるよう配慮しながら動かれていて、本当にすごいなと思います。私も見習いたいです。」
A 「ありがとうございます。アシプロは社内・社外含めさまざまな立場の方と関わるのですが、やはりそれぞれの立場にとっての正義があって。だからこそ、どの職種や立ち位置の方に対してもリスペクトを持って接していかないと、良いものづくりはできないと感じています。なので、一人ひとりが動きやすくかつ制作しやすくなるように体制を改善したり、意見を伝えて落としどころを見つけたりするようにしています。
F 「私もAさんがおっしゃっているように、お互いの立場に理解を示して、可能な限り歩み寄って協力していくことが大切だと思います。イラストレーターとしてクオリティに妥協はしたくありませんが、チームでものづくりをしている以上、締め切りは守らないといけません。そこの落としどころを見つけるのは簡単ではありませんが、周りとすり合わせてやっていくことの重要性は日々感じています。
A 「Fさんは過去にフリーランスのイラストレーターをされていたことがあるんですよね。個人で仕事をしていた頃との違いってどんなところで感じますか?」
F 「そうですね。個人イラストレーターとして仕事を受けると、指示書を受け取ってその通りに描いて納品して、という感じなので、あまり人と関わることがないんですよね。でも会社に入ると自分がイラストを描いたあとの工程が見えたり、プロジェクトに関わる皆さんの熱意が伝わってきたり、Aさんのように発注側の方と密にコミュニケーションをとったりしている様子を感じたりできます。
A 「アシプロとしては、やはりクオリティとスケジュールの両立ができるよう、体制や業務フローの改善に取り組んでいきたいです。まだまだ一部のイラストレータ―さんに負担が偏りがちになってしまったり、締め切り前に忙しくなってしまったりすることもあるので、 工程の分け方を変えたり社内に制作ラインを増やすため採用活動に協力したり、外部にラインを作れるように協力会社を探したり、日々思考錯誤しています。一緒に働いてくれるアシプロメンバーも募集しているので、興味がある方はぜひご応募ください!」
F 「社内のイラストチームもメンバーを絶賛募集中です! と言いつつ、純粋な画力だけではなくチーム意識やカルチャーフィットも大切にしているので、たくさん採用をおこなっているわけではないのですが、f4samuraiにマッチする新たな仲間が加わってくれると心強いです。引き続き、新卒の受け入れと育成もやっていきたいと思っています。」