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最新マーケティング事例から、未来の採用マーケを妄想し構想する# 採用帰れま10 vol.03 イベントレポート

採用人事領域にマーケティングの考え方が用いられるようになって久しいですが、まだまだマーケティング領域から学べること、活かせることは多いはずです。

2021年6月9日に開催された「最新マーケティング事例から、未来の採用マーケを妄想し構想する# 採用帰れま10 vol.03」では、ナイル株式会社のワタナベシンペイさんをお招きして、既存のマーケティングの概念から未来の採用施策について、ディスカッションを行いました。



(忙しい方向け、「採用人事に活かしたいマーケティング領域から学べること」まとめ)


一記事のPVより、リードタイムを意識した戦略づくり

半田:ワタナベさんとは、よくサウナで色々とビジネス妄想を繰り広げているのですが、今回もその延長線上で話せたらと思います。

ワタナベさん:よろしくお願いします(笑)。

半田:早速ですが、マーケティング領域における施策で、多くの企業が取り入れているのは、コンテンツマーケティングでしょうか。Wantedlyやnoteなどがスタートアップ界隈では当たり前になりつつあり、自社発信のコンテンツは増えてますよね。ナイルさんは、この辺りに対して、どんな目標設定や取り組みをしていますか。

ワタナベさん:PVやシェア数などの数字はそこまで重要視しておらず、コーポレートサイトから採用サイト、採用ブログから採用サイト、採用サイトからの求人応募など、メディア間の遷移率を追っています。その数字を見ながら、自社サイト経由で採用するには、セッション数がどれくらい必要なのか逆算して、戦略を立てています。

オウンドメディア以外の数字で言うと、選考プロセスにおけるリードタイムを各選考ステップごとに計測して追っています。応募から選考、内定それぞれの営業日を決めて、リードタイムを縮めるための施策をしています。その結果、承諾率が上がったところもあります。


参考記事:「採用広報」「採用狭報」「採用マーケティング」の思考で実践する、採用プロセスに応じた情報設計――マーケティング・広報の思考法で採用戦略をアップデートvol.2


「採用広報」「採用狭報」「採用マーケティング」の思考で実践する、採用プロセスに応じた情報設計――マーケティング・広報の思考法で採用戦略をアップデートvol.2 | オウンドメディアリクルーティング
自社メディアを通して企業情報を求職者へ届けるオウンドメディアリクルーティングが、人材採用競争を勝ち抜くために不可欠となっている昨今。特に、採用の情報発信のデジタル化が進むなかでは、オウンドメディアリクルーティングにマーケティングや広報で培われたメソッドを取り入れて、採用戦略をアップデートすることが欠かせません。 ...
https://owned-media-recruiting.com/post-0134


また、最近は広報活動のスコアリングもしています。どんな媒体にどんな切り口で掲載されたのか、単独掲載か他社と一緒に出たのかといった項目ごとに重み付けをしてスコア化したものなんですが、これはもともと事業部の広報で取り組んでいたKPIを採用広報文脈で取り入れたものですね。。

半田:エクサウィザーズでも「モニタリング」という観点では選考活動のリードタイムにはこだわりがあり、モニタリングしています。0が続いたら、僕がケーキを奢るというルールにしていました。最近ではホールケーキを奢らなくちゃいけないレベルです(笑)。

採用広報に関しては、打ち手が変わるものだけKPIを追うべきだと思っています。採用広報の効果はいつ出てくるかわかりません。だからこそ、「これくらいやれば効果がある」と思えるところまでまずは予算を投下する意思決定をするのが大事なのだと思います。


良質なコンテンツづくりに必要な、コンテンツリサイクルという考え方

半田:オウンドメディアを運用する上で、コンテンツを作り続けるのはどうしてもぶつかる壁だと思いますが、ナイルさんではどんな運用をしていますか。

ワタナベさん:そうですね、コンテンツのリサイクルを意識することが大事だと思っています。一回一回ゼロから記事を作るって大変ですよね。でも、過去の記事のトピックの一部を膨らませて別の記事にしたり、記事で書いたことをスライドに置き換えて話しても良いわけです。最近出した、つくばの開発拠点に関する記事もコンテンツリサイクルの考え方で作っています。完全なゼロイチではなく、一部コンテンツを引用・流用することで多少なりとも工数削減に繋がっていますね。

半田:その考え方はいいですね。コンテンツを量産する上で、頑張らない体制をいかに作るか、というのは持久力が求められるオウンドメディアの運営で考慮したい視点ですね。

ちなみに、音声や動画コンテンツにはまだ掘り切れていない可能性があると考えているのですが、どうでしょう。

ワタナベさん:音声・動画コンテンツはまだ手を出せていないですが、以前とあるHRサービスに関わっている方が「動画をフックに感情を動かし、テキストで読ませて理解を深める」とおっしゃっていました。

半田:チャネルと手法ごとに役割をより細分化することが求められるのかもしれないですね。

ワタナベさん:動画も音声も属人的なコンテンツじゃないですか。だからこそプロジェクトごとでギルド的に動ける仕組みがあるといいなって妄想しています。具体的には、採用人事がプランニングして、それを作れる動画クリエイターやデザイナーへ依頼していくイメージです。

半田:面白いですね。1社だけで抱えるのではなく、何社か専任のクリエイティブエージェンシー化していくと、お互いにとってwin-winで良さそうだなと思います。


データによる自動化と属人化の両輪を回し、ジョブディスクリプションを極める

半田:次は、コンテンツの作り込みにおけるデータを活用について話したいと思います。

ワタナベさん:データの活用という観点では、まず個人情報の管理を徹底することが大事ですよね。ナイルでも個人情報の管理をさらに強化しています。

半田:そうですね。それを踏まえた上で何をしているのかお話しすると、弊社では、自社AIチャットボットサービスの「Qontextual」を使って、情報の集約と回答の効率化をしています。


Qontextual(コンテクスチュアル) | FAQ検索エンジン
Qontextualは、質問回答、文章分類、意味検索など、文章に関連したあらゆる課題解決を実現するエンジンで、ホームページ内の検索高度化、コールセンターの業務支援、窓口業務支援、ChatBotの回答精度の向上、社内マニュアル等の検索高度化、技術職のマニュアル代替など、さまざまな業務に活用することができます。
https://www.qontextual.jp/



今は、試験的にエージェントさんと候補者の方とのやりとりに使っています。採用フローの中で出た質問を集約し、それに対応する回答を集めることで、最初の接点の段階からエクサウィザーズの理解度を深めていただけるようにしています。Qontextualは、自然言語処理によって、言葉ではなく文章単位で検索結果を表示させることができるので、質問の意図がわかれば適切な答えを提供できるんです。

将来的には、チャットボットの仕組みをジョブディスクリプションにも落とし込み、内容で気になることがあれば、それに答えてくれたり、集まった情報に応じて自動でアップデートされる、みたいになると良いなと妄想してます(笑)

ワタナベさん:ジョブディスクリプションは奥が深いですね。今おっしゃられたようにデータを利用した自動更新も面白いと思う一方、職人芸的なところもありますよね。以前ルーセントドアーズ黒田さんがTwitterで言っていたので印象に残っているのが、とあるお蕎麦屋さんの話。全く応募が来なかった求人広告の内容を「無口な人募集。一切誰とも喋らない仕事です」といった内容に書き換えたら1分の1で内定が決まったそうなんです。これって、求職者のインサイトを完全についたクリエイティブだなと思っていて。なかなかデータからでは導きにくいものなのではないかと思っています。自動化とクリエイティブの両輪をどう回すかが、ジョブディスクリプションを極める鍵かもしれないですね。

次の採用人事に求められるエンタメ力と文脈構築力

半田:最後に、今回二人ともマーケティングの領域から採用人事の領域に職域を移した、ということで、採用人事でありながらマーケティング力を高める方法について考えてみたいと思います。

ワタナベさん:採用施策で話題になっている企業だけを学習対象とするのではなく、例えば、BtoB SaaSをやられている企業の人事さんであれば、競合のプロダクトのマーケティング手法を観察するなど、採用文脈以外の事例から自社の採用に活かせる学びを見つけるのは一つの方法かなと思います。

半田:そうですね。これまでの有名なマーケティング事例を一通り見ておくだけでもいいかもしれないですね。すぐには活きなくても、どこかで使えるかもしれない。

最新の事例という観点では、最近「ブランデッドエンターテイメント」が気になっています。

ワタナベさん:僕も最近知ったワードなのですが、どういうものなのでしょう。

半田:世界最大級の広告クリエイティブの祭典『カンヌライオンズ』で審査員を務めている方が書かれた本で言及されている概念です。


ブランデッドエンターテイメント: お金を払ってでも見たい広告
Amazonでカンヌライオンズ審査員, PJ・ペレイラ, 鈴木智也のブランデッドエンターテイメント: お金を払ってでも見たい広告。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。
https://www.amazon.co.jp/dp/B08GP85J4Q?tag=note0e2a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1


可処分時間の奪い合いが加速する一方で、NetflixやAmazon Prime Videoのオリジナル作品のようなハイクオリティコンテンツはお金を払ってでもみたい人は増えている。その背景にはエンターテイメントの要素がとても強く影響している、ということです。つまり、マーケティングにおいても認知を取るためには一層エンターテイメントの要素が必要になってくる。採用にも活かしたいと思っています。

ちなみに、社内は既に取り組みはじめていて、例えば経営陣の考えていることや人となりをメンバーに伝えるためにファッション雑誌VOGUEの「73の質問」という企画をオマージュした、「(会長の)春田さんへの73の質問」や「(社長の)石山さんへの73の質問」を実施しました。視聴率も全社員の半分以上が見るものとなり、改めてエンターテイメントの力を実感しましたね。

すいません、本筋とは脱線してしまいましたが、面白い事例として紹介させていただきました。

ワタナベさん:機能ではなく、情緒的な価値が重要だ、という話はここ数年で盛り上がっていますよね。スタートアップの年収水準も以前よりも上がってきていると感じますし、働き方や福利厚生も大きな差別要因にはならなくなっている。そう考えると、どんな文脈で候補者に情報を伝えるのか、を意識することは採用においても必要なマーケティングスキルかもしれないですね。

半田:最近は人事からマーケティングやプロダクト開発に行く人の割合が増えていると聞きますが、その逆ももっと起きて、職種の流動性が高まるとマーケティング以外でも採用人事領域で活かせることが増えそうですね。他にも色々と話したい領域を用意してきたのですが、今回はこの辺りで。また、サウナで話しましょう。

ワタナベさん:そうですね(笑)。引き続き、よろしくお願いします。


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