皆さん、こんにちは!エッジテクノロジー株式会社 採用担当です。
先日、社内勉強会にて「AIエージェントとハーネスエンジニアリング」というテーマで講演が行われました!
今回は、製造領域向けにAIの実装をリードされている八木 大介 氏を講師にお招きしました。 AIを単なるチャットツールとしての「アシスタント」から、自律的に思考して動く「実務担当(エージェント)」へと進化させるための「ハーネス設計(手綱設計)」や、組織全体を「AI駆動(AI前提の業務再設計)」へと変革していくための実践的な手法について、デモを交えながら深掘りしました。
本記事では、大盛況だった勉強会の内容をダイジェストでお届けします!
■ AI駆動とは? 単なる支援ではなく「AI前提での業務再設計」
「既存業務の支援にAIを活用するのではなく、業務自体をAI前提で再設計すること」
これが、八木氏の語る「AI駆動」の本質です。 これまでのAI活用は「人が主導し、AIが作業を部分的にサポートする(階段の代替)」という形に留まりがちでした。しかし、本来あるべき「AI駆動」とは、AIが主役となり自律的に計画・実行・改善のサイクルを回し、人間は「目的設計・判断・例外対応」などの高度な業務に集中するという、業務プロセスの根本的なリデザインを指します。これにより、生産性が飛躍的に向上し、これまでにない新しい価値創出が可能になります。
■ 「AIチャット」と「AIエージェント」の決定的な違い
これまでのAIチャット(ChatGPTや通常のWeb版Copilotなど)は、人間が質問したことに対して「文字で回答を返す」だけでした。そのため、得られた回答をもとに実際に成果物を作ったり、システムを設定したりするのは依然として人間の手作業でした。
しかし、現在登場している「AIエージェント(コーディングエージェント)」は、目標に向かって自ら「考え、実行し、成果物を作る」ことができます。 その代表例として、開発者の間で話題の「Claude Code」が紹介されました。
Web版AIとAIエージェントの違い
- Web版AI / ChatGPT等:
- 居場所:画面の向こう側(クラウド)
- 役割:コンサルタント(相談役)
- 行動:やり方を「教えてくれる」だけ
- AIエージェント(Claude Codeなど):
- 居場所:あなたのパソコンの中(ローカル環境)
- 役割:優秀な部下(実務担当)
- 行動:あなたの代わりに「PC内のファイルを直接操作(読み書き)し、実作業をする」
AIがコマンドを生成して実行し、その処理結果(エラーや出力)を見て次の命令を自分で考え、再び実行する――この自律的なループを回すことで、人間が「〇〇のファイルを探して、要約し、新しいPDFで保存して」と頼むだけで、全てのプロセスを一気通貫で代行してくれる時代が、すで近くまで来ています。
さらに、このローカルPCでのファイル操作に留まらず、「MCP(Model Context Protocol)」などを介して、カレンダーやSlack、Teams、タスク管理ツールといった外部のWebサービス・システムともデータ連携が可能になっており、AIが「組織の一員」として自律的に業務を回す基盤が整いつつあります。
■ AIを迷わせない「ハーネスエンジニアリング(手綱設計)」の重要性
AIエージェントは非常に強力ですが、指示やルールが曖昧だと迷ってしまい、間違った方向に自律的に進んでしまう危険性もあります。 そこで重要になるのが、「ハーネスエンジニアリング(ハーネス設計)」です。
これは、馬(AIエージェント)の力を正しく引き出し、思い通りの方向に進めるために、操作するための「手綱(ハーネス)」を設計するという概念です。
ハーネスを構成する主な要素
- 目的・ゴール:何を達成してほしいのかを明確にする
- 指示・ルール:やってほしいこと、守るべきルールを伝える(例:
RULE.md) - 情報・コンテキスト:必要な背景情報やデータを最適な形で渡す(例:
PROJECT.md、MEMORY) - ツール・環境:使えるツールやシステムを整える
- 評価・フィードバック:成果を確認し、改善につなげる
これまでのプロンプトエンジニアリングや、AIに渡す背景情報を最適化する「コンテキストエンジニアリング」の発展形として、「AIエージェントが迷わず、一定品質で業務を進められる業務環境や動線・ルールを一貫して整える技術」こそが、これからのAI駆動業務を支える鍵となります。具体的には、エージェントへの統制ファイルとなる「CLAUDE.md」や、周辺のコンテキスト・ルールファイルを正しく配備することで、AIが自律的かつ一貫した品質で業務を遂行できるようになります。
■ 組織で「AI駆動」を推進するための3つのアプローチ
生成AIの導入がうまくいかない組織の多くは、「単にツールを導入しただけ」で終わってしまっています。AIのポテンシャルを最大限に引き出し、効果を確実に得るためには、「業務課題 × AI活用」を組織的にマッチングさせる仕組みが必要です。
八木氏からは、自走できるAI組織に進化するための具体的なアプローチとして、以下の3つの要素を組み合わせた「社内エコシステム」の確立が提唱されました。
- リスキリングアプローチ
- 生成AIの理解度(何が得意で何が苦手か)を向上させると同時に、自分自身の業務プロセスを細かく棚卸し、「言語化・抽象化」する能力を養います。
- 業務特化ツールの開発・導入
- 汎用的なAIチャットをただ使うのではなく、特定の業務フローに沿った「特化型ツール」を開発・整備します。これにより、現場がすぐに価値を実感できると同時に、開発プロセス自体が「AIで何ができるか」を深く学ぶ機会となります。
- エコシステム(循環)の確立
- 効果が出たユースケースやプロンプト、ノウハウを社内ナレッジベース(Teamsやポータル等)に蓄積し、誰もが「自分も使いたい」と思える好循環を社内に生み出します。
これらを組み合わせ、「AIリテラシーの向上」と「業務課題の言語化・マッチング」を組織の仕組みとして積み上げていくことこそが、真のAI駆動組織への近道である、という力強いメッセージで勉強会は締めくくられました。
■ まとめ
- AI駆動の定義:業務の一部を便利にするだけでなく、プロセス自体を「AI前提」で根本から再設計すること。
- AIエージェントの自律性:画面越しに答えるだけのチャット型から、PC内ファイル操作や外部システム連携を交えて自律的に成果物を作るエージェント型へ。
- ハーネス設計の重要性:AIエージェントが暴走・迷走せず、高い品質で業務を進められる「手綱(業務環境・動線・ルール)」をエンジニアリングすること。
- 組織の自走化:リスキリング・業務特化ツールの開発・社内エコシステムを組み合わせ、自発的に生成AI活用が広がる文化を育てること。
【勉強会後は懇親会も開催!】
勉強会の終了後は、参加者が自由に交流できる懇親会の時間も設けられました! 講師の八木氏を囲んで、スライドで紹介された具体的なデモや「自社の実際の業務にどうやってハーネス設計を組み込んでいくか」といった現場ならではの悩み・アイデアについて、熱気あふれる議論が交わされました。 特に、これまでのAIよりも一歩踏み込んで、自動であらゆるファイルを捜索するAIの登場で、リスクや管理などの観点から、様々な質問が飛び交い、刺激を受け合う非常に有意義な時間となりました。
【エンジニア、プロジェクトマネージャーから質問を受ける八木氏】
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