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自然体験プログラム「お楽し森の学校」を通じて子ども達が自然の中で自由に活動できる場所を提供したい!【スタッフインタビュー②】

第2回目のインタビューは、当団体が管理する三重県上野森林公園(三重県伊賀市)で、環境教育まちづくりに取り組む神名さんにお話しを伺いました。

インタビュワーは、理事の山岡亮が担当いたします! よろしくお願いいたします!

この日は幸い梅雨の晴れ間でした。森林公園で過ごしていると、どこからかラベンダーの香りが漂ってきます。ウグイスの鳴き声が聞こえてきたり、ハッチョウトンボなどの昆虫たちも園内を賑わせていました。

さて散策もほどほどに、ビジターセンターに移動して、早速お話を伺っていきたいと思います!

神名 清文(しんめい きよふみ)
2018年7月入社
三重県上野森林公園 所長

環境系の中間支援活動やセグウェイを活用したガイドツアー事業を経て、NPO法人ECCOMに入社。現在は、三重県上野森林公園の公園運営全般を管理しつつ、様々なまちづくりにも携わっている。

どんなお仕事をしていますか?

主に、三重県上野森林公園の運営をしています。その中でも僕は、環境教育系の自然体験プログラムを担当しています。他にも、まちづくりにも取り組んでいて、伊賀市との協働や、市内で活動する環境系の市民団体との協働、外国人の子ども達の支援をしています。

神名さんが力を入れているのは、どんなお仕事ですか?

一番興味があるのは、子どもの主体性を育むプログラムです。

子ども達には「自分の中にある好奇心」に従って動くとパワーが出る、というのを実感してほしいと思っています。のびのびと自分らしく過ごすことができる場所があるんだよ、というのを知ってもらいたい。

そうやって企画したのが「お楽し森の学校」(おたのしもりのがっこう)です。

お楽し森の学校

三重県上野森林公園をフィールドに、子ども達が自然の中で自由に活動できる場所を提供する自然体験プログラム。一人で何かをしたい子どもも、集団で何かをしたい子どもも、大人達に見守られながら、のびのびと自分たちのペースで活動できる環境を提供している。定員12名。全5回開催。

こういう場所が今の子ども達には少なくなっているように感じます。すべてが計画されていて、子ども達の多くは塾に通っていて、決められたことをやる場面の方が多いと思います。だから、自由にのびのびと、やりたいことに取り組める機会が少なくなっているんじゃないかなと。

それに、自然体験が脳の発達に大きく貢献することも科学的に分かっているので、そうした活動はとても重要だと考えています。人間の作ったものはどうしても限界がありますが、自然というのは本当に無限です。無限に広がる自然の中で、子ども達の自由な活動を後押しできる場所を実現したいと思いました。

部屋の中ではなく、自然の中で。それが森林公園でやることの意義だと思っています。

自然に頼ることで、すごくハードルが下がるんです。学童などの場合、創造性を育むことを目的に部屋の中で実践しているパターンもあるんですが、仕組み作りや材料が必要だったりと、準備が非常に大変です。

ところが自然の場合、放(はな)っておけば、子どもってすごく活発に動くんです!

お楽し森の学校を通じて感じたこと

参加者にアンケートを取ったところ、「普段どのように遊んでいますか?」という質問の回答は、ほとんどが、ゲーム、ゲーム、ゲーム。

僕が普段見ているのは、森の中で過ごしている子ども達なので、逆にその回答が信じられないくらいです。それくらい自然の中に放たれた子ども達は動くんです。昔の子どもみたいに。だから、やっぱり本能的に動き回れる場所を欲しているのは今の子どもも変わらなくて、そういう場所を提供してあげると、子どもは自らの力で自分の伸びたい方向に伸びていくことが出来るんだというのは、これまで「お楽し森の学校」を実践してきた経験から感じたことです。

今後はどのような環境教育プログラムをやっていきたいですか?

これからも「お楽し森の学校」のようなプログラムを進めていきたいです。

実は大人もすごく学びが多いんです。大人はファシリテーターという位置付けで関わってもらいます。子ども達が自分で新たな発見ができそうな時には近くで見守り、子ども達が挫けた時には、先導するのではない方法で、上手に子ども達のやる気を盛り上げるようにします。その試行錯誤が大人にとっても学びになるんですよ。人とのコミュニケーションの基本がそこにあって、子どもの活動だけじゃなく、大人の日常の中にも取り入れることができる体験が結構たくさんあります。

だから「お楽し森の学校」をもっとやりたいと思っています!

でも、その受け入れ人数は限られているため、関わってもらう大人を増やしていくことで定員を増やそうと取り組んでいます。そうすることで、「子どもの本来の学び」を大切にしたプログラムが各地で行われる形を作りたいと考えています。

他団体との関わりについて詳しく教えていただけますか?

伊賀市は小学生の6%が外国籍と言われています。伊賀城周辺に居住している人が多いので、市の中心部では10%を超えています。こうした現状があり、僕たちとしても、この公園を通じて外国籍の子ども達を支援することが必要なんじゃないかと考えるようになりました。

最近では、移住を促進している伊賀市担当課の「移住コンシェルジュ」と一緒に、この公園で「移住者交流会」を開催しました。移住者にとってこの公園は魅力のひとつになると思うので、移住した後もFacebookグループで公園の情報を発信しています。

森林公園が多文化共生の橋渡しになる

特に外国籍の多くを占める日系ブラジル人を対象として、「森のゆうえんち」という自然体験プログラムを実施しました。JICAと共同で行ったこのプログラムで、日本人の家族と交流する機会を設けました。

僕が目指しているのは、この公園が日常的に利用できる場所になることなんです。でも看板がまだ日本語表示だけだったりと公園の多言語対応がまだできていません。そういった点は、これから取り組んでいきたいと考えています。

神名さんが大切にしていることはありますか?

僕が大切にしているのは、子どもも大人も、その人がその人らしく、自分らしく感じ、生きられる場所を作ることです。

今の時代は多くの人々が自分自身でないものを演じて生きることが多いと感じていて、そのような状況を少しずつ溶かしていきたいという思いがあります。そういう変化が起きれば、きっとみんなが生きやすくなるんじゃないかなと思っています。

ECCOMに興味を持ってくれた人達へメッセージをお願いします。

この公園で僕が一番魅力に感じているのは、豊かな自然を活かした理想の世界を、自由な裁量で作れることだと思います。自然公園を舞台に理想を目指し、それを仕事の中で実現できる人にとってはすごく良い環境ではないでしょうか。

このフィールドを活かして自分の理想を叶えられる人と一緒に仕事ができたら、すごく嬉しいです。

さいごに

今回は、三重県上野森林公園所長の神名さんにお話を伺いました。多文化共生を目指す「森の遊園地」や、子ども達が自然の中で自由に活動できる場所を提供する「お楽し森の学校」などの自然体験プログラムは、神名さんが作り上げてきたこの公園の新たな形です。

それは子どもだけでなく、大人にとっても素敵な場所だと感じました。きっと苦労することも多いと思いますが、関わる仲間と協力し合いながら、そんな場所をこれからも守り続けていきたいですね。

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