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【co-creators】大企業が無名な会社に業務改革を託す理由。ドリーム・アーツの頭脳、CTO石田の思考

※本記事に記載の情報は2019年12月時点のものとなります。

こんにちは。
ドリーム・アーツ新卒採用担当の山本です。

私たちが大切にしている「協創=co-creation」を、社員の働き方・思いから感じてもらいたい!という思いから始めたこの『co-creators』。連載も第7回を迎えました。
今回は、多くの大企業にサービスを提供するドリーム・アーツの頭脳として活躍し続ける、CTOの石田をご紹介します。

大企業向けに特化したサービスのシステムを技術面で支える、ドリーム・アーツCTOの石田健亮。創業間もないころから携わり、当社の頭脳として活躍してきました。ベンチャーである私たちが大企業向けシステムをどのように構築しているのか、信頼を得るために大切にしてきた考え方を石田が語ります。

人に喜んでもらうのが好きだったパソコン少年から東大、ドリーム・アーツへ

▲入社直後の石田。子どものころからコンピューターでソフトウェアをつくることが好きだった

「協創」──私たちドリーム・アーツは、このコンセプトを大切にしながら、大規模組織や大企業向けのクラウドサービスとコンサルティングサービスを提供しています。大手企業に特化して提供しているサービスの価値を私や私たちがどのように捉え、考えているのかを過去の話も交えながらお伝えしたいと思います。

私がドリーム・アーツに入社したのは、2000年4月。当時はマイクロソフトですら大企業向け製品で苦戦していた時代でした。設立から4年ほどのベンチャーだった私たちは、生き残りを懸けて大企業向けのサービスを開発する困難な道を選択。そこからの約20年間は決して順風満帆なものではありませんでしたが、信頼を獲得しながら前に進んできました。

私は今でこそCTOとして技術の選定やエンジニアの人材育成などに携わっていますが、入社のきっかけは、テック系のライターとしてアルバイトをしていた縁からでした。

なぜ、テクノロジーの分野に興味を抱いたのか?それは、子どものころから、コンピューターでものづくりをすることが好きだったからです。ゲームをつくっては友達に遊んでもらい、「おもしろかった」と喜んでもらえることが、嬉しかったのです。

大人になってもコンピューターへの興味は尽きることなく、東京大学の機械情報工学科へ入学。コンピューターネットワークの技術に傾倒したりVRの研究をしたりしていました。

卒業してドリーム・アーツに入社したわけですが、当時は東大を卒業してベンチャーに入社する進路の選択は珍しかったので、周囲からの反対もありました。それでも、すでに事業が固まっている大手企業に入るよりも、伸びしろのある企業へ入りたい、インターネットのパラダイムシフトが起きていく場所に身を置きたい──そう考えて、今の道に進みました。

リアリティが開発クオリティを上げる「現場100本ノック」

▲2019年現在の石田。2015年、CTOに就任した

その後、さまざまな大企業向けのプロジェクトや新しいクラウドサービスの立ち上げなどを経験して、2015年、CTOに就任しました。

私たちドリーム・アーツのコンセプトである「協創」を体現していく上で、大切にしていることがあります。それは、「現場の空気感を知ること」。

これはどういうことか。ひとつの例として、ある工場で生産性向上のためのシステムをつくったときのことを挙げましょう。システムをつくる際の参考にするために、当初「改善のポイントがあったらスマートフォンやタブレットで写真を撮影して、共有してください」とお客様にお伝えしていました。

しかし、実際に現場に足を運んでみたところ、現場の方たちは手に軍手をはめていたため、タッチ操作ができませんでした。音声認識での対処も試みましたが、工場内は常に機械音が鳴っているため、こちらも難しい状況だったのです。

こうした経験は枚挙にいとまがありません。だからこそ、「現場100本ノック」と名づけ、現場を知ることを大切にしているのです。現実的には100回もお伺いすることは難しいですが、その分、1回1回の機会を最大限に活かしています。

もちろん、それだけではクライアントの事情のすべてを知ることはできません。それでも、知らないよりは知っている方が100倍いい。

「現場100本ノック」の取り組みの最大の効果は、当社のサービスを使ってくださる方々の顔と名前とが、開発をしながら目に浮かぶことにあります。そのリアリティがサービス開発でのクオリティにつながる。これこそが、私たちの考える協創の一例です。

何万ものアクセスが1カ所に集中しても、問題なく動く。それが本質的な価値

▲エンジニアの祭典「Developers Summit2019」にも登壇した

一方で企業側の心情を考えれば、ドリーム・アーツという無名なベンチャーに自社の情報系システムを任せるという選択は、リスクに感じる部分もきっとあるでしょう。競合の大手SIerがひしめくビジネス環境の中、なぜ当社の製品を選んでくださるのでしょうか。

それは、「君たちに任せるよ」と信頼してくださったお客様の輪が広がり、新しいお客様を呼び込んでくださったことによる積み重ねの上に成り立っているからだと思います。

CTOの立場から技術面で語るなら、お客様に選んでいただいてきた理由のひとつは、当たり前のようですが「システムが問題なく“動き続ける”こと」です。

大企業向けのITサービスの特徴のひとつは「アクセスが1カ所に集中すること」にあります。たとえば朝の出社時間に、数千、数万人いる全社員が一斉にログインを始める、といった具合に。それでもトラブルが発生しないように設計することは、実は容易ではありません。

また、たった5秒間の遅延がクライアントにとって致命的な機会損失につながることもあります。その意味で私たちは、お客様のビジネスを預かっているとも言えます。

影響範囲が大きいためシステムを止めることは許されず、一つひとつがちゃんと動き続けることがとても大事です。それを実現するために、経験と技術と時間を積み重ねてきました。

長期的にご活用いただくために5年先を見据えて拡張性を持たせることや、ベースとパーツの切り分けなど、大規模組織向けのシステム設計は想像以上に構築の難易度が高いです。裏側の話なので見えにくいのですが、お客様がストレスなく普通に仕事できることが本質的な価値であり、腕の見せどころです。

その意味ではCTOはゴールキーパーであり、最後の砦。どれだけ気を配っていても、バグなどのシステムに起因するものはもちろん、ハードや通信が起因のものも含めてトラブルは必ず起きます。信頼を背負っている中で解決できるところまで持っていかないと、あとがないのです。

だからこそ信頼を得られるクオリティを常に担保しつつも、慎重になり過ぎて新しいものへのチャレンジを忘れることのないよう常に心がけています。

お客様も、自分たちの会社を本当に良くしたいからこそ「この人たちならやってくれる」と信頼を寄せてくださっているのかもしれません。ドリーム・アーツを選んでくださった方々の期待に応えたいですね。

非効率な状況に困っている多くの人々に届け、もっと喜んでもらいたい

▲新人研修の講師を務める石田。クオリティラインを引き上げるため、社内のエンジニア育成にも力を注ぐ

CTOとしての大きな役割のひとつは、自社のクオリティラインを引き上げることです。そのため、社内のエンジニアに対して「審美眼を身につけてもらうための眼を伝承」しています。たとえば研修を毎週行い、他社のサービスについてみんなで議論する。「何年も動き続けるソフトウェアになるか」という、長期的な視点を養ってもらいたいという意図です。

未来に向けて課題に感じていることは、私たちの事業やサービスをまだまだ人々に届けきれていない点です。ここ数年の働き方改革の流れの中で、デジタル化そのものに反対するお客様は以前に比べてほとんどいなくなりました。

しかし、人々の働き方はまだまだ非効率な状況が放置されている。しかも、そこに予算がつきにくい状況が当然のようにあります。サービスやプロダクトで解消できることはまだまだあるのに、アプローチしきれていない。感度の高い担当者だけでなく、本当に困っている人たちにも私たちの価値を届けられるようにすることがこれからの課題だと思います。

技術面でできることは、大企業の現場で役立つ新機能を入れ込むことで、私たちが意図した用途を製品やサービス自体が語ってくれるような状態にしたいです。そうすることで、私たちの製品を選んでいただける理由にもなります。

私たちのコンセプトである協創の観点では、クライアントもある意味で社内であり、組織であり、社会です。ですから、ただ言われた通りにつくるのではなく、クライアントが本当にすべきことや、やろうと思っていることの背景に刺さる提案を持っていく。あるいはお願いされていなくても、企業をサポートできる機能を製品に入れていく。それが次の期待につながります。

これからも私は、“ただつくるだけの人”にはなりたくはありません。ソフトウェアは“使ってもらってなんぼ”ですから、きちんとエンドユーザーの元に届いてフィードバックが返ってくる状態を維持したい。これからも、自分たちのつくったもので人に喜んでもらいたいです。

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