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トライアングルの音律

「よろしくお願いしまーす!・・・で、なんの会っすか、これ?」
遅れてきたのにも関わらず、席につくやいなや、中田さんが一人で盛り上がっている。

(この人、なんも聞いてないのかな?そんなはずないよね?)
ランチ後の眠い頭で、この会の目的を冷静に思い出す。B2Bセールスを新規で募集するから、セールスチームで座談会して、STORYをつくるって会だーーーーー

ワタシは田宮志保。推し活と毎日のランチ散策が生きがいのギリギリ20代。

「僕は新卒の時の就活で医療系探してて、それで行き着いたって感じっすね。中田さんはどんな感じっすか。」

「え、マジ、ユーゴ新卒入社なんだ、若いね!いいね!俺は元々建設系の会社だったから、インフラ?的な?部分で、医療系とはバイブス似てるかな、みたいな。」

気づいたらユーゴさんと中田さんが入社時の話に花を咲かせている。展開が超特急だ。

(ワタシは、なんだっけ?なんでここにいるんだろう・・・?)
お昼に食べた"どたんば@神田"の大盛ランチが、確実にワタシに睡魔をデリバリーしにきている。ああ、そうだ、管理部として入社して1年、クリニック向けのサービスが始まった時にインサイドセールス部門に異動して早2年・・・。

今だって、ワタシ以外の二人はB2Bセールスだけど、セールス繋がりで呼ばれたんだった。売っているものは二人とはちょっと違うけど、リード獲得のための施策から考えて、実際に面談して、オンボーディングまでフォローして、ってとこは同じよね。

でも、考えてみれば数年ですごい変化。異動して緊張やとまどいもあったけど、今は性に合ってると思ってる。自分で言うのもなんだけど、推し活以外はちょっと飽きっぽい性格だし。毎日いろいろなユーザーと直接話せるのはちょっと楽しい。

「ワタシ、すぐに飽きてしまう性格なんですけど、それを面接で言ったら、社長が『うちにきたら絶対に飽きないよ。』って。それでこの会社が合ってるかも、って思いましたね。」

(あー、言いそうだな。ドクターブックっぽいな。)
田宮さんの話を聞きながら、自分の面接時の話を思い出す。案内された執務室は静寂に包まれていて(これがいわゆるアイテー企業・・・!)と、かつての職場との違いを感じたものだ。俺は、結構大きな建設会社で営業をしていた。お客さんと飲んで、遊んで、もちろん真面目に営業もして、長い時間かけ関係を作って、結果を出してきた。

俺の名前は中田翔ニ。入社半年、まだまだここからの30歳だ。
今は法人向けのメディア営業全般を任されている。直球と変化球を織り交ぜた多彩な提案スタイルが俺の武器だ。サッカー部だけど。



前の会社もいいところがたくさんあったし、社会人としての基礎を作ってくれて感謝している。でも、やっぱりスピード感への渇望はあった。スピードなら、地元じゃ負け知らずだったからーーーーー

「何かプロジェクトとか始める時に、1週間経っても何も進んでいない感じがあったり、むしろ後退みたいなことも前は結構あって。でも、ここだと1日でもすごい進んだりしていいよね」俺の言葉に、うんうんと田宮さんが頷いてくれる。田宮さんはいつだって優しい。
「そうっすね!経営陣や上司との距離も近いし、チームとして一緒に仕事に取り組む機会も多いから意思決定とか早いっすよね。」ユウゴも続いてくれる。

そう、俺が求めているのはこのスピード。スピードといえばアレだ、ウサギーーーーー。

「だから前職と一番違うのはスピード感っすね、ウサギと亀でいったら、ウサギっていうか。」

(うさぎは最後にカメに抜かされるけどな・・・)中田さんの例えに心の中で突っ込む。まあ、言いたいことはわかる。新卒入社だから、他の会社と比較はできないけどね。

僕は山本ユウゴ。社内ではユウゴと呼ばれることも多い。フランクな気がするし、ラジオネームでも使っているくらいに気に入ってる。そういえばこの間、初めてTOKIO HOT100の企画で名前が呼ばれた。10年以上聴いてきたかいがあったよサンキュー、クリス。

「俺たちの仕事っておもしろさとむずかしさの2軸があって。結局、俺たちが売ってるのって、いわゆる無形商材じゃん?形がないものも多いというか。だから、考えることが多くておもしろい反面、大変ってのはあるよね。あと結果や反応が数値にでたりするしさ。逆にね、逆に。」中田さんが、まだろくろを回し続けている。何が逆かはわからないけど、まあ、言いたいことはわかる。

僕の仕事は、自社の媒体を使ったデジタルマーケティングを企業に提案すること。デジマなんて一言でくくればオシャレだけど、実際は結構地道なデリバリーの積み重ねだ。メルマガ一つとってもそう。ターゲティングとかクリエイティブとか、確かに考えることは山ほどある。でも、社内に使えるデータがたくさんあって、考えるための材料が揃ってるのは正直ありがたい。とはいえデジタルマーケの効率の良さをリアル神話のオジサンに説明するのはいまだにちょっと慣れないけどね。


「例えば、メールだけでダメだったら電話してみるとか、会いに行っちゃうとか結構コミュニケーション大事っすよね。直球だけじゃなくて、変化球織り交ぜて、的な。田宮さんも結構怖い先生とかいるでしょ?」「あ、わかります!たしかに怖い先生もいたりするけど、先生の悩みとかを聞きながら、一度信頼関係作れると、結構頼りにしてくれるというか。割と仲良くなっちゃう方ですね。」中田さんと田宮さんはクライアントとのコミュニケーション論で盛り上がっている。僕も二人を参考にしないと。

「結局さ、コミュニケーションを砂場で例えると、表面は乾いているんだけど、掘ったら湿っているみたいな?ドライアンドウェット?」中田さんの例えはやはりよくわからない。

(ドライアンドウェットかあ・・・わかりみが深い、確かに。)
表面上はシャイだけど、中身は優しいってことなんだよね。たしかにこの会社はシャイで優しい人が多いかも。ワタシがいるインサイドセールスのチームは、会社の中でも特にそうかもしれないと思う。あと、バラエティも豊かだ。データが得意な人がいたり、クリエイティブな人がいたり・・・メンバーひとりひとり得意なことがあって補いあってる感じ。中田さんやユウゴさんのチームはどうな雰囲気なんだろう。

「俺、正直毎日違うことやってるんじゃないかってくらい、毎日新しいことやったことのないことの連続。正直どうやるのこれ?っていうのも多い。でも、俺はとりあえず自分でやってみるってことを大事にしてるかな。で、わかんないとこは得意な人に任す!」
中田さんはたしかにいろいろなプロジェクトにアサインされて、毎日忙しそう。

「僕は具体的には2つの個人目標があるけど、違う施策の提案をしている時も常にそれにつながるように意識してて。ひょんなことから施策が繋がったりとか面白いっすね。」
ユウゴさんは若いのに、しっかり目標を決めていて偉いなあ。ワタシもストレッチな面談目標を入れて目標をクリアすることで自信にも繋がっているし、頑張ろう。

「セールスチームは各々が自分で考えて動いているイメージかな。相談ごとがあれば都度相談しながら。バラバラっていうか。」
チームの雰囲気について語りだす中田さんをユウゴがすかさずフォローする。
「バラバラ・・・というか、各々でやってはいるけど、相談しにくい雰囲気はなくて。チームでどういう提案にしようとかは必ず一緒に考えてくれるというか。でもまあ、相談する側が相談する内容をしっかり考えていることが重要ですけどね。」

ワタシは他のメンバーのことを常に気に掛けられているかな。あ、そう言えば・・・

「なんか忙しそうにブツブツいいながらエンターキーを叩きまくっている人がいたら、「どうしたんですか?」っていったりとか。」

「神やん!田宮さん神!俺だったら普通に無視しますけど!」
大袈裟なリアクションする中田さんを見ながらも、中田さんの明るさや田宮さんの優しさはこの会社で象徴的かもしれない、と思う。

僕は、この先どうしていきたいんだろう。

「ワタシ、ほんとに自社のサービス好きなんですよ。ほんと全クリニックが全部ウチのサービス使えばいいのに、ってほんと思ってる。使ってみた医院から『使ったら便利になったよ』って声しか聞こえないし!」

(田宮さん、それって聞こえてないだけかもしれないんじゃ・・)
でも、それでもいいか。仲間がそれぞれの持ち場で懸命にコンテンツやプロダクトを作ってる。僕はその価値をしっかり自分のお客さんに伝えていきたいと思ってる。

ここは自由だし、縛られることも少ないから心地いい。

「あ!次XX製薬とのweb面談入ってたんだった!じゃ、ということで!・・・こんなんで記事になるんすかね?まあいいや、じゃ!」
唐突に中田さんがそう言い残し、颯爽と去っていった。

「・・・こんなんで記事になるんすかね?まあいいや、じゃ!」

RECはここでSTOPしている。当たり前だ、自分で切ったし。

俺の名前は中田翔ニ。入社半年、まだまだここからの30歳だ。

初めて今回のこのSTORY作成を任されたもののどうしたらいいかわからないし、とりあえず色々喋ってみたって感じ。固いインタビューはバイブス感じないしね。ま、あとは記事作成の得意な人に任せればいいと思ってる。じゃ、ほんとに沖縄出張の準備で忙しいんでこの辺で。ハイサイ!


*このSTORYは実際に行われた座談会の内容を元に再構成したものです。

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