Diverseの前身、ライブドア時代からマッチングサービス事業をリードするDiverse。今回は業界の変革が起きた10年前からこの事業に携わってきたDiverse社長の津元(つもと)さんに、マッチングサービス事業とDiverseのこれからをどう考えているのか、インタビューしてきました。
マッチングサービスとの出会い
-マッチングサービスになぜ携わるようになったのか、そして社長に就任することになった経緯を教えてください。
当社のマッチングサービス事業は、前身のライブドア時代からスタートしました。その後、事業はNHN Japan(現LINE)、ミクシィという日本を代表するネット企業にサービスが移っていくタイミングで、2013年にDiverseは設立されました。ミクシィグループから離れた現在は、結婚支援サービス大手の株式会社IBJの一員として事業を展開しています。
私自身の話になりますと、大学卒業後は国内大手IT企業に、システム営業として入社しました。入社してすぐに、「既にできあがった仕組みの中で、残りの人生を淡々と過ごしていくのはつまらない。同じIT業界でも全くできあがっていない、良くも悪くもカオスなIT企業へ入ってみたい」と思うようになりました。
そんな中で、出会ったのがライブドアの前身であるオン・ザ・エッヂです。オン・ザ・エッヂには、新卒で入社した企業の同期が在籍していたこと、当時モバイル事業部の責任者だった出澤さん(現LINE社長)との出会いがきっかけで入社することになりました。入社当時は、いわゆる「ガラケー」が上り調子。モバイル事業部に所属した私は、ガラケーのキャリア公式サイトの制作やレベニューシェア事業などを担当しました。
その後、オン・ザ・エッヂはライブドアに名を変え、様々な事業を買収していきます。その中の1つが、マッチングサービスだったのです。ある日突然、出澤さんから「この事業を見てほしい」と打診を受け、断れるわけもなく(笑)。引き受け、現在に至ります。
「興味ゼロ」から「めちゃくちゃ面白い!」へ
-事業の責任者として、当時はどんな思いで引き受けたのですか?
当時は、会社を問わず全てのサービスがいわゆる「出会い系」と呼ばれていて、打診を受けた時には、正直気が進まなかったことを覚えています。ただ、出澤さんからは、ライブドアの再生には我々の事業の立て直しが絶対に必要だとも言われていたので、数年がんばってみるか……と、新たなキャリアをスタートさせました。
気が進まなかった事業でしたが、業界やサービスについてリサーチしはじめると、その面白さにすぐ気付きました。特に心が動いたのは、海外での状況です。当時、欧米では10年以上も前から当たり前のようにマッチングサービスが利用されていて、結婚したカップルの1/3がオンラインによるマッチングをきっかけとしていました。日本とは全く状況が違ったんです。
-欧米では、マッチングサービスが早くから日常的だったんですね。
他にも、リーマンショック後、前日のNASDAQ総合指数が大幅に下落した際にマッチングサービスの登録者数が数倍に増えたことを、著名な社会学者が解説した記事がありました。この登録者増の現象は、将来に不安を感じた時、男性は「心の安定」を、女性は「経済的な安定」を求めるためという見解でした。また、「そもそも、人はなぜ恋をするのか?」という問いを著名な脳科学研究者が解明する書籍があったり、事業会社には「マッチングアルゴリズム」を研究する学者がいて各社が競い合って論争したりと、とにかくアカデミックに進められていて。
「この事業、実はもしかしたらめちゃくちゃ面白いかもしれない…!」と、思った頃にはすっかりこの事業にハマっていましたね。知れば知るほど、人間の根源に近づいていくような面白さ、そして深みのある事業だと気付き、その事業の責任者になれた喜びをひしひしと感じ始めていました。
10年続けてこられた、本当の理由
-印象に残っているエピソードがあれば教えてください
以前、当社のサービスを利用している女性ユーザーから、手紙をいただいたことがありました。その手紙には、「以前お会いして、既に退会してしまったユーザーにもう1度会って話がしたい。無理だと分かってはいますが、なんとか連絡をとれないでしょうか」と、丁寧に綴られていました。
利用規約や個人情報の観点から、お伝えすることは残念ながらできませんでしたが、私たちのサービスは、ユーザーにこのような素晴らしい体験を提供しているんだと実感。「これは、すごい価値のあることなんじゃないか……もっともっとサービスを良くしていきたい!」と、使命を感じた象徴的なできごとでした。
-津元社長は、長い間マッチングサービスの事業に携わってきました。ここまで続けてこられた理由は、どうお考えでしょうか?
私が10年以上もこの事業を続けている1番の理由は、恋愛・結婚を目的とした出会いを通じて、ユーザーに「“代えがたい”幸せを提供できる」仕事だからです。当社のサービスをきっかけにマッチングし、交際が始まってドキドキし、美味しいものを一緒に食べ、辛い時に相談することで共に辛さを乗り越え、旅行で新しい体験を一緒にし、同じ部屋に住んで多くの共同作業をおこない、将来の話に夢を膨らませ、そのような時間を重ねて……そして、ついに結婚する。その間には、ケンカもあるかもしれませんが(笑)、それを圧倒的に上回る多くの幸せを感じることができると思います。
そして、これは当人同士だけの話ではなく、子どもが生まれれば両親・兄弟・親戚一同が喜びにあふれ、親族の絆も強まり、幸せが連鎖し循環していく。いまお話したのはあくまで一例で、幸せの種類は千差万別だと思いますが、このような幸せがもっと増えれば、日本社会はもっともっと良くなると思うのです。それが10年以上この事業に携わっている私が思う、事業の面白みと意義です。
ユーザーに幸せを届け、自分自身も幸せになる
-現在、Diverseでは新たな会社づくりに取り組んでいますね。
当社は「すべての人へ出会いのプラットフォームをつくる」をミッションに掲げていて、すべての意思決定は、このミッションのもとで進められています。そしてミッションに紐づく形で、それぞれのサービスにOKR(Objectives and Key Result)を設定し開発を進めています。
また、現時点での会社全体のOKRとしては、シンプルな言葉ではありますが、「スタッフがワクワクする会社にする」というものにしています。「ワクワクする会社」にするために大事なことは、「ユーザーに幸せを届ける」という純粋な思いを、全員が常に心に持ちながら仕事をすることも1つだと思っています。
-「ユーザーの幸せ」にこだわるということですね。
幸せは、人によって捉え方が全く違います。画一的な「幸せ」を他人に押し付けるのではなく、社員1人ひとりが「多様な幸せ」のイメージを持つことが大事だと考えています。
最後に、幸せを届けることにこだわりたい理由は、実はもう1つあります。それは「スタッフ自身にも、幸せになってもらいたい」という思いです。ユーザーに幸せを提供することができれば、自然と自分自身も幸せになれると信じています。社内にこの幸せの循環が起き、結果として「ワクワクする会社」になるよう、様々な施策を展開中です。
-津元社長、本日はありがとうございました!
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