前回は1985年までの日本の人口推移を見てきました。
すべての都道府県で人口が増加している時期でした。
新幹線や高速道路、地方空港といった交通網が整備され、大都市から地方都市へのアクセスが至便になったことも、全国での人口増を後押ししていたものと思われます。
すごいぞ、日本列島改造論。
1990年の各都道府県の人口増減率を見てみましょう。
その前に1990年はこんな年でした。
昭和から平成へ
イラクのクウェート侵攻で湾岸危機、ドイツ統一
株価、一時2万円を割る大暴落、1991年に不動産価格が下がってバブル崩壊
Jリーグ開幕、新生党や新党さきがけなどの新党ブーム、土井たか子衆院議長、マドンナ旋風
そして、ついに人口減少の都道府県が出てきたのも1990年でした。
青森、秋田、岩手、高知、島根、和歌山、愛媛、山口、大分、長崎県の10の県が人口マイナスに転じています。
1995年にはどうなるのでしょうか。
阪神大震災、地下鉄サリン事件、金融機関の相次ぐ破綻、青島都知事、横山ノック大阪府知事、野茂大リーグ新人王といった大規模災害と社会不安の年でした。
青森や和歌山、大分といった県が人口増に転じ、頑張っています。
意外なのが、この期間、東京都が人口減少になっている点です。
調べてみると、立教大学の論文で、以下の説明を見つけました。
「郊外化の波は、1970 年代に次第に弱まっていったが、1985 年以降、バブル経済期の地価高騰によって、ふたたび人口の流出が始まった。このときにも、子育て期をむかえたヤングアダルトが住宅を求めて郊外に転出していった。その結果、都市内部では、すでに定住していたより上の世代だけが残るようになり、しだいに高齢化が進んでいった。・バブル経済の崩壊と地価の下落によって、1990 年代末には、都市中心部での住宅供給が増加した。そのため、これまで地価高騰によって転出していたヤングアダルト層が都市内部に留まるようになった。しかし、新しいヤングアダルト世代の出生率は低く、人口高齢化による死亡率の増加とあいまって、人口の自然増加はほとんど期待できなくなった。」
ヤングアダルト
バブルの香り漂うこの言葉を久しぶりに目にしました。
そしていよいよ21世紀、2000年に突入します。
小渕首相倒れ、森連立内閣発足、有珠山と三宅島噴火、鳥取西部大地震
シドニー五輪で高橋尚子金メダル、介護保険制度スタート、日銀がゼロ金利政策解除、民主党躍進の年。
東名阪の大都市に人口が集中し、北陸と山陰地方、九州と四国で人口減エリアが広がっています。
続いて2005年。
小泉純一郎が選挙で圧勝して、郵政民営化を推進。JR福知山線事故、マンション耐震偽装発覚。
ライブドア、楽天がTV局の株を大量取得してマスメディア大揺れ。東証出来高がバブル時上回る。
愛知万博開催。中国各地で反日デモがありました。
2005年が完全に人口減少局面に日本が突入した年になりました。
人口増の都道府県が22に対し(沖縄含む)、減少している県が25。
国のレポートでも、2005年が日本の人口のピークだと述べられています。
2050年には人口が今より3,300万人(25.5%)減少します
あと25年。かなり近い未来です。
学生時代、人口論という授業で教授が「人口推移だけは99%の確度で予測ができる唯一の経済指標です」と言っていた言葉を思い出しました。
日本の産業構造や国の前提が根本から変わってしまう事を表しています。
この大きな流れを変える事ができるのか、難しければこの状況を前提としてビジネスやライフスタイルを考えていく必要があります。
ああ、、、紙面が今回も長くなりすぎました。。。
次回こそ未来予測までたどり着くと思います。
PJの中で、中期経営計画として3年計画や5年計画を作ることは多いのですが、20年後、30年後の未来を見越してどこに長期的にビジネスチャンスがあるか、社会課題は何かを考える上で日本の人口問題は避けて通れないテーマであると思います。
また次回。