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人材サービスとDXサービスの提供を通して、労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指すディップ。「Labor force solution company」という新たなビジョンを掲げたのが2019年3月春のこと。それから3年、広報が果たしている役割も大きく変わりました。その取り組みを主導してきた広報課長の弥陀(みだ)奈津子さんに話を聞きました。
新しいビジョンを掲げたディップ。広報も進化させなければ
吉牟田:求人広告メディアを主軸としてきた事業から展開を拡大し、コボットシリーズにつながるDX事業がスタートした2019年春、「Labor force solution company」という新しいビジョンが発表されました。弥陀さんは、ちょうどその時期から広報として3年にわたってディップのコーポレートコミュニケーションを担ってきたわけですが、それ以前はどのような経験をされてきたのでしょうか。
弥陀:2005年に中途入社して、人材領域での営業に長く10年以上携わった後、経営企画部で出資先や関係会社の管理等、新たな仕事にチャレンジをしていました。
吉牟田:広報への異動の打診があったのは?
弥陀:2019年3月に開催された社員総会に向かう移動中でした。
吉牟田:新しいビジョンが発表されたのが、その時の総会でした。広報により力を入れていくために求められたかたちになりますが、ご自身としてはどのようなことを期待されて声を掛けられたのだと思いますか。
弥陀:営業経験も社歴も長く、経営企画にも少し携わり、ディップのことを理解している。そういった点だと思います。期待するのは、まずは発信力の強化で、ミッションはメディアでの露出量を増やすことだと明確に伝えられました。
吉牟田:新しいビジョンを掲げるとともに、広報活動をリスタートさせたように感じられますね。
弥陀:これまでもディップはテレビCMなどを流すことで、バイトルやはたらこねっとといった求人メディアの認知度を高める強いマーケティングで売上を伸ばしてきました。これから「Labor force solution company」のビジョンを掲げるなか、労働力に関するさまざまな課題を解決する企業として、ディップをブランディングしていく必要がある。そのためには広報部門も進化させ、より強くしていかなければならない。そう受け止めました。
ディップのフィロソフィーを、どのように伝えていくか
吉牟田:異動後に着手したのは、どのような取り組みからだったのでしょう。
弥陀:すでにお付き合いのある記者さんだけでなく、競合企業が紹介された過去3年間の広報事例を洗い出し、数週間のうちにリスト化しました。それからが本格的なスタートです。まずはとにかく人脈作りから。そう考えて、新聞社やテレビ局など記者の方につながりにくいところには手紙も書いて、とにかく会いに行きました。
吉牟田:結果として、お付き合いするメディアは、どのくらい増えたのでしょう。
弥陀:10倍近くになりました。掲載数も当然比例して増えています。そこで問われるのは広報の軸として伝えていく内容の質。その核となっているのがフィロソフィー。いわばディップの魂です。
吉牟田:ディップの魂?
弥陀:ディップでは「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という企業理念をはじめとするフィロソフィーが全社員に浸透していて、経営陣、マーケティング、企画・開発、そして営業が一丸となって取り組みを実行しています。新型コロナウイルスが流行するなかでも、自社従業員へのワクチン手当、ワクチンインセンティブプロジェクト、有期雇用ユーザー向けの休業時経済支援、バイトルでの短期求人掲載枠の無償提供など、数多くのソリューションを打ち出しています。このフィロソフィーにもとづいた事業活動がディップの強みであり、広報の活動においてもそれが軸になっています。
吉牟田:プレスリリースを作成して、メディアに情報提供するだけが仕事ではない。ディップのフィロソフィーを世の中に向けて発信していく。それこそがディップの広報が果たす役割だといえそうですね。
弥陀:先ほどのようなコロナ禍でのディップ独自の取り組みは、社会が感じている課題に真向からソリューションしていくプロジェクトでした。そのタイミングを逃さずに、多くのメディアを通して社会とコミュニケーションをとるため、記者会見やメディアアプローチなど様々な工夫を行い、キー局すべてを含むテレビ局、全国紙を中心とする新聞、大手Webメディアなど多くの報道機関で取り上げていただきました。ディップの先行する取り組みがメディアを通して社会課題の解決につながっていくということを実感しました。
経営と直結して情報を発信。世の中を変えていく
吉牟田: 情報収集や部署間の連携はどうやっているのでしょう?
弥陀:経営会議の内容をキャッチアップすることはもちろん、社長、COOともSlackで頻繁に相談や確認をさせてもらっています。企画やマーケティングの部署はもちろん、経営陣とも直接つながっている感覚があります。経営判断が早くて、物事がダイナミックに動いていくなか、経営と一体となって広報活動を進めていけるのは、ディップならではの面白さといえます。
吉牟田:新しい商品やサービスについて、事務的に発信して知らせるだけの広報ではなく、経営判断をキャッチアップしながら発信しているわけですね。世の中には、固有名詞を差し替えればプレスリリースが完成するテンプレートを広報部門で使って、とにかく効率重視で情報を発信している会社もあります。そういったところとは大きく異なりますね。
弥陀:広報として発信するプロジェクトの準備が進むなか、同時進行でプレスリリースや記者発表会見の準備を進めていくこともあります。ワクチンインセンティブプロジェクトの時がまさにそうでした。バイトル、バイトルNEXT、バイトルPRO、はたらこねっとなどの顧客を担当する営業社員も、記者発表会見の日までに新型コロナワクチンの接種支援がある企業の求人案件をこれだけ集めようと、目標を設定して顧客の協力を仰ぎ、同時進行でプロジェクトを動かしていました。そのおかげでニュースバリューも高まり、その結果多くのメディアに取り上げていただき、社会へ強いメッセージを発信できた。そう感じられて、大きな手応えがありました。
吉牟田:全社一丸となって取り組んだ結果、世の中に大きなインパクトを与えることができたわけですね。
弥陀:広報だけにとどまらず、ディップでは営業、企画・開発、マーケティング、管理部門など、すべての部門があらゆる取り組みにおいて連動しています。その根底には必ずフィロソフィーがあり、「ディップがどのような姿を目指していくのか」を社員が共有していることが、会社としての一体感を生み、私たちの大きな強みとなっています。広報としても、そこに醍醐味があります。
広報がやるべきこと、やれることは、まだたくさん
吉牟田:この3年間で広報部門も量の面でも質の面でも大きく進化してきたといえそうです。
弥陀:そうですね、でもまだまだこれからです。発信するストーリーは定まってきていますが、それが世の中にどう伝わっているかが大切。情報の受け手の捉え方を正しく把握していかなければ。そのうえで「Labor force solution company」として、社会が直面している課題 、予見される問題に、ディップのソリューションを明確に示して、社会に対してどのような貢献ができるか、ステークホルダーにどういったベネフィットをもたらすことができるかを考え、コミュニケーションのクオリティをあげていく必要があると考えています。
吉牟田:どんな人を仲間に迎えて、一緒に働きたいと思いますか。
弥陀:広報の経験があり、なかでも社外広報で活躍してきた人であれば、そのノウハウが活かせるでしょう。SNSの知見が深いなどコミュニケーションの質がさらに高まり、実行できる方が仲間に加わっていただけると、とてもありがたいです。
吉牟田:さらに充実したチームを作るため、経験者に入社してもらえたら助かりそうですね。企業ブランディングで活躍したい人なら、とくにやりがいを感じられ、魅力的に思えるのではないでしょうか。人のタイプとしてはいかがでしょう。
弥陀:ディップのフィロソフィーに共感してもらえること。さらに言えば、全社で連動した取り組みを発信するうえで、経営陣だけでなく、あらゆる方面と積極的にコミュニケーションを取ることを大事にできる人。現場の最前線で奮闘する若手社員や、中間管理職の社員のもとに集まる情報が、広報活動の参考になることもたくさんありますから。
吉牟田:自ら考えて、動いて、より良い広報活動を展開していくためのヒントを探して、情報を取りにいく。そんな姿勢の人が活躍できそうですね。
弥陀:ディップが進化し続けていくなか、これからも社会の課題を解決する取り組みをどんどん仕掛けていくわけですから、広報としてやるべきこと、やれることは、まだまだたくさんあると思っています。これからも貴重な経験を重ねていけることは間違いなく、会社と一緒に、いえ、それ以上に広報課を成長させられるように挑戦していきたいと考えています。ディップの広報がどのようにあるべきか。全体像を描き、ともに進んでいってくれる人をお迎えできればうれしいですね。
取材・執筆・撮影/吉牟田 祐司(文章舎 )