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BtoB ECのプラットフォーム視点でBtoB ECの今についてまとめてみた。

Photo by Isaac Smith on Unsplash

今回は、Bカートに興味を持っていただくと「”BtoB”で”EC”ってどういうことですか?」「”BtoC”となにが違うんですか?」といったご質問をお客さまからであったり、採用の場面でいただくことが多いので、これはnoteでまとめ記事を書いてしまおう!ということで、私たちが提供する「Bカート」を取り巻くBtoB EC領域のこれまでとこれからの動きについてまとめました。(機能的にどう違うの?みたいな話はまた別の記事でまとめようと思います。)

ECは分かってるよ!という方は後半のBtoB ECの変遷から御覧ください。

目次

  1. BtoBにおけるECとは
  2. ECの広義と狭義
  3. EC普及の歴史
  4. BtoB ECの変遷
  5. BtoB ECの成長市場
  6. BtoB ECのサービス形態
  7. これから気になる話題
  8. 電子インボイス
  9. おわりに

BtoBにおけるECとは

BtoBとは企業間取引(英:Business to Business)、そしてECは電子商取引(英:electronic commerce)の省略で、企業間取引における電子商取引をBtoB ECと呼んでいます。
あまり目立っていないかもしれませんが実はBtoB ECについては、毎年経済産業省が公開している「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる
国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」という報告書のなかで触れられています。

まずはそこで登場する定義についてご紹介します。

ECの広義と狭義

電子商取引について上述の報告書では広義と狭義として2つの定義を示していまして、これから紹介する歴史にも関わる部分ですので先に触れておきますね。


引用元:令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる
国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)

広義EC

「コンピューターネットワークシステム」を介して商取引が行われ、かつ、その成約金額が捕捉されるもの。
ここでの商取引とは、「経済主体間で財の商業的移転に関わる受発注者間の物品、サービス、情報、金銭の交換をいう。 広義ECには、狭義ECに加えて、VAN・専用回線、TCP/IPプロトコルを利用していない従来型EDI(例:全銀手順、EIAJ手 順等を用いたもの)が含まれる。

狭義EC

「インターネット技術を用いたコンピューターネットワークシステム」を介して商取引が行われ、かつ、その成約 金額が捕捉されるもの。
ここでの商取引とは、「経済主体間で財の商業的移転に関わる受発注者間の物品、サービス、情報、金銭の交換をいう。「インターネット技術」とはTCP/IPプロトコルを利用した技術を指しており、公衆回線上のインターネットの他、エクストラネッ ト、インターネットVPN、IP-VPN等が含まれる。

で、何が違うの?って方は、狭義は「TCP/IP (wiki) を使ったインターネット経由の取引」で、広義は「TCP/IPを使ってない何らかの回線で行う取引」と思っていただければと思います。

私たちが提供しているBカートなどのSaaSとして提供されているBtoB ECのツールを使った取引は、インターネットでの通信が前提なので狭義のECに含まれます。

EC普及の歴史

BtoB ECのこれまでに焦点を充てる前にECが普及していった経緯に触れておきましょう。

インターネット黎明期:1970年代~1990年代半ば

前述の定義にも出てくるとおり、VAN・専用回線や、従来型EDI※と呼ばれるものが企業間取引に取り入れられ始めました。このEDIは現在は時代の流れに合わせてWeb EDIといった形で新たな市場が生まれています。80年代後半から90年代後半にかけては電話回線を利用した”パソコン通信”(ダイヤルアップ接続)やISDNが主流でした。これらの取引は冒頭で触れた広義のECに含まれる形態になります。

※EDIとは:EDI(電子データ交換)とは、企業間取引で発生する契約書や受発注書、納品書、請求書などといった帳票のやり取りを、専用回線やインターネットを用いて電子的に交換ができるシステムのこと。(引用元

インターネット普及期/モバイル黎明期:1990年代~2000年代

1994年に発売されたWindows95にインターネット接続機能が標準搭載されていたうえに、PCも手頃な価格で出回りはじめたことも追い風となり、「インターネットに接続できる環境」が一般家庭に普及しました。2003年には現在家庭用の光回線が登場し、その後の個人のインターネット利用を強く後押ししていったと考えられます。ちなみに、今やインターネットの巨人と称されるAmazonがアメリカで創業したのが1994年(Amazon.com公開は95年)、そしてそのAmazonの次にEC売上高を誇るプラットフォームとして急成長しているShopifyは2006年創業。ヤフーショッピングや楽天市場が始まったのは1990年代の終わり頃のことでした。

モバイル普及期:2010年代~

2007年にiPhoneの第一世代がアメリカで販売開始され、2010年代から徐々に日本でも広がりを見せ、その後の勢いは皆さんの知るところとなりました。この2010年はついに日本のインターネット人口普及率が約80%を迎えた頃で、2013年には、当時日本初のユニコーン企業として注目を集めたメルカリがサービスを開始しました。そのほかBASEやSTORES.jpなどもこの時期に登場し、「ネットショップを自分で作って自分で売る」ことのコモディティ化が進んでいきました。

BtoB ECの変遷

次にBtoB ECの今を捉えるにあたって簡単に現在に至るまでの変遷をみてみましょう。

ネット通販型:1990年代~

この形態は「アスクル」や「MonotaRO」などのサイトが代表的です。BtoB ECの先駆者的な存在で、それまで閉鎖的であった企業間取引の常識を覆し、納期や価格を非会員にも公開した状態で法人向け製品の通信販売を行うというビジネスモデルといえます。


引用元:https://raksul.com/

マーケットプレイス型:2000年代~

BtoB ECのセカンドウェーブともいえるマーケットプレイス型は、ネット通販型とは異なり複数の卸売業者の製品をWebサイト上で出品するという形態で、2000年代に登場したラクーン社の「スーパーデリバリー」や、オークファン社の子会社SynaBiz社が運営する「NETSEA」などが有名です。また、ネット通販型ともう1つ大きく異なる点としては、会員にのみ卸価格を公開するという従来の企業間取引の商慣習を取り入れている点です。これにより、インターネット上での販売における障壁が格段に低くなったといえます。


引用元:https://www.superdelivery.com/

自社サイト型:2015年頃~

多くの卸売業者のECサイト進出を可能にしたマーケットプレイス型は新規顧客開拓の面で圧倒的な役割を果たす反面、同じサイト上に競合他社の製品が掲載されていることで、価格競争による顧客の離脱といったデメリットも抱えていました。そこでBtoB ECのサードウェーブとして2015年頃から登場したのが会員制の自社ECサイトです。取引先ごとの販売商品や価格の管理の機能はそのままに、自社の製品だけを販売するECサイトを運営する形態です。これまでの形態との大きな違いはECサイトを自社の業務フローの中に組み込むことで、電話やFAXによる受注といったこれまでの体制をECサイトへ移すことで業務効率化を図ることができるだけでなく、営業担当者を付けることのできなかった顧客への新たな接触機会にも成り得る強みがあるのも特徴です。

BtoB ECの成長市場

それでは現在のBtoB EC市場はどのような状況なのでしょうか?
経済産業省の調査によると、2019年のBtoB-EC市場規模は、352兆9620億円(前年比2.5%増)となっており、増加の一途をたどっていることがわかります。


引用元:令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる
国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)

また、業種別でみてみると特に食品、産業関連機器などの製造業で顕著となっています。


引用元:令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる
国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)

BtoB ECのサービス形態

上記でご覧いただいたBtoB EC市場の急成長に伴って私たちが提供するBカート以外にも様々なソリューションを提供する企業が登場しています。

ECサイト構築という観点で別の記事にまとめましたので、詳しくはこちらを御覧いただければと思います。


そのほかBtoB ECを取り巻くソリューションについては日本ネット経済新聞さんとECClabさんがまとめている以下のカオスマップもわかりやすいです。


引用元:EC業界カオスマップ2021 - BtoB EC向けサービス編

これから気になる話題

共通EDI

冒頭で触れた従来のEDIや昨今注目されているWeb-EDI、そのいずれも抱えている問題が「サービスプロバイダによってフォーマットがバラバラ」ということ(従来EDIやWeb-EDIそのものを否定しているわけではないので悪しからず)なのですが、この共通EDIは、それらバラバラのフォーマットを、名前のとおり共通のフォーマットに変換してやり取りすることを目指すものです。


引用元:ミラサポPlus 中小企業向け補助金・総合支援サイト

また、EDI自体は1980年代から存在はしていたのですが、高額投資を要することから専用線EDIは一部の大企業が仕入先への発注用途で導入するといった場合に留まっており、専用線EDIよりも導入コストを抑えやすいWeb-EDIも複数のプロバイダが存在することや、1対N接続という構造による多画面問題が起こっていました。共通EDIの介在によってN対Nでの取引構造を構築し、導入コストを抑えるだけでなく、プロバイダに依存しないやり取りが可能となるため、多画面問題も解消できるということが期待されています。


引用元:共通EDIとは

電子インボイス

電子インボイスって?

2023年10月に導入する消費税の「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)において、企業が消費税を納税する際に必要となる「適格請求書(インボイス)」を電子化する仕組みのこと。民間主導で標準規格を作る動きが広がっている。引用元:電子インボイス(Electronic Invoicing)

BtoB ECは当然ながら売買を行うツールで、且つ企業間取引においては特に請求書は切っても切れない関係なわけで、この電子インボイスの動きはBtoB ECのプラットフォームを提供する私たちBカートのチームも注視している動きです。

上記の記事で取り上げられている「民間主導で標準規格を作る動き」の代表的なものとして「日本の経理をもっと自由に」プロジェクトがあげられます。このプロジェクトは株式会社ROBOT PAYMENTが主体となり、電子インボイス推進協議会やそのほかおもに経理業務のソリューションを提供する多くの民間企業などが参画して、国際規格「Peppol」をもとに電子インボイスの普及に取り組んでいます。

電子インボイスを国際規格Peppol準拠で仕様策定へ、全ての企業が無視できない訳 SAPジャパンや弥生など会計業務ソフトベンダーが設立した「電子インボイス推進協議会(EIPA)」は国内での電子インボイスxtech.nikkei.com

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございます。

BtoB ECに興味を持っておられる方にとって、すでにご存じのところもあったかと思いますが、何か新しい気づきを持っていただけましたら幸いです。

本記事では触れていませんが、BtoC ECでは新たに普及してきているライブコマースやVRコマース、あるいは物流の新たな動きとしてデジタルフォワーダーといった話題も今後BtoB ECを取り巻くホットな話題がまだまだたくさんありますので、ここでも取り上げていけたらと思います。

本記事はnoteで公開していますので下記より御覧ください!


BtoB ECのプラットフォーム視点でBtoB ECの今についてまとめてみた。|Bカート公式|note
こんにちは、Bカートの中の人、 アシダコウヘイです。 今回は、Bカートに興味を持っていただくと「"BtoB"で"EC"ってどういうことですか?」「"BtoC"となにが違うんですか?」といったご質問をお客さまからであったり、採用の場面でいただくことが多いので、これはnoteでまとめ記事を書いてしまおう!ということで、私たちが提供する「 Bカート」を取り巻くBtoB ...
https://note.com/bcart/n/n53ac55da9419

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