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Basics 3 Tips;「遊び心」が仕事にもたらす効果

仕事は人生でもっとも長く過ごす時間

ベーシックスを作るにあたって考えたことの1つが、社員のみんなにどう働いてもらいたいか、自分自身もどう働きたいかということだ。

人生のなかで、大抵の人は仕事をしている時間が一番長いのではないだろうか。ぼく自身はワーカホリックなので、仕事をしている時間がとてつもなく長い。でも普通の人でも、寝ている時間が3分の1、プライベートの時間が3分の1、残りの3分の1が仕事の時間とすれば、相当な時間が仕事をする時間にあたるのではないかと思う。

人生においてそれほど長く過ごす仕事の時間だから、どうせなら楽しく過ごしたい。その時間を不機嫌に過ごしていたら、人生がつまらなくなってしまう。個人的にも、仕事の時間が楽しければ楽しいほど、かなりいい人生になるように思う。

一般的には、仕事はつまらないもの、仕方なくやるものという印象があるかもしれない。でも実際には、仕事というのは自分で楽しもうと思えば、どれだけでも楽しめるものである。

それは子どものころの部活と一緒。わざわざ朝練のために早起きしたり、何キロも延々と走らされたり、つまらない基礎練習をハードにやらされたり、先輩・後輩の上下関係があったり……。大人の目から見れば、「何を好きこのんで、そんなことをやるんだ」と思うだろう。
でも部活をしている当人たちは、すごく楽しんでいる。がんばればがんばるほど楽しくなって、仲間たちとワイワイやっている。仕事も同様で、何らかの成果や目標に対してがんばっていけば楽しいのだ。


「楽しい!」の心理学的メリット

心理学的にいえば、「楽しい」ということには2種類ある。
1つは、「充実感を感じる楽しさ」「満たされる楽しさ」。そしてもう1つが、「面白い」「笑える」という楽しさだ。前述の「成果や目標に対してがんばる」という楽しさは、「充実感を感じる」ほうの楽しさだろう。しかし、ダイレクト出版では「面白い」「笑える」という後者の要素も大事だと考えている。

実際、笑ったり、ユーモアを加えるということは、仕事をするうえでものすごい効用がある。ハーバード・ビジネス・レビューなんかでも「笑いの効用」というのが研究されているのだが、特にクリエイティブな仕事に驚くほど貢献するという結果が出ているのだ。
人類学者の調査でも、会社重役の91%が「ユーモアのセンスはキャリアアップに必要だ」と答えており、84%が「ユーモアのある人ほどいい仕事をする」と答えている。

マーケティングを扱うぼくらの仕事は、いわばクリエイティブの最先端。アイディアのひらめきを得たり、柔軟に発想するためには、笑いの要素は必要なのである。

そもそも遊びやユーモアというのは、「EQ」が高くないと発揮できない。「IQ」が知性に関する知能指数なら、「EQ」とは感情・情動に関する知能指数である。平たく言えば、コミュニケーション能力のこと。学歴が高く、IQも高いのに、仕事で成果を上げられないという人はたくさんいる。一方で、学歴なはそれほど高くもないのに、なぜか仕事でズバ抜けた成果を出せる人もいる。それは、「EQ」の能力によると考えられる。コミュニケーションの能力が高い(=ユーモアのセンスがある)人のほうが、仕事においては大きな成果を上げやすい。

子どものころを思い出してみてほしい。子どもはすぐ興味津々になり、本当によく笑う。大人の目から見ると何てことのない些細なことにも面白い要素を発見して、転げ回って笑っている。大人と比べて格段に毎日が楽しそうだし、幸せそうだ。よく笑い、幸せな人は、仕事でも創造性を発揮できる。
それもまた心理学者によるメタ分析で実証されている。その数字は驚くべきもので、幸福感の高い社員の生産性は、そうでない社員に比べて平均で31%も高く、売上は37%、創造性は3倍も高かったそうだ。


ダイレクト出版の遊び心キャンペーン

何年か前、わが社のマーケ部門が開催するセミナーのキャンペーンで、取締役の寺本が事情聴取をされているという、しょーもないビデオを使ったことがある。かくいうぼくも、以前ビリーズ・ブート・キャンプが流行ったときに、ビリーと同じような黄色いトレパンをはいて、「オガワズ・ブート・キャンプ」と銘打ったマーケティングのセミナーを販売した。

他にもミニスカ・ポリスのコスプレをするキャンペーンやら、いろいろオモロイ企画をやっている。「充実感を感じる楽しさ」だけでなく、「面白い」「笑える」という楽しさを仕事に注入した結果だ。とはいえ、「無理やり面白くしろよ」という話ではない。ただ、一般的な会社では、ふざけていたら怒られるかもしれないが、ウチではまあ「ふざけてもOK」ってこと。

どんなビジネスも、笑ってやることもできれば、苦しそうにやることもできる。キャンペーンだって、思うように売れないことはしばしばだ。でも、だからといって「やべぇ~、どうしよう~~~」と下を向いて切迫感に苛まれても、それで売上が増えるわけじゃない。

顧客は、われわれが苦しそうにがんばっていれば、「じゃあ、もっと買ってあげてもいいかな」なんて考えてはくれない。そんなものは顧客にはまったく関係ないのだ。だったら、ぼくらも楽しんだほうがいいじゃないか? そのほうがクリエイティブな仕事ができ、周りもハッピー、自分もハッピーだ。


自分の機嫌は自分でとる

そういえば、その寺本が昔、ダイレクト出版に入るときに「こんなに楽しそうに仕事してるなんて……!」と驚いていた。彼は中途入社だから、それまで勤めていた会社の雰囲気、働き方と比べて衝撃を受けたんだそうだ。

いやいや、仕事って楽しいもんなんだよ、本来。子どもがやったら最高に楽しむと思うね。もちろん、嫌な仕事だってある。そりゃ全部が全部、気持ちいい!とは、麻薬でもない限りはない。でも普通は、浮き沈みがあるからこそ、充実して楽しく感じるわけだよ。人間が感じる幸福感、充実感ってのは、「ストレス」や「マイナス」の感情もなければ成り立たないものなんだ。

それでも全体で見れば、楽しむのも楽しまないのも、すべては自分次第。不機嫌になっているときには、自分の機嫌は自分でとらなくちゃいけないし、「売上を上げなきゃならない」というプレッシャーを感じる仕事だって、自分自身で楽しくやることもできるわけだ。

ダイレクト出版はようやく創業10周年を迎えたばかりのまだ新しい会社だ。だから若い人材が多い。そのおかげか、社内には活気が満ちているし、笑い声がつねに絶えない。
ウチは成果主義だから、堅苦しいだけで仕事をしていたら、プレッシャーに押し潰されてしまう。だけど、従業員がみんな楽しそうに仕事に取り組み、成果を上げることをチャレンジだと捉えて前向きにがんばれるのは、社内に充満するこの笑い声のおかげだと思う。

あなたも、下を向いて歯を食いしばって仕事をするのではなく、顔を上げて笑いながら仕事をしよう。それが仕事も人生も、思いっきり楽しみ尽くすことにつながっていく。

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