1
/
5

考える、議論する力

ダイレクト出版の社員に向けて書いたレターを転載しています。

................................................................................................................

To: ダイレクト出版のみんなへ
From: 小川忠洋


先週、何人かの人と議論をしてて気づいたことがあるので、みんなにもシェアしようと思う。

議論の内容は全員違うんだけど、おれが言った事は全員に対して同じ内容だった。

『もっと考えて』

というのも、みんな「これこれこういう問題があるから、こうした方がいい」という内容だったんだけど、どれも論理的でないような感じがした。なので、目の前の現象に振り回されているように感じた。


目の前で良くない事が起きた。だから、この良くない事を止めるために「こういう施策を打とう!」と言うのは、確かに一見まともで良い判断のような気がする。しかし、その目の前の良くない現象を止める施策を打ったら、今度は、逆にその施策が原因で別のよくない事が起きる。

打った施策によって、別の問題が発生する。

起きてる現象は、いろんな因果が複雑にからみあって表面化したもの。だから、ホントはその因果を解きほぐし、何が本当の原因、真因なのかを突き止めて、それをアタックしなければいけない。


ちなみに、おれが経験した皮膚科の診療もこれと全く同じ。表面的に出てきた症状に対して、 薬を塗れば、免疫が抑制されて、その症状は消える。でも、その症状が出たのは原因があるはずで、その原因は消えてない。だから、しばらくするとまた症状が出る。あるいは別の場所にその症状が出る。それを薬で常に抑えていると、今度は薬の副作用やらで苦しむ。

原因を叩かなければ、症状は一時的には消えても、恒常的には良くならない。やぶ医者は、その表面的な症状だけを抑えるために、スグに薬を出す。その症状の原因なんてわかんないし、多分、分かんなくてもいいと思ってるんじゃないかな。症状が消えれば成功だと。だから、皮膚科では3分診療なんて言われてて、3時間待って、診察3分で終わり、というような事が多い。


3分で原因分かるわけねーだろ!

と、今振り返ると思う。(当時は何の疑問も持ってなかったが。)
しかし、3分で症状を抑える薬は分かる。(だって全部一緒だから。)
なので3分診療でも、症状は抑えられる。

何の話をしてんねん!?と思うかもしれないが、冒頭の話とつながっている。
『もっと考えて』と言ったのは、どの話も「3分診療」に思えたからだ。


問題は、常に真因まで考えて、それをアタックするようにしなければいけない。じゃないと、どれだけ手数を増やしても、同じような問題は、あちこちで起きて火消しに追われるだけになる。火元を消さないと。

真因まで考えるということは、起きてる現象・事実(病気の症状)を基に、何が原因なのか?と問い続けること。


だいたいみんなは頭がいいし、現場の情報にも精通しているから、直感的に分かる事が多いと思う。
「こうすべきだ!」という答えが直感的に分かる。だからそれを、実行したいという気持ちになる。

でも、それをそのまま実行してたら考えた事にはならないよ。
直感に基づいて行動してて成功するなら、ビジネスは誰がやっても大成功するって事になる(笑)。


~ ちなみにビジネスは大抵直感に反することを実行することが成功への道だというケースがほとんど ~

たとえ直感が実際に正しかったとしても、その直感を論理的に説明できるように、考えないといけない。


最初の答えに囚われる。

問題について考えている当事者としては、どうしても一旦、「答え」が見つかると、それに飛びついてしまう。そして、その「答え」が正しいという証拠を集めるようになる。(これを確証バイアスという。)

そんな時に、当事者じゃない人から、「本当にそうなの?」「別の視点もあるんじゃないの?」と言われることは、とっても価値あることだよね?


ところが、人間、これもまた受け入れるのが難しい。自分の意見を否定されたと思って感情的に反応しちゃう。これはチンパンジーの時代から、人間の脳に刻まれた感情反応だから、誰だってそうなっちゃう。
仕方ないっちゃーしかたない。チンパンジーが攻撃されたと思って、反撃しようとするわけね。(あるいはその場から逃げようとする。)

でも、これを仕方ないで終わらせたらダメだよね(笑)。人間にしかできない論理的に考える、議論するという事が、できるようにならないと。つまりは、こういった感情を制御して、より良い答えを出せるように協力しないといけない。


ちなみに幸い、先週、議論した人たちはみんな大人だったので、ほぼ全ての意見は対立していたにもかかわらず、感情的になることはなかった。むしろ、さんざん対立した意見を言い合った後に

「こういう議論ができるのっていいですよね~」

って言う人もいるくらい。

おれもそう思う。
良い議論ができると、なんかテニスとか、スポーツで対戦して試合が終わった後のような良さがある。


反対意見をぶつけあう事で、そこから出てくる答えは、より強固で洗練されたものになる。
つまりは、お互い別の方向を見ている状態でも、より良い答えを作ろうと、協力しているわけだ。

問題があったら、常に、それについて「診断」して考えて、本当の原因、真因を追求しよう。


その考える行為を一人でやりきる意味はない。上司や同僚、部下などと一緒に議論しながら進めよう。
その方が、より良い答えにたどり着く。

そして、論理力を磨き、自分の感情制御をできるようにして、議論する力を高めよう。

1 Likes
1 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like 小川 忠洋's Story
Let 小川 忠洋's company know you're interested in their content