株式会社 D-ウェーブ's job postings
こんにちは、特命求人強化係の出井(いでい)です。
ヒットコンテンツの陰では山の様なしくじり達の屍(しかばね)が有るのですが、
そんな経験を当社でも何度も経験する事がありました。
そんな失敗から学ぶためにも、当社の「しくじり遺産」を末代まで語ってもらおうと思います。
▽登場する社員
池 田:サッカー大好きなWEBディレクター
■ソーシャルゲームブームの最中に登場した音楽SNS
出井:
今回の「しくじり先輩」はディレクターの池田さんです。
池田:
その名称、無理やり某TV番組をパクッた感があって、なんか嫌ですね(苦笑)。
出井:
まあまあ、それは大人の事情なので。昔、うちでもソーシャルゲームみたいな事をやっていたと聞いたのですが?
池田:
はい、そうですね。突然、青天の霹靂(へきれき)の様に浮上したプロジェクトで、携帯ソーシャルゲーム事業への参入を行いました。話を聞いたときは「ついに当社も、グリーやモバゲーなんかにゲームを出すようになるのか!!」と勇んで一歩を踏み出したのですが、どうやらちょっと話が違う様相でした。聞くと取引先で扱っている、独自SNSシステムにゲーム要素が付与されたパッケージを購入するという話ですが、肝心なゲームアルゴリズムは自分たちで作れという少々な難題。ゲームを作ったことが無い人間ばかりの中、目を見合わせて「どうしよう?」と思案に思案を重ねていました。
出井:
結構とつぜんの話だったんですね。結局どうしたんですか?
池田:
元のサービスはヤンキー(不良)をモチーフにしたアバターを用意して、
課金によってアバターを強くすることによって、より強い相手と戦う内容なのですが
原則同じ世界観でリリースするのは禁止、他のテーマで比較的若年者を取り込めそうなものはないのか?ひたすら調べていました。元のヒットコンテンツにならってキャバ嬢や極道といったテーマの方が
フィットするのかなとも考えたのですが、担当課長がバンドマンだったということもあり「音楽を志す主人公が、最強のバンドメンバーや楽器を求め、四天王と呼ばれるバンドマスターを倒す為に修行を重ねる」というストーリーでした。まあはっきり言って漫画の読み過ぎかと思うくらい派手な脚色を付けた設定で作っていったと思います。
■どうにか開発出来そうだと思った矢先に、
出井:
大変な事とかありましたか?
池田:
当時は大変な事しかなかったです(苦笑)ゲームって何作るんだ?から始まって
どうやらこんな感じで作るらしいぞという風で、本当にまるで素人でしたね。
子供の頃に「俺が作った夢のゲーム」という妄想を膨らましたモノを作るのとは全然わけがちがうので、仕様を考えては検討して実装の繰り返しでした。
出井:
そんなレベルだったんですね?無事にリリース出来たんですか?
池田:
システムのメインフレームは購入しているので、ゲームのアルゴリズムさえどうにか出来ればいけるという判断で、チームメンバーは4名と言う最少ユニットでしたが3か月の計画でリリーススケジュールを立てました。
ただ良し作るぞ!という時期に、それまで後押ししてくれた部門長が辞めちゃったんですよね。
出井:
ありゃりゃ、それで狂いが?
池田:
幸い、コアの制作メンバーはいたのでリリース自体は計画通り出来たのですが、
当初考えていたアイデアが全く、想定通り機能しない。
ゲームを知っている訳でもない、バンド活動をやっていたわけでもないので
ユーザーが求めている機能やアイテムを手さぐりで当てる感じでした。
この時ばかりはもっと自分でも分かるジャンルで、
コンセプトを作るべきだったと悔やみました。
■今のWEBコンテンツは始める事以上に継続するのが大変
池田:
このときやってみて実感したのは、ソーシャルゲームの難しいところ。
ひたすらリリースまで精力的にやっていても、リリース後が地獄の様に大変だという事ですね。正直、ぎりぎりのメンバーでリリースまでやって、その後のバグ対応は半年がかり。
それに加えて、売上も想定の1/100以下で、明るい材料がひとつもない。
ユーザーを離さないためには新しいイベントをやるしかないのですが、新しいイベントをやるモチベーションがもう全然なかったです。
出井:
いまのゲームはイベントが命ですもんね。その後はどうしたんですか?
池田:
もう、何かやる気力もアイデアもなかったので、やることやること裏目に出てしまっていましたね。ユーザー数はプロモーションのお蔭も会って、10万人近くになっていて、その内数パーセントは結構アクティブユーザーになっていたんですが、1年後にサービスを閉める話をしました。
後に報告書を作成したのですが、その時点で、もう既に広告費など費用のコストがかさみ大赤字。対して売り上げは100万円/月にもいかないほどの大失敗サービスでした。
■マネタイズを考えず本質的なモノを作れば良かった。
池田:
教訓なんですが、いくらユーザーから課金が予測できるサービスでも
そこを意識し過ぎてしまうと本当にダメだなと思います。
DAUを見ながら、どこにリピートしているのか、どこで途絶えているのか
考察しながら、とにかく滞在率や時間を改善して多くする。
滞在時間や滞在ページが分かれば、それを最大化する施策を行う。
まあ、現在では当たり前の話なんですが、当時はキャパ不足で
日々、「どうしようどうしよう」と、うーうー言っているだけで、
サービスの本質や、ユーザーを見ようという配慮が無かった。
出井:
ユーザーもバカじゃないですからね。
池田:
本当にユーザーのみなさん賢いですし、開発している方が無理だなと思うモノは使う方にとっても難しい事が多いですね。ただ昔から、夢見ていた自分達のアイデアで作るWEBサービスが、見るも無残に無くなってしまう様をみているのは本当につらかったですね。
ただ、ひとつ発見を言うと、バタバタと入れた機能の中で歌詞の投稿コーナーを作ったのですが、予想以上に投稿が集まりました。今の「ピクシブ」や「nana」といった創作系サービスはその時点で中高生や愛好家には求められていたんだなと思うと、どんな状況下においても次へのヒントはあるなと思います。ただひたすら、課金率が上向く方策ばっかりを考えていた当時の自分が悔やまれます。
でも、機会があれば本当にユーザーに求められて、尚且つ自分たちが作りたいサービスをまた出してみたいですね!
こんな感じで、「しくじり先輩」に以前のサービスの紆余曲折を語ってもらいました。
人に歴史あるように、WEBサービスにもいろいろな歴史がありますね。
当社は多くのチャレンジや失敗もありますが、それを糧(かて)にした学びや成功もあります。