堀川の話に頻繁入ってくるワードに「魔法みたいな体験」というものがある。彼はどうして「魔法を作りたい・アトラクションを作りたい」と思ったのか。そのことについて、話してみた。(前半はこちら)
CEO 堀川 隆弘
東京大学理学部数学科卒。大手SIer・モバイルコンテンツ会社勤務を経て2012年に渡米。aeria games, 米Yahooでモバイルアプリ開発に従事し、帰国後にcuriosityを創業。シリコンバレーの技術者NPO団体、JTPA共同代表も務める。2008年に個人で開発・公開した携帯シミュレーターFireMobileSimulatorは、日本全国のモバイルサービス会社で広く使用される。ロボット、アプリ、web、画像処理、機械学習、ハードウェアなど幅広い分野に精通している。
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「アトラクション」っていうワードはいつ出てきたんですか?勝手なイメージだけど、アトラクションつくたいっていう人って「イベント企画が好き」みたいな人がやりそうな気がするなと思っていたんだけど。
なんかね、アトラクションはもとから作りたかったんだけど、きっかけとかはあんまちゃんと覚えてないんだよね。
ただ、自分がやりたいことって、魔法のようなことじゃねっていうのはすごいあって。立体視とか、空中像っていうか、ホログラム的なやつを。すごい昔っからやりたいと思っていて。
そのために、目の横にプロジェクターをつけたやつとか、ハーフミラーを使って立体映像をつくるのとか名画に顔がフレンディングされるのとかを作っていて。あとGoogle Glassでた時は、空中に丸をかくと、丸が出現して、現実のティッシュ箱とぶつかるやつとか、作ったり。で、これ魔法じゃね?っていうのがあって。なんかやっぱ、テクノロジーをつかって魔法を実現したいなって思って。
あ、でもなんかすご覚えているのが、Yahooにいくまえにシリコンバレーのaeria gamesっていう会社にいたんだけど、そこで先輩に「今やりたいことあるの?」ってきかれた時に
「目の前にスライムとかが出てきて、それと戦ったりできたらめちゃめちゃ楽しいと思うんですよね」
ってめちゃめちゃ言ってて、それはすごい覚えてる。
えー! それ今とかわらないですね。Real Fantasy!そうなんだ。
▲ 現在制作中のコンテンツ Real Fantasy
その前から、会社で勉強会みたいなのがあったんだけど、毎月なんかこういう、よくわらかないネタみたいなものを作って発表したりはしてたんだよね。それこそなんか、キネクトをつかってかめはめ波を打てるやつとか。でもその発表の前日にもっとクオリティの高いかめはめ波が(メディアで)発表されて、「おーやられたわ」みたいな感じになったり。
あとなんかAndroidを空中で動かしたら、連動して画面上で板が動いて、それで玉を移動させるようなやつとか。あとiPhoneが出始めのころにはiPhoneでできるジェンガとか、手書きで入力できる家計簿とか作ったりしてた。普段の業務では全然使わないような技術を使って作ったりするのが好きたったんだよね。
すごい。そういうので「俺できるんじゃね?」って思ったんですか?
んー、いや、俺だからできるとかはあんま思ってなくて、できて当然のように思ってたんだよね。それよりは、新しい機器が出てくるから、使ったらめっちゃ面白いことできんじゃんって感じで作ってた。
で、ITの可能性というもんがだんだんわかってきて。当時プロジェクションマッピングとかいう言葉も知らなかったけど、テクノロジーで体験が作れるんだってことを、知っていったっていう感じかなあ。
なるほど。
あんま昔のことってそんなに覚えてないんだよね。
でも面白いことをしたいな、ちょっとはずれたことをしたいっていうのはあって、大学生の頃はなんかパスワード管理システムとか作ったり。パスワード覚えるのが面倒くさいから、管理できるWEBサービスほしいなと思って。まあ今はアプリとかでそういうのはたくさんあるんだけど、当時そんなのなかったから欲しいなっ思って。でもWEB状にパスワードおいておくと危ないから、かつ安全に保存しないといけない。一回パスワードを一回暗号化して、暗号化したファイルをおいて、それを解く鍵を入力するとローカルで復号されて見られる、みたいなツールを作ったの。
まあでも、作って満足して、実際はあんま使ってなかったんだけど。
ああ、堀川さんにありがちな。デモをつくると満足する!ってやつ。
あるよね(苦笑)
それをビジネスにしてやろうっていうとは思わなかったの?
さっきも話したけど(前半)、当時完全におれはエンジニアとして生きようと思ってたから、管理職とか、ビジネスには 関わらないって決めてたとこがあって。
あ、最近は、やるしかない!って感じでビジネスもがんばりたいと思ってるよ。
これは?(iPhoneをみながら)
これはね、プロジェクター2つを使い、裸眼でも眼の前に立体が見えるようにしようっていうプロジェクトなんですよ。
当時VRとか全然流行ってなかったんだけど、魔法をどうにか実現したいと考えた末に作ったやつですね。プロジェクターを右目と左目のすぐ脇につけて、それを壁に反射させて見てるわけですが、壁に再帰性反射材をつけることによって、左目には左からの映像、右目には右からの映像しか見えないようになってて。左右違う映像を見ることによって、映像に立体感を出そうというシステムですね。
すごい!なんで今使ってないの?
なんだろう、作ったはいいものの、これをどう使えばいいか当時わかんなかったから?かな。
あと当時、色々制約があったはずなんだよね、壁に対して、全部再帰性反射材を貼らなきゃいけないっていう問題とか・・・・まあ貼ればいいって話だけど。あとはそもそも左右にプロジェクターつけなきゃいけなかったりとか。
つければいいじゃん。これHMDつけないで現実世界に立体を出せちゃうってことですよね!?
Next VRって感じ!裸眼な分、HoloLensよりすごそう感あるけど。実はあんまり立体的じゃないとかなんですか?
いや、結構立体的に見えたんだよね。これ。
ただ当時、頭の動きに合わせて映像を追従させるっていうのがすごい難しかったんですよ。頭の位置を固定すれば立体的に見えるんだけど、それが左右に動くと全然立体的に見えないっていうのがあって。
・・・あ、でも今ならできんのか。Vive Trackerつければ多分できるね。笑
これ2013年!? 5年前かー、結構たってますね。
そうなんだよね。可能性あんのか? あんま考えたことなかったわ。
なんで考えなかったの?
うーん、ちょうどやってた時にGoogle Glassがが出て、それに没頭した結果、Google Glassしかやってない。スカウター作ったりとか。
…新しいオモチャを手に入れて、忘れてしまった、と。
ははは。そうだね、でもたしかにすごいよなあこれ、すごいと思うわ。ははは。
たしかに今やれば、いろいろ可能性は広がるのかあ。もうちょっと考えてみようかなぁ。ただ、すごいけど、まだ商品化するにはちょっと足りないなと、まあ当時も思ってたんだよね。
そのまま、葬ってしまってたけど。俺結構そういうの多い。
なんという!考えてみてほしい〜。Next VR化、期待してます!