「私は人見知りだからディレクターには向かない」
「デザインだけに集中したいとずっと思っていた」
そう恥ずかしそうな表情で語るのは、株式会社CUBE(以下、CUBE)の営業兼Webディレクター、吉田 裕美(よしだ ひろみ)さん。
豊富な経験を持つがゆえに、行く先々でディレクションや管理職としての役割を期待されてきた吉田さんは、自分のやりたいことと任せられる仕事とのギャップに、長年悩まされてきたそうです。
理想と現実の間で葛藤を抱えてきた吉田さんが、なぜ、今、CUBEで営業兼Webディレクターとして働き続けているのか、その想いとCUBEの魅力について話してくれました。
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[執筆・校正]株式会社ストーリーテラーズ 栗田 加奈子
[取材] 株式会社ストーリーテラーズ 本部 友香
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巡り合えた「居心地の良い場所」:吉田さんの挑戦と情熱
「CUBEでなら、ライフステージの変化に合わせて働けそうだと感じました」
最初は不安もあったけど、ここでなら続けられそうだと感じたのは、CUBEが社員想いの会社だからだと話す吉田さん。
転職するたびに、求められる役割をこなしてきた。
長く厳しい環境で、苦手な管理職も受け入れてきた。
それでも、デザインに対する情熱だけは変わらなかった。
「結局働く上で大切なことって、職場の人間関係だと思うんです。たとえ苦手なポジションだとしても、続けていきたいと思えるほどの居心地の良さを感じています」
この先の働き方を見据えて、CUBEで腰を据えることを決めた吉田さん。
ここまで心を決めるまでに、一体どのような壁を乗り越えてきたのか…デザインへの情熱はどこから生まれているのか…
吉田さんの歴史を紐解きながら、「今」抱える想いをお伺いしたいと思います。
諦めない気持ちと、役割を全うする責任感:吉田さんの想いと覚悟
■小さい頃からの夢を叶え、スキルを磨いたデザイナー時代
「実は私は、中学生の頃からデザイナーになりたいと考えていました。
当時はまだWebデザインは存在しなかったので、広告や紙媒体のデザインを手がけるグラフィックデザイナーに憧れていました。そのため、美術系の短大でデザインを専攻しました」
吉田さんは、卒業後、小さなデザイン会社に就職しました。しかしすぐに退職し、その次に就職した会社でデザインについて多くのことを学んだそうです。
「当時、多くのデザイナーは国内の広告を手がけていたと思いますが、私は、とあるカメラ会社のパンフレットを中心に担当していました。その際、英語やスペイン語のパンフレットも制作していたため、海外向けのデザインを学ぶことができました」
その会社は大手企業をクライアントに持ち、吉田さんはチーフデザイナーと共に多くのプロジェクトに携わる機会を得たそうです。
「そのデザイン会社で職人気質な先輩たちから細部にこだわるデザインを学び、私もその影響を受けて、細かい所にまで気を配れるデザイナーに成長できたと思います」
こうしてデザイナーとしての心構えやスキルを習得した吉田さんは、その後、結婚と出産を経験。短時間勤務を活用できる不動産会社に転職します。
■マネジメントや管理スキルを身につけた、不動産会社時代
「最初はデザイナーとして入社しましたが、会社の急成長に伴い部署が拡大し、メンバーも増加したため、私は管理職を任されることになりました。最終的には部長を務めることになり、部下も10人ほど抱えるようになりました」
管理職になってからは、自分でデザインを作る機会は減り、吉田さんは主にマネジメント業務を担当するようになったそうです。
「徐々に外部との交渉や調整も行うようになりました。それまで黙々とデザインに取り組んでいましたが、さまざまな人と話し、調整を行うようになったことで、『今の自分の基礎』が築かれたように思います」
■女性が活躍する企業、CUBEとの出会い
「約10年間のマネジメント経験を通して、人と話すことが苦にならなくなったと感じていました」
それでもやはりデザインに対する情熱は捨てきれず、転職活動を始めた吉田さんは、管理職の経験が評価され、いくつかの会社で管理職としての採用をいただくことができたと言います。
しかし、その頃には、「もう一度プレイヤーとしてデザインに集中したい」と考えていたので、吉田さんは転職活動を継続します。
そして、たどり着いたのが、CUBEです。
「もちろんCUBEでもデザイナーとして働きたいと思っていましたが、CUBEには、その気持ちを超える働きやすさがありました。
そして、ここでなら、デザイナーじゃなくても自分の経験を活かして、ディレクターという新たな挑戦をしてみても良いかもしれない。そう思えたんです」
CUBEは女性社長で、スタッフの8割が女性ということもあり、吉田さんは最初、不安もあったそうです。
「女性が多い職場ならではのギスギス感や、面倒なお局様がいるんじゃないかとか、勝手に心配していました。女性社長って響きだけでも怖そうに感じたりして(笑)」
しかし、吉田さんの心配事は杞憂に終わります。面談時の金森社長の人柄や、実際に入社した後の職場の雰囲気、すべてが優しく穏やかなものだったからです。
■「楽しい」「心地よい」と感じられる居場所
「もちろん、しんどいと感じることもあります」と吉田さんは言います。
「改善されてきたとはいえ、やはり人見知りではあるので、営業を兼ねているディレクターというポジションが自分には向いていないと感じることもよくあります。
人と接してうまくやるのは得意ではなく、家族からも『大丈夫?』と心配されるほどです。仕事では頑張って演じている部分もあり、打ち合わせが終わった後に疲れきってしまうこともあります」
それでも吉田さんがこの仕事を続けているのは、一体なぜなのか。
「それは、顧客からの感謝の声やプロジェクトの成果にやりがいを感じるからです。デザインの作業やディレクションを行うときには楽しく取り組めることも多く、それが続けている理由の一つです」
そして、こう続けます。
「5年間続けられているもうひとつの理由は、環境の良さだと思います。
やはり職場での人間関係が非常に大切だと、身に染みて感じています。今は職場での衝突がほとんどなく、在宅勤務でZoomを活用していることもメリットの一つだと思います」
経験を糧に踏み出す一歩:進み続けることで手に入れた、居心地の良い場所
最後に、吉田さんに今後の展望をお伺いしました。
「40を越え、年齢的に、ここから飛躍的に自分自身が大きく成長するのは難しいかもしれません。
しかし、Web業界は常に進化をしているため、その波に乗り続けていけるよう、私も日々成長を心がけ、常にアンテナを張りながら頑張っていきたいと思っています。
また、これまでCUBE以前も含め、さまざまな経験をさせていただきました。その経験を活かし、若い世代の成長をサポートしながら、これからのCUBEの発展に貢献していきたいと考えています」
デザインへの情熱と仕事に対する責任感を持ち、多くの経験をしてきた吉田さん。
穏やかで優しい仲間に囲まれながら、きっとこの先も自分にしかできない役割を全うしていくのでしょう。