翌朝、時差ぼけのため尋常でない早起きをして、朝食も肉類、乳製品、果物をまんべんなく食べ、定刻には万全の体制となる。
そしてこの後で全力で業務に邁進し、一回り(腹回りが)成長して日本に帰るのである。
改めて、今回の出張訪問先は、弊社の取引候補先のマイクロファイナンス機関である。
マイクロファイナンス機関とは、一般的な銀行では採算が合わないような、小口の融資を主に低所得者層に提供する金融機関である。一般的には顧客に金融教育や事業アドバイスを行う一般的に社会性の高いことが特徴で、代表的な企業としては、2006年にノーベル賞を受賞した、バングラディシュのグラミン銀行がある。
今回の現地訪問では
一日目 経営陣・社員に、事業方針、業務内容、顧客と社員の不正防止の仕組み
二日目 当金融機関の顧客に、融資を申し込んだ理由・魅力
といったことを聞くことを目的とした。
10月25日
一日目 経営陣・社員へのインタビュー
午前中は社長に事業方針を、続いて各部門マネージャーに業務内容をヒアリング。
社長に会うのは、2カ月前に中米で開催されたイベントから2回目。
当方より今回来訪の趣旨を説明し、インタビュー開始。
会社設立の背景、ビジョン、そして、これまでの実績とこれからの計画、ならびにその根拠と裏付け。
何度も何度も説明したであろう会社紹介を、重ねて当方のためにしていただく。
もともとはハリケーン被災者の支援を趣旨にキリスト教の教区が集めた基金が母体となったこと、そして顧客の生活品質(QOL)向上が目的であること。
穏やかな表情ながら、しっかりとした口ぶり、特に『QOL向上』を繰りかえす様子に強い意志を感じた。
社長に続いて人事部、業務部、与信担当者にインタビューして午前の部は終了。
~~ ランチでいったん休憩 ~~
外に出ると暑い。
そう、ここは熱帯で気温は32度。ジュラシックワールドのような山々に囲まれた土地。
初めて訪問する会社なのでスーツとネクタイで訪問したが、職員のだれもネクタイしていない。
社員は、男性はお揃いのポロシャツ、女性は青いTシャツにジャケットの装いが多い。
そんな暑苦しい恰好の筆者をみて社長が一言ボソッと
社長: (´_ゝ`)そんな格好してたら目立つヨ(ボソッ)
筆者: Σ(゚Д゚)ヒャ
この街では絶対に!、1㎜も!全く!目立ちたくない!!私は早速ネクタイを外す。
ランチで連れてきていただいたのは、街道沿いのバーベキューレストラン。中は家族連れからビジネスマン、リタイアしたシニアなど幅広い客層でにぎわう。
カウンターからはグリルが見え、そこで牛、豚、鶏がめいめいに豪快に焼かれている。
私は無難にグリルチキンを注文。あとは社長にお任せした。
出てきたのは大ぶりに切り分けられたチキンと、濃い茶色のチャーハン、そして小さめのタコス。
ボリューム満点のワイルドな料理
チキンは炭火の風味が染み込み、ワイルドでなかなかにおいしい。
もともと中華料理のチャーハンは、土着して、この国のセットメニューの一品として不動の地位を占めている。
餃子の皮くらいの大きさの、小さな『タコス』も一人数枚注文。こちらは主食として、欠かせないそうだ。
食べ方も教えてもらった。1.鶏肉食べて、2.チャーハン食べて、3.タコスをちぎって食べる。
このローテーションだそうだ。
早速試す。
炭火焼き鳥 (゚д゚)ウマー!
チャーハン (゚д゚)ウマー!
タコス ( ゚д゚)ポカーン?
タコスに味がない(自分には)ので、気持ちの持っていきかたに戸惑う。
日本でブランド米のご飯を勧められた、アジア圏以外の外国人もこんな風に思うのだろうか。
白米 (´_ゝ`)?
~~ 午後、打ち合わせを再開 ~~
業務リスク分析部、システム部、コンプライアンス部などなど各部署との打ち合わせが続く。
各担当とも各々の職責において不正回避の仕組みを理解しており、それが業務フローとして定着している様子。
また転職の経緯や業務のやりがいを聞く中で職員のモラルとモチベーションも高いと理解。
現地時間午後6時、日本時間午前8時。打ち合わせ終了。
正直なところ、午後2時ぐらいから脳みそがキツくなる。
脳がスポンジ状になってそれをギュゥっと握られる感じで、頭の奥が熱くなってくる。
そして完全に徹夜した翌朝8時を想像してほしい。
仕事が終わるころには、とにかく寝させてほしいと思う、その一言につきる。
廊下の壁には当社が主催した借り手の子供の絵画大会の絵が飾られる
ローンで生活水準が改善した様子10月26日
二日目 最終顧客へのインタビュー
本日は、当社の出張の醍醐味でもある、金融機関の顧客との訪問インタビューである。
朝7:30にホテルまで迎えに来てもらい、通訳を兼ねる若手女性職員と中堅と呼ぶには早すぎる年齢のドライバー係の職員の3名で、ピックアップトラックに乗って出発。
ドライバー担当の職員
最初の目的地は、顧客を担当する営業支店。後で分かったが、昨年の最優秀支店賞を受賞している。
支店の前に並ぶオフロード仕様の営業バイクに、彼らのフットワークの良さと担当地域の道路事情がうかがえる。
営業職員の採用基準に『普通自動二輪免許必須』と書かれているのだろうか。
支店前でこれからオフロードバイクで営業に出かける職員
支店内の様子
そして顧客の担当マネージャーと合流し、4名で再度出発。
女性一人と男三人という西遊記状態(ヒント:堺正章)となった一行は、ジュラシックワールド的な濃い緑の風景を遠方に臨みつつ、徐々にまばらなる建物とサトウキビ畑脇の街道を疾走し、一路天竺ならぬ営業先のフィールドを目指す。
もう何回道端で馬とすれ違ったかわからない。
誰の馬だろう
🐎 🐎 🐎 🐎 🐎 🐎
舗装が崩れた道路を走り、橋が壊れて小川を超えているうちに、何度も馬とすれ違う。
馬が今も現役で経済活動に貢献していることはよくわかった。
いいかげん早くお客さんに会いたいな、と思う頃、雑貨屋を営む顧客先に到着。
いよいよインタビュー開始!!
1件目:家庭用品(プラスチック、料理用品、家畜飼料)・食肉・雑貨店
当社のローンで販売商品を拡充したとのこと。
店内をパチリ、金融機関職員とも仲良くパチリ
左より、通訳担当の金融機関職員と商店主
2件目:農業用品小売店、7年前に事業開始
ローンを運転資金として活用しており、やはり販売商品が拡充した様子
左より、担当職員、商店主の息子さん、商店主
敷地内には牛がいる
牛がいれば豚もいる
3件目:パームヤシの仲卸業者
当金融機関のローンを活用して事業が拡張し、新しいうちを建築できたそう
ほかのマイクロファイナンス機関からこちらに乗り換えた模様
4件目:菓子を中心とした家庭用雑貨の小売店への卸売り
開業7年、火災で焼失した前店舗から立て直してきたという
当卸売店にて見慣れない、ねぶた風のキャラクターを発見!!
↑ピニャータという、キャンディが詰まった紙製のくす玉
子供たちのパーティで主役が割って食べるという、お祝いの場で欠かせない一品
~~ 🍖ランチタイム🍴 ~~
ロードサイドのちょっとしたフードコートで、同行の職員さんとランチ。
カウンターにはまたもや豪快な炭火焼のバーベキュー。
そうか、この国はバーベキュー国なんだ。
たまに炎を上げて燃える肉
今度は、魚と揚げバナナを注文。
やっぱり、チャーハンとちっちゃなタコスがついてきた。
しっかり揚げられた白身魚はボリューム満点。
フードコートの周りを見渡して気づいたが、建物内にはフードコートを囲むようにブティックや会議室のような施設もあり、かつ敷地内には小さいながら滑り台付きの流れるプールまで備わっていた。
なるほど、イメージとしては週末に家族で来てのんびり過ごせるアミューズメント施設といったところか。
そこで食後に、隣のプールを見学してみた。
遠足で来たと思しき小学校高学年ぐらいとみられる子供たちがプールで遊んでいる。
だが、気になったのは何人もTシャツを着たままプールに入っている。
水着を忘れたのかと思ったが、同行の職員に聞いてみたらここではそれが普通らしい。
そして次に気づくのが人種の多様性。目につく順に、ラテン系、先住民系、欧米系、アフリカンであろう。アジア人、東洋人は目につかない。
ウィキペディアで調べてみると、ホンジュラスの人種・民族構成は以下のとおり。
メスチソ(先住民とヨーロッパ人の混血) (90%)
先住民(7%)
黒人(2%)
白人(1%)
なるほどね。
~~ 🍴ランチタイム🍖 終了~~
5件目:タイヤ修理と機器販売業。
オーナーご夫妻と職員の皆さん
開業前は獣医!をしていたとのこと。
今回の顧客訪問は以上で終了、あとは戻るのみ。
金融機関の提携代理店である携帯電話販売店
この携帯電話販売店は、金額が限定された範囲で入出金など支店業務の一部を担っており、業務ソフトが搭載された端末で金融機関とやり取りできる。
この地域で当金融機関の代理店はいくつか目についた一方で、他行の支店は見かけなかった。確かにこの地域ではサービスが浸透しているのだろう。
モバイル端末で支店と本店間の情報共有を改善し、融資業務を効率化
訪問先の所管と、世紀末の街中を散策レポートの後編に続きます!