CEOの川口です。
当社では、新サービス「くらそうね」β版を、2019年8月1日に愛知県限定でローンチしました。
しかし、さかのぼることローンチの約3ケ月前、4月下旬には開発チームすらありませんでした。
開発を進められないマイナスの状態から、なぜ短期間でサービスをローンチすることができたのか?
その軌跡をご紹介します。
※同じタイトルでRuby Business Users Conference 2019にて報告させていただきました。
目次
- 4月中旬:やばい!何にもない!
- 4月下旬:開発パートナーを探せ!
- 5月上旬:開発スタート
- 5月中旬:開発者の採用をスタート
- 7月下旬:ローンチ!そしてチーム結成!
- Rubyだから良かった点
- まとめ
4月中旬:やばい!何にもない!
資金調達の方向性が見えてきた
クラッソーネではベンチャーキャピタルから約1.5億円の資金調達を実施しましたが、その出資金額や時期などの方向性が見えてきたのが、ちょうど4月中旬です。
家づくりのインフラを作るのが私達のビジョンですので、「資金を入れていただいたらすぐ、新サービスの開発に着手できるようにしたい!」と考えていました。
時間がない、でも何もない
「出資が決まったのですぐに着手しよう」と思いながらも、開発チームはありません。
このままいけば、時間だけが過ぎて行ってしまいます。
「一刻も早くなんとかしなくては!」という焦りだけが募っていきました。
4月下旬:開発パートナーを探せ!
友人Aさんに相談
まず開発者を探すことにしましたが、エンジニアの方にお願いしようにも、当時の私にはツテがありません。そこで、スタートアップのご経験がある友人のAさんに相談することにしました。
Aさんは、私がリストアップした会社にいる方のTwitterアカウントを調べ、そのアカウントでの発言やフォロー・フォロワーの情報から、だいたいの技術レベルを確認してくれました。
「技術レベルの高い方が1人いれば会社としての開発レベルも高いことが多いです」とのこと。なるほど、勉強になります。
Aさんも「自分でもいろいろ当たってみますよ」とエンジニア探しに奔走してくれました。
開発パートナー:ラグザイアさん
そうやって候補を絞っていった中で決めた1社が、町田市のシステム開発会社「ラグザイア」さんです。
決め手は要件が定まっていない案件でもアジャイルに寄り添っていただけそうだったことと、技術レベルもしっかりしていたこと。
Aさんの目利きがあってこその選定です。
開発パートナー:フィヨルドさん
もう1社のパートナーは、明大前のシステム開発会社「フィヨルド」さんです。友人Aさんが参加した福岡のRubyKaigiで、「手伝ってくれませんか?」と声をかけてくださったことがきっかけです。
フィヨルドさんからは、無事OKのお返事をいただき、Aさんの紹介ということもあって、優先的に受けてもらえました。
クラッソーネはエンジニアが1人もいない会社なので、普通は声がかかると「この会社大丈夫かな?」と警戒されると思います。
そんな中ご縁によってスピーディーにパートナー2社が決まり、幸先のよいスタートを切ることができました!
5月上旬:開発スタート!
無事に開発パートナーが決まり、5月上旬には開発をスタートしました。
β版ローンチの目標は8月にしたため、相変わらず時間が有りません。
そこで、開発スピードを高めるために4つのことに注意しました。
心がけたこと1:要望を見える化する
エンジニアが書いたブログを読むと「ビジネスサイドに話が通じなくて困る」というぼやきが散見されました。要望に関してはユースケース図やモックを作るなどして見える化し、なるべく開発者に意図が伝わるように心がけました。
心がけたこと2:機能を最小限に減らす
仕様を考える時に「あれもこれも」と盛り込みたくなってしまいがちですが、「あった方が良いと思って追加した機能でもリリースしてみたら全く使われなかった・・・」というのはよくあるケースです。
とりあえず最低限の機能でリリースして、ユーザーの反応を聴き、そこでの成功や失敗から学習するという流れを大切にしました。
心がけたこと3:作り替える前提で作る
クラッソーネは「誰もが利用する家づくりのインフラを作る」という大きなビジョンを抱えています。将来的な拡張を見すえて、データベースやサーバーの設計開発していくとなると、短期的には過剰な仕様になったり、開発期間が長引くことに繋がります。
まずは「いかに早くリリースできるか」が勝負なので、作り替える前提でインフラ構成やデータベース設計は最低限のものにしました。
心がけたこと4:作業の邪魔をしない
「発注者⇔受注者」という関係性になってしまうと、エンジニアの方が伝えたいことを自由に発言できなくなり、良いプロダクトどころではありません。
同じチームのメンバーとして同じ方向を目指せるように、フラットな姿勢でコミュニケーションをとりました。
またエンジニアの方が、変なストレスを感じることがないよう、グループウェアも普段先方が使っているものを利用するなど、開発に集中いただけるよう気を配りました。とにかく開発者の邪魔になることはしたくなかったです。
余談:
初顔合わせは5月上旬。それもオンラインで1時間弱話しただけという状態でしたが、エンジニアの皆さんは「了解!」とすんなり受け取ってくれました。
仕様に関する細かい話し合いはありませんでしたし、役割分担などもざっくりとしたので、「はたしてこんな僅かなコミュニケーションで開発が進むだろうか?」と不思議に思っていました。
しかし、そんな考えは杞憂に終わり、何の問題もなく開発は順調に進んできました。
私自身は営業出身で、Webサイト制作のディレクションの経験はありましたが、サービス開発は未経験でした。
だからこそ、エンジニアの方が示した通りに仕事が滑らかに進行していく、その様子に驚きましたし、「これはRuby on Railsというフレームワークのおかげだなぁ」と感動もしました。
5月中旬:開発者の採用をスタート
開発と並行して、社内エンジニアの採用活動を開始しました。
募集要項を作ったり、採用媒体へ掲載を行ったりしましたが、特に心掛けたのは開発者を理解しようと努めたことです。
内部に開発チームを作っていくのですから、プロダクトオーナーである私自身が開発者のことを理解しないとチーム作りは上手くいきません。
私と宮田(人事)の二人三脚でエンジニアという仕事についてや、エンジニアの価値観について学んでいきました。
やったこと1:書籍やブログを読んだ
エンジニア採用や開発組織作りに関する文献に目を通しました。
特に印象的だったのは次の2つです。
エンジニアが事業にもたらすインパクトの大きさや、成長できる環境の重要性など、目からうろこの内容でした。
やったこと2:プログラミングスクールに通ってみた
「自分もプログラミングを触ってみるのも良いかも」と思い立ち、TECH::CAMPにも通ってみました。
サービス立ち上げ時期にhtmlやCSSは書いていましたし、phpも少しかじったことはありましたが、体系的に学ぶのは初めての体験だったので新鮮でした。
現在はカリキュラムの半分くらいでストップしています。頑張って卒業せねば。。。
やったこと3:エンジニアのイベントに参加してみた
「エンジニアの集まりにも参加して、カルチャーを肌で感じてみよう」ということで、Rails Girls Tokyoにも参加をしました。
宮田(人事)はGirlとしてRails体験プログラムも参加し、とても楽しんでいました。
皆さんの「コミュニティに貢献しよう」「自分達のプロダクトとの土台となっているRubyやRailsに還元しよう」という利他精神に触れ、Rubyコミュニティの温かさを感じた瞬間です。
やったこと4:ブログで内部情報を発信してみた
「社内の様子をWebで公開し、案件感を持ってもらおう」ということで、エンジニア向けのブログも書きました。求職者の方が読んでくれていることが多く、「読みました」と言っていただけるのが嬉しかったりします。
7月下旬:ローンチ!そしてチーム結成!
見事ローンチ!
開発と採用を並行して進め、期間は「3ヶ月」と決めた中で、無事ローンチにたどり着くことができました!
尽力いただいた開発チームの皆さんに心から感謝しています。
リリース後の反応も上々なので、今後のサービスとしても非常に期待しています!
開発チームも集まってきた!
4月の時点では開発者0人だったにもかかわらず、現在ではクルーと開発パートナーを合わせてとても賑やかな顔ぶれになっています。
皆でワイワイ打ち上げ
リリース後の節目に、明大前の居酒屋で打ち上げをしました。皆で3ヶ月間の労をねぎらい、感謝の意を表しました。同じ目標に向かって、同じチームで開発を進めていった仲間ですから、社内も社外もありません。
年内に大きなバージョンアップをしたいので、次は新年会でしょうか。
Rubyだから良かった点
友人Aさんから「開発言語はRubyがいいと思いますよ。」とアドバイスをいただいていました。最初はRubyが何たるかもよくわからず、深く考えずに採用しましたが…今思うと、Rubyで開発を進めて本当に良かったです!Aさんには「だから言ったでしょ」と言われますが。では、Rubyだから良かった3つの理由を紹介します。
理由1:フレームワークやライブラリが充実している
スピード感をもってサービスローンチができた背景として、フレームワークやライブラリが充実していることがあげられます。
機能を絞ったとは言え、3か月でここまでのことができたのは、先人たちが積み重ねたものがあってこそだと感じています
理由2:温かいコミュニティに応援してもらえた
Rubyのコミュニティはとても密で温かいです。人事の宮田がRails Girlsに初めて参加した時、「できることがあったら言ってくださいね」と声をかけてくれた方がいたと聞きました。
そしてコミュニティが密だから、誰かが「困っている会社があるよ」と言うと「ちょうど私が手伝えますよ」と話がつながったのだと思います。この温かいコミュニティの存在が、開発を後押ししてくれました。
理由3:Rubyの理念とクラッソーネの理念が近しい
Rubyは「エンジニアにとって開発が楽しくなるような言語を使おう」ということで、開発者のまつもとひろゆきさんが作られたものです。
「開発者がHappyになって、良いプロダクトを作って、世の中をHappyにする」という思想は、クラッソーネのミッション「豊かな暮らしで人々を笑顔に」に非常に近いと感じています。
偶然ですが、Rubyもクラッソーネのカラーも「ルビー色の赤」です。
まとめ
開発者ゼロという、大きなビハインドから始まったプロダクト開発。
3ヶ月という短期間でリリースできたのは、まさに「爆速」であり「逆転」です!
開発チームの皆さん、友人Aさん、Rubyのコミュニティのおかげだと改めて感謝しています。
8月のβ版ローンチから4か月が経ちましたが、プロダクトを通じて解体工事会社様がHappyになって、良い工事を行って、お客様をHappyにできるように、現在も爆速で進んでいます。
ぜひ応援よろしくお願いします!