カバー株式会社は、VR/AR技術を活用し、世界最大級のVTuber事務所「ホロライブプロダクション」の運営をはじめ、世界で通用する新しいバーチャルタレントの文化の創出やメタバースサービスを開発・展開する、ITエンターテイメント企業です。
最新技術を駆使したコンテンツを自社で制作しているほか、様々なジャンルのクリエイターと共創し、今までにない二次元エンターテインメントを提供することで、VTuberをはじめとした日本のポップカルチャーを世界へ浸透させるべく活動しています。
今回は取締役CTOを務め、VTuber配信アプリの開発などを手がける福田一行さんに、カバーのポリシーや、理想のエンジニアチームなどについてお伺いしました!
※インタビューは二部構成となっておりますので、次回の投稿も楽しみにお待ちください!
カバーのポリシー、チームのカルチャーとは?
福田さんがカバーに入られてから、ここだけは絶対守ろうということはありますか?
新しいこと、新しい体験、驚きを提供をする仕組みづくりです。まだ完成していないですけどね。
例えば、企画はディレクターやプランナー発信のものだけを作っていくというスタイルではなく、エンジニア発信の企画をディレクターやプランナーと一緒に、エンジニアが作っていくような仕組みを作れないかなと常に考えています。
まだ数は多くありませんが、エンジニア起点で企画が立ち上がっていくケースも実際に生まれ始めています。
福田さんはエンジニアから働きかけたいと。なぜその考え方が生まれたのでしょうか?
「新しい体験」を生む企画のためには「新しい技術を知っている」状態も必要だと考えているからです。
極端な話ですが、馬車が主流の時代で、自動車って知ってる? と言っても誰も想像できないですよね。
純粋な企画力はプランナーやディレクターの方が上だと思いますが、まだ世の中には知られていない、新しい表現やコンテンツは新しい技術から生まれることが多く、そういう意味でエンジニアが重要だと感じています。
あとは、トライアンドエラーができること。とりあえずやってみることができるのがエンジニアの強みだと思っています。
エンジニアが企画を出すために何か特別なことをやっていますか?
シンプルにVTuberが好きな人が多いので、個人も含めて「最近こういう面白いことしてる人いるよね」「この技術を使えば、あんなことできそうだな」というアンテナは張っていますね。
行動指針として、福田さんがメンバーに伝えていることはありますか?
大きくは3点です。
1つ目は、とにかくタレントさんに楽しんで配信してもらうこと。タレントさんが楽しんでいたらユーザーに届くので、タレントさんにどう楽しんでもらうか、どんな環境なら楽しんで配信できるかということを考えて動こうと話しています。
2つ目は、新しい体験を提供できるコンテンツを作るということですね。バーチャルであっても、「そこにタレントさんがいる。」つまり、目の前にタレントさんがいるように思える感覚のことです。この感覚を提供するために既存・新規の技術を使っていこう。と言っています。やはりユーザーに「感動」「驚き」といった感情を提供したいんです。
3つ目は、みんなで作ることです。配信は毎日行うものなので、どんどんやれることを増やしていかなければいけない。その時、エンジニアの技術だけだとカバーしきれないところも多いので、運営や企画も含めて、みんなで作っていこうと伝えていますね。
そこから生まれたプラスの効果はありましたか?
言動が変わったメンバーが増えました。具体的には、「今までの動き方」ではなく、「カバーで求められている動き方」ってこれだよねという考えを持って動いて、エンジニアが自然と「じゃあ、次こういう企画を立てよう」と自ら発信してくれるようになりましたね。
それはとてもいい効果ですね。エンジニアチームの特徴をお教えいただけますでしょうか?
とにかく真面目で、VTuberファンが多いです。真っ直ぐに「タレントさんのために頑張ろう!」と考えて、動いています。それはもちろん良いところではあるんですが、もっと殻を破ってほしいとも思います。
真面目さは残しつつ、さらにチャレンジ精神を持ってさまざまなことに挑戦してほしいですね。現状ホロアースを含めた、新しいことを次々と行う予定ですので、メンバーにはどんどん殻を破っていってほしいと考えています。
今、カバーのミッションを達成するために現時点で足りていないと感じていらっしゃる部分はありますか?
プレイヤーとしてのチームメンバーは揃いつつある状況ですが、急拡大を続けるカバーにおいて、
組織横断でプロジェクトを進めることができるマネージャー志向の方も必要となっているのが課題感でしょうか。
受け身だけではなく自ら考え行動できるようにプロジェクトで起きていることを「自分事」として捉え、成功させるには自分の領域だけにこだわらず、他のメンバーと協力しあえるような組織として強くしていくのが今後の目標です。
コミュニケーションのポリシーなどがありそうですがいかがですか?
「相手を尊敬する」というポリシーは全員に伝えています。
部署ごとにそれぞれ領域が違うので、すべてを理解することは難しいと思うのですが、お互いの仕事内容や進め方をある程度、把握することでメンバー同士が自分ではできない分野をカバーしてくれているんだと理解できると思うんです。
そうして尊敬しあいながら進めていかないと、コミュニケーションミスが発生して対立するので、ちゃんと相手が行っていることを理解した上で思いあって進めていこうと言っています。
カバーでは褒めあう文化が根付いているので、クリエイター同士で「あの技術すごかったね!」と言い合っているのはよく聞きます。
相手を尊敬しているから、相手を褒めることもできるということですね。
そうですね。「尊敬できるから褒めることができる」と思っています。
お互いを褒めることができる環境の副次的な効果「次はもっと新しいことやろう」というポジティブな言動が増えるんですよ。しかも褒められた後はポジティブな言動量が顕著に増えますね。
では、リーダー/マネジメント層に対して伝えていることはありますか?
目標や目的を意識することをチーム全体で共有してもらっています。リーダーからメンバーに「今、こういう課題がある」とか、「こういう目標に向かっていこう」というのは伝えてもらっています。
なぜ、目標や目的を一致させないといけないのでしょうか?
もし、目標や目的を一致させていない状態で業務を進めていくと、結果的にメンバーが受け身になってしまい、自発的に意見や提案がなくなってしまうと考えているからです。
過去の経験としてメンバーに「そもそも今、なにをやってるんだろう」と思わせてしまい、成果があまり出なくなってしまうことがあったんです。
なぜ成果が出なくなったのかを調べていくと、メンバーが自分の仕事が何を目的にしたものなのかを理解しない状態で、業務指示だけが出され、とりあえずその業務指示にそって仕事を進めている。そんなチーム状況であることが分かったんです。
そんな経験をしていたこともあり、カバーでは目標を持ってもらうことによって、自分で考え、動いてもらえる状態にすることで、結果的に成果もあげられる状態を作っています。
カバーが進めている事業は世界的に見ても、前例のない新しい領域の事業だと思います。前例がない場合、トップダウンで物事を進めた方が効率がいいのではないかと考えてしまったのですが…
経営方針や事業方針などの大枠はトップダウンだと思うんですが、細かい施策に関しては割とボトムアップの方が良いと思っています。
戦略と戦法の違いと言えるかもしれません。
細かいこだわりはトップダウンではなかなか生まれないというのもあり、担当者が自分で考えてやった方がバズることも多いんです。ユーザーから細かいこだわりを評価されたからバズっている事例も多いですね。あと、こだわり以外では、スピード感が上がる効果もあるんです。ボトムアップの文化だからこそ、メンバーが自主的に判断をして、ある種の「勢い」で動いたことによって、他社がまだ動けていない状態でもカバーはリリースできているというケースも生まれていますね。
・これからのエンジニアチームの理想像について
これまでお話を踏まえて、改めて福田さんが考える強いエンジニアチーム像というのをお教えいただけますか?
意志を持って高いクオリティのモノを生み出し、柔軟性があるチームだと考えています。
「意思を持って」という部分は、こだわりを持っていること。
「柔軟性がある」という部分は、変化にとにかく早く対応できるということ。
そのように私は解釈しているんです。
そして、こだわりもあり、変化にとにかく早く対応できる人達が、相手を尊敬しながら動いているチームは上手くいっている印象があります。
なぜ、こだわりを持っていると良いと感じられるのでしょうか?
例として、オンラインゲームで世界1位を目指している会社の話をしますね。その会社はクオリティの高いとユーザーから評価をされているんですが、社員一人ひとりのこだわりが非常に強いんです。その強いこだわりがクオリティ面で他社と一線を画する要因になっていると考えています。
カバーでは、見た目だけではなくシステムのクオリティも含めて、全体のこだわりが感じられる会社になっていきたいなとも思いますね。
今後、エンジニアチームをどんどん拡大していくと思います。福田さんはどんなエンジニアチームにしたいですか?
理想をいうとオールラウンダーであったり、フルスタックエンジニア、それぞれの分野に強い人、そんな人たちがどんどん集まってきて、スペシャリスト集団にしていきたいです。希望をあえて言うのであれば「この分野だと、この人しかいないよね」という人を採用できたら嬉しいですね。
人が増えてくると動き方や、個人で行う作業の領域というのが変わると思います。一方で、一人ひとりの「こだわり」は、今後より強くなるのかなと思っています。
カバーに入った方に、こういうモノを作ってほしいというメッセージはありますか?
CTOという立場なので、私はエンジニア向けのメッセージをお伝えしますね。
現在、カバーでは「メタバース」というものを作っています。
バーチャルのVTuberと現実の世界に実在するユーザーたちが、同じ空間の中で存在できる世界をカバーから発信して、「世界を驚かせる体験」を提供したいと考えているからです。
「驚く体験」には企画だけではなく、新しい技術もセットだと考えています。では、新しい技術はどこから生まれるのか? というと、やはりエンジニアから生まれます。 また、新しい技術の存在を最も早く知るのもエンジニアであり、使い方を伝えるのもエンジニアだと考えています。
カバーのエンジニアは開発だけではなく、企画も行います。ボトムアップの組織を作るためだけが目的ではありません。「世界を驚かせる体験」をつくるにはエンジニアの「力と発信」が不可欠です。
カバーではそんなエンジニアを求めています。「世界を驚かせる体験」を一緒につくりたいと少しでも思っていただけるのであれば、一度弊社の話を聞きにきていただけると嬉しいです。
私たちで、カバーでないとできない、みんなが驚くような唯一無二の新しい体験を全世界に発信していきましょう!お待ちしています。
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