コーピーを「説明責任を果たせる会社」にしたい。ゼロから基準を作る、コーポレート部門責任者服部の挑戦
コーピーにおいて、組織全体の基準とプロセスを整備し、スピード感ある意思決定を支える組織作りの要となっているのが、取締役/VP of Corporateの服部です。ミシガンでの生活、ルネサス、そしてKPMGなど多様な経験を経て、彼がなぜAIスタートアップという未知の領域に挑んでいるのか。バックオフィスが提供できる「AIセーフティ」への価値、そして多国籍な組織を動かすコミュニケーションの秘訣まで、その核心に迫りました。
財政危機の最前線から、会計・経営の「本質」を求めて
ーーまずは服部さんのこれまでの歩みについて教えてください。またキャリアのターニングポイントはどこにありましたか?
服部: 最も強烈な原体験は、前職以前の半導体メーカー在籍時に直面した、会社の財政危機ですね。会社の存続をかけた緊迫した日々でした。
そこで痛感したのは、自身のスキルへの圧倒的な危機感です。半導体という、高度な技術と巨額の投資が絡み合うアートのような事業領域において、自分が持っている会計知識や経営理論が、あまりに無力に感じられた。現実の経営課題と、教科書的な知識の間に、埋めようのない隔たりがあることに気づかされたんです。
ーーその経験が、会計専門職大学院での「学び直し」に繋がったのでしょうか。
服部: はい。当時、支援に入っていたコンサルタントが将来計画を鮮やかに描き出す姿を見て、その思考の深さに衝撃を受けました。「自分も単なる計算屋ではなく、経営に資する専門性を持ちたい」と。
そこで私は、仕事を続けながら、会計専門職大学院への進学を決めました。大学院では、単にIFRS(国際財務報告基準)のルールを覚えるのではなく、その根底にある「なぜこのルールが存在するのか」というプリンシプルを徹底的に叩き込みました。
その結果基準を機械的に当てはめるのではなく、原則に立ち返って判断する思考が身につきました。この経験が、現在の私の意思決定の土台になっています。
「論理」と「感情」のバランスが、多国籍な組織を動かす
ーー服部さんの価値観の根底には、海外経験も大きく影響しているとお聞きしました。
服部: 中高時代を過ごした米国のミシガンでの経験は大きいですね。多様な背景を持つ人々が集まる環境では、黙っていては何も伝わりません。「論点を整理し、徹底的に議論し、納得感のあるコンセンサスを形成する」。このプロセスこそがビジネスを前に進める唯一の手段であることを、肌で学びました。
その後のプロフェッショナルファームでの経験を通じて、この「多文化・多国籍な環境での調整力」に、「仮説に基づいたロジカルな思考力」が加わりました。実績の積み上げだけでなく、「なぜこれが正しいと言えるのか」という論理的な裏付けを構築する力。それが私の武器になりました。
ーーコーピーのような多国籍な組織において、その経験はどう活かされていますか?
服部: 大切にしているのは「押し付けではない」コミュニケーションです。人は、正論だけで動くわけではありません。特にコーピーのような多様なプロフェッショナルが集まる場では、相手の背景や感情への配慮が不可欠です。
例えば労務管理上のルールの基準を設ける際も、単に「決まりだから守って」と強制するのではなく、なぜこの基準が必要なのか、それがビジネスにどう貢献するのかを丁寧に紐解きます。理屈と感情のバランスを取りながら、組織に新しい「基準」を浸透させていく。そこには非常に難しさと、同時に大きなやりがいを感じます。
バックオフィスから「AIセーフティ」の基盤を作る
ーーなぜ、会計や財務のプロフェッショナルである服部さんが、AIスタートアップという領域を選んだのでしょうか。
服部: コンサル時代に内部統制に携わっていたこともあり、「AIに対する品質保証」という未知の分野に強い好奇心を抱いたからです。自分のバックボーンであるガバナンスや基準作りの知見が、この最先端分野でどう活かせるのか、純粋な好奇心が湧きました。
また、単なる経理・財務といった枠に収まらず、組織をゼロから設計するコーポレート全般の役割に挑戦したいという思いもありました。
ーーAIセーフティのようなミッションクリティカルな領域で、バックオフィスが果たせる価値とは何でしょうか。
服部: リスクを正しく認識し、”受容・回避・低減・移転”といった対策を実行できる組織へと導くことです 。バックオフィスは単なるブレーキではありません。適切な情報を整理し意思決定をサポートすることで、会社のスピードを上げ、属人化を防ぐ自律的な組織を作ることができる。組織全体の基準やプロセスを文書化し、誰もが効率的にかつ説明責任を果たせる環境を整えることが私の使命だと思っています 。
自分たちの手で最高の組織を創り上げる
ーーコーピーをどんな組織にしたいと考えますか?
服部:組織には必ず「判断」が発生します。採用、投資、契約、評価――あらゆる場面で意思決定が求められます。現状はまだ、特定の個人の経験や暗黙知に依存している部分が少なくありませんが、属人化は企業成長にとって大きなリスクです。短期的には速く見えても、スケールする段階で必ずボトルネックになります。
重要なのは、ルールで縛ることではないと考えています。基準と証跡があるからこそ、議論の再現性が生まれ、結果として経営スピードは上がります。コーピーを「説明責任を果たせる会社」にしたい。それが持続的に成長できる組織の前提だと考えています。
ーー経理・財務から人事・法務まで幅広く管轄されていますが、コーピーを「強靭な組織」にするために、今最も注力していることは何ですか?
服部:人の成長と、課題に構造的に向き合う仕組みづくりでしょうか。組織で最も重要なのは「人」です。人がどれだけ成長できるか、どれだけ効率的に働けるか。それが組織の強度を決めます。
スタートアップである以上、問題は起きます。むしろ問題が起きない組織のほうが危険です。重要なのは問題の有無ではなく、どう向き合い、どう再発防止策を設計するかです。
感情的に処理するのではなく構造として整理する。そのための評価制度、フィードバックの仕組み、責任の明確化を整備することが、今もっとも優先度の高い取り組みです。
強靭な組織とは問題が起きない組織ではなく、問題に耐え、学習し、進化できる組織だと考えています。「このリスクは許容可能か」「どの対策を講じれば前に進めるか」を明確にし、経営の意思決定を加速させることが役割です。信頼性とは、リスクを避けることではなく、リスクを理解し、管理し、前進できる状態をつくることだと考えています。
ーー最後に、入社を検討している方へメッセージをお願いします。
服部: コーピーは高い志を持つ技術者と、誠実に社会課題へ向き合うビジネスメンバーが共鳴し合っている場所です。まだ未整備な部分は多いですが、それは「自分たちの手で最高の組織を創り上げられる」という大きなチャンスでもあります。
コーピーにはまだ完成されたルールはありません。だからこそ、指示を待つのではなく、自ら課題を見つけ「今の会社にとってベストな正解は何か?」をゼロから考え、アウトプットできる柔軟さが求められます。「柔軟性」と「当事者意識」が重要だと思います。
「新しい技術で社会の信頼を支えたい」という私たちのミッションに共感し、共に強靭な組織を築き上げてくれる方。そんな方とこの刺激的な環境で肩を並べて働けることを楽しみにしています。